企業の株を保有していると貰える株主優待。
定期的に企業から商品や割引券などが届くため、そのお得感から株式を保有する人も居ると思います。
現在、日本株式市場に上場している企業の1/3以上が株主優待を設定しているのですが、全体的には減少傾向にあります。
株主優待が廃止されると株価が下がることが多い為、極力そういった銘柄に当たりたくはありません。
ただ、優待が廃止になりやすい銘柄には傾向があると考えます。
どういった物なのか。
見てみましょう。
株主優待
株主優待は企業が株主に対して行うプレゼントのようなものです。
内容はその企業の製品やサービス、割引券、カタログギフト、QUOカードなど様々です。
株主優待を貰うためには、その企業の株を保有する必要があります。
そして、あらかじめ決められた権利確定日を跨いで保有することによって株主優待が貰える権利を獲得します。
内容によって様々ですが、多くは権利確定日の3ケ月後ぐらいに株主優待品や株主優待申込みのハガキが届きます。
同時に配当金も貰える企業(銘柄)が多いのでお得感はあります。
優待銘柄は減少傾向
株主優待は日本株式市場特有の株主還元です。
海外にはほとんどありません。
ですから「株主優待目当てに企業の株を購入する」というのは日本独特の投資スタイルだと考えます。
株主優待は年々採用する企業が増えました。
2019年に過去最高の1532件を記録し、それ以降は緩やかに減少傾向にあります。
また、最近は日本たばこ産業(JT)やオリックスなど時価総額が大きな企業の株主優待廃止が発表されています。
銘柄にもよりますが、株主優待の廃止が発表されると株価は5~6%下がると言われています。
こうなると持ち株の含み益も減り(または含み損を抱え)、株主優待も貰えないというダブルパンチを食らう事になります。
出来る限りそういった目には合いたくありません。
優待が廃止になる銘柄の傾向と、廃止になった場合の対策は事前に考えておいた方が良いでしょう。
優待が廃止になる銘柄の傾向
株主優待が廃止になる銘柄には傾向があると考えます。
株主還元とはいえ株主優待は企業にとって負担となりますので、企業運営にとって相応しくないと判断されると廃止になりやすいです。
こういった事も踏まえ、廃止になりやすい銘柄の傾向を考えてみましょう。
業績が悪化している
まず、大前提として株主優待は企業に利益がある必要があります。
ずっと赤字続きの企業では配当金も株主優待も原資がありません。
ですから、保有した優待銘柄の業績が悪化している(悪化すると予想できる)なら注意した方が良いです。
日本の株式市場に上場している企業は四半期ごとに決算を発表します。
決算の発表を注視してください。
大幅な業績悪化や、赤字転落といった言葉が聞こえてきたら一旦現金化して様子を見るのも一つの手です。
還元率が高すぎる
株主優待は株主還元の一環です。
もうひとつ株主還元として配当金というものがあります。
配当金は現金による還元ですね。
この2つを合わせた還元率が高すぎる銘柄は要注意です。
例えば、株価3,000円の銘柄があったとしましょう。
単元は100株で100株×3,000円で30万円の投資です。
個人的な肌感では株主還元率が4%を超えると高いと考えます。
この銘柄の配当率が3%(9,000円)で株主優待が5,000円相当の商品なら株主還元率は4.6%です。
現時点の株価では還元率が少々高いので、配当の減額や株主優待の減少、廃止の危険性があると考えます。
特に業績が悪化しているのに株主還元率が良い場合は注意しましょう。
QUOカード
QUOカードはコンビニやドラッグストア、書店など使える場所が多いため株主優待としても喜ばれます。
また、企業としても配送費用が安く済むため、導入がしやすい株主優待といえます。
ですから、業績が急激に良くなったり、企業の創立〇〇周年など、祝儀的な感じで設定される場合があります。
導入障壁が低く、簡単に設定できるという事は、簡単に廃止になる可能性が高いです。
特に、設定してから間もない企業のQUOカード優待には気を付けましょう。
ある日、突然廃止になるかもしれません。
カタログギフト
大なり小なりカタログギフトを株主優待として設定している企業も多いです。
カタログの中から好きな商品を選ぶことが出来る為、比較的人気が高い株主優待といえます。
企業としてはカタログギフトの冊子を発送するだけですので、配送費用もそれほど高くありません。
ですから、QUOカード同様に導入しやすいため、業績が良い時に導入し業績が悪化すると直ぐに撤退といったことが行われます。
QUOカードほどではありませんが優待廃止リスクは高い方だと考えます。
本業に直接影響しない優待商品
企業の本業に影響しない株主優待を設定している銘柄も要注意です。
先ほどのQUOカードやカタログギフトもそうですが、子会社の商品なども要注意です。
例えば、
日本たばこ産業(JT)はレトルトご飯とカップ麺を優待として設定していましたが廃止されました。
日本BS放送(BS放送局)は株主優待としてビックカメラグループで使える優待商品券を設定していましたが廃止されました。
イーサポートリンク株式会社(生鮮青果業者向けのシステム開発)の株主優待で送られていたりんごは廃止されました。
このように、本業に直接影響しない子会社や関連企業の製品を用いた株主優待は廃止されやすいです。
理由はどうであれ・・・という事です。
容積や重量が過大
株主優待の中には容積や重量が過大なものがあります。
主なものとして紙製品や農産物、レトルト食品などが挙げられます。
こういった物は配送料も大きな負担となるため、廃止や縮小になる可能性があります。
容積や重量があると配送料だけで1,000円以上となることも珍しくありません。
株主優待を選ぶ場合は配送料も考慮しましょう。
株価に対して明らかに内容が豪華すぎる(還元率が高すぎる)場合は注意が必要です。
株主優待の廃止対策
注意して投資をしていても優待廃止を当てることはできません。
そんな情報を知って投資をしたらインサイダー取引になってしまいます。
ですから、投資する側として知り得る情報とそれに対して出来ることは限られています。
「優待が廃止になる銘柄」で挙げた銘柄に極力投資をしないというのもその一つでしょう。
その他にも”出来ること”として具体例を挙げますので参考にしてください。
業績悪化の銘柄は早めに損切り
業績が悪化し出したら多少損失は出ていても損切りする方が良いです。
また、実際に数字に出なくても自然災害、感染症、国際情勢、政府の方針などを参考にしても良いです。
例えば、
感染症が流行しはじめた→旅行、飲食業は経営悪化するから株主優待が廃止になるのでは?
といった事でも良いです。
ちょっとした連想ゲームですね。
業績が悪化し始めると、まず最初に影響が出るのは配当金と株主優待です。
とにかく、投資している企業の業績や業績の予測については常に注意を払うようにしましょう。
集中投資をしない
どんな投資でもいえることですが集中投資はいけません。
「卵はひとつのかごに盛るな」という事です。
株主優待目的で株式に投資をするなら、最小の投資額で行うようにしましょう。
例えば、「単元の投資額が50万円を超えるような銘柄」は投資額が大きいので業績悪化や株主優待廃止時の影響が大きくなります。
こういった銘柄への投資は控えましょう。
また「100株で1,000円相当、1,000株で5,000円相当のカタログギフト」といったような、投資額によって段階的に株主優待が豪華になる銘柄も要注意です。
いくら「株主優待が豪華になるから」といっても1,000株投資すると集中投資につながります。
ひとつの企業(銘柄)に沢山のお金を投資してはいけません。
業績が良くなれば大儲けできますが、業績悪化や株主優待廃止の場合に大きな損を抱えます。
絶対にしてはいけません。
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