円周魚眼レンズ
円周魚眼レンズとは魚眼レンズの一種です。
一般的に目にする魚眼レンズは対角線魚眼レンズと呼ばれ、写真は四角く写ります。
これに対し円周魚眼レンズは円形の画角が切り取られ、円の周りが黒くなるのが特徴です。
特殊な写りをするため使う機会は少なく、作例もあまり見かける機会がないと思います。
ただ、どちらも魚眼特有の湾曲した写真が楽しめるレンズとなっています。
円周魚眼レンズと対角線魚眼レンズを比較
円周魚眼を使う前に、まずはその特徴を理解する必要があります。
これは写りの特殊性があるが故のことです。
ということで円周魚眼レンズと対角線魚眼レンズの特徴を比較してみましょう。
項目 | 円周魚眼レンズ | 対角線魚眼レンズ |
---|---|---|
焦点距離 | 6~8mm前後 | 11~16mm前後 |
画角 | 180~210度前後 | 170~180度前後 |
イメージ | 円形 | 四角 |
描写 | 湾曲 | 湾曲 |
被写界深度 | 深い | 深い |
どちらも画角が広く被写界深度は深いのですが、決定的に違うのは円形に写るか四角く写るかという事です。
実際に同じ位置から撮影すると以下のようになります。
円周魚眼レンズで撮影する際の注意点
円周魚眼はかなり特殊なレンズです。
普段使いは難しいでしょう。
とはいえ興味を持つこともあるかもしれません。
ただ、円周魚眼を使って撮影する際は他のレンズにはない注意点があります。
順に説明しましょう。
前玉の取り扱いに注意
円周魚眼を含め魚眼レンズは出目金と呼ばれるレンズが多いです。
これは、極端に広い画角であるため、構造上仕方が無いのですが、前玉にフィルター類の取付が出来ません。
ということで、レンズキャップを外すとレンズが剥き出しになるので取り扱いに注意が必要です。
万が一レンズに直接触れてしまった場合やゴミが付着した場合は即座に除去しましょう。
撮影から帰宅した後もレンズが汚れていないかチェックした方が良いです。
取り扱いには十分注意しましょう。
余計なものが写りがち
円周魚眼レンズは前後左右180度前後と画角が非常に広いです。
ですから、写真に余計なものを写してしまいがちです。
特に足先や指先などレンズ面より前に出ていると、必ずといっていいほど写してしまいます。
足先については少しカメラを前に出すと良いでしょう。
指先についてはカメラの構え方を工夫するしかないです。
普段使いのレンズと同じ感覚で撮影すると、帰ってからパソコンで見て失敗に気づく事もあります。
とにかく周辺にまで気を配る必要のあるレンズといえます。
フィルムカメラでは上下を切られる
円周魚眼レンズはフィルムカメラと相性が悪いです。
35mm判フィルムカメラでは、フィルムに写る範囲よりプリントで焼き付ける範囲が少し狭いです。
円周魚眼レンズで撮影するとフィルム面の縦いっぱいに円形が切り取られるため、その範囲が焼き付け部分より大きくなることがあります。
写真店に何も確認せずプリントに出すと、上や下の切れた円周魚眼写真が出来上がるのです。
切られないためには写真店へ相談のうえ調整してもらう必要があるのです。
現在はフィルムカメラを使っている人が少なくなりましたが、フィルム時代はこういった不具合もありました。
他には無い写真が撮れるけど苦労もあるレンズ
円周魚眼レンズは他のレンズにはない描写が楽しめます。
ただ、普段使いのレンズと比べると取り扱いに注意が必要だったり、撮影方法に工夫が必要なレンズです。
その場で構えて撮るレンズではなく、事前に撮りたいものがハッキリするレンズとも言えます。
ということで、いきなり手を出すと失敗するかもしれません。
まずは前段階として対角線魚眼レンズを試すことをお薦めします。
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