レンズの回折現象
回折現象とは、カメラ用レンズ等の絞りによって起こる画像劣化のことです。
レンズの絞りは一般的に絞り込むことで像がシャープに写るのですが、絞り込み過ぎると輪郭がぼやけて不鮮明になります。
ただ、これは製品によって若干違いがあります。
現在使用している撮影機材の描写能力を把握しておくことは重要であると考えます。
Fマウントレンズにおける回折の発生状況を確認
ニコンのFマウントは1959年に登場した歴史のあるレンズマウント規格です。
長い歴史の中で様々な製品が登場しました。

中には「名玉」「神レンズ」と呼ばれる高精細な製品もあります。
とはいえ、どのレンズが実際にどの程度の画質が良いのか、どういった癖があるのかは使ってみないと分からない部分もあります。
ということで、Fマウントレンズの開放時の描写と回折の影響を確認してみましょう
使用しているボディはNikonZ8(FTZを装着)です。
Jpg撮って出し。
中央部分を原寸大で切り出しています。
レンズの焦点距離により大きさがまちまちなのはご了承ください。
AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II








【結果】
焦点距離135mmでの描写です。
開放のf2.8は画質が甘く色のにじみもある。 f4になると随分良くなる。 f8~f16ぐらいが実用的。 最大絞りのf22になると回折の影響が出るが思った以上に画質劣化はしない。
AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED








【結果】
焦点距離14mmでの描写です。
開放のf2.8は描写が甘い。 f4になると随分マシになる。 f5.6になると格段に画質は良くなる。 f8~f11ぐらいが理想的でf16になると回折により画質が甘くなりだす。 最大絞りのf22は荒れ、全体的に眠たい。
SIGMA 24mm F1.4 DG HSM









【結果】
開放のf1.4は若干画質が甘いが、開放にしてはシャープ。 f2~f2.8で改善されf4になると画質は良くなる。 f5.6~f11ぐらいが最も良くf16になると回折により画質が若干甘くなる。 全体的に変化の少ないレンズ。
SIGMA 14mm F1.8 DG HSM









【結果】
開放のf1.8は画質の甘さが目立つ。 f2になると画質の甘さは大幅に改善される。 f2.8になるとかなりシャープな写り。 f4~f5.6ぐらいが実用的でf8になると回折の影響が出だす。 最大絞りのf16は画質の荒れ、色にじみが激しい。
TAMRON SP AF90mm F/2.8 Di MACRO









【結果】
開放からf5.6あたりまでは全体的に画質が甘い。 f8になると画質の甘さは改善される。 f11になるとシャープな写り。 f16ぐらいから回折の影響が出だす。 最大絞りのf22は画質のぼやけている。 このレンズはピントにより開放絞り値が変わりますので、検証の内容は最も遠距離の場合だと思って下さい。
LAOWA 15mm F4 Wide Angle Macro with Shift








【結果】
開放のf4は画質が甘い。 f5.6になると随分画質は良くなる。 f8~f16ぐらいが最もシャープ。 f22になると回折の影響が出だす。 最大絞りのf32になると画質はかなり甘い。
回折の発生状況に関するまとめ
各レンズとも傾向は似たようなものです。
開放ではがシャープネスが乏しく甘い。 1段階絞るとシャープネスが改善されることが多い。 f8~f11ぐらいが最も描写が良い。 f22あたりから回折の影響を受けだす。 最大絞りは使えたものではない。
レンズ毎に若干値は違いますが、傾向は変わりません。
Fマウントレンズに限らず、自身が所有するレンズでどの焦点距離と絞りの組み合わせで画質の善し悪しが出るのかを掴んでおくことは重要です。
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