NikonZ8
2023年5月10日。
Nikonのミラーレス一眼カメラZ8が正式に発表されました。
全体的なイメージとしてはコンパクトなZ9といった感じ。
じゃあZ9買う?
ちょっとお待ちを。
Z8はZ9には無い魅力もあります。
そんなZ8の魅力と不満を個人的の見解に基づいてまとめてみます。
【1】コンパクトな躯体
Z9は高性能ですがフラグシップ機ゆえその大きさがネックとなった人もいるはずです。
実際に持つと大きくて重い!
Z9とZ8とZ7Ⅱのサイズを比較してみましょう。
【大きさの比較】
機種 | 寸法(幅×高さ×奥行き) | 重量 |
---|---|---|
Z9 | 約149×149.5×90.5mm | 約1340g |
Z8 | 約144×118.5×83mm | 約910g |
Z7Ⅱ | 約134×100.5×69.5mm | 約705g |
Z8はZ9に比べて重量が約430g軽くなっていますので、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S、1本分ぐらいですね。
また、高さも31mm低いのでカメラバッグも小さくて済みます。
個人的には三脚を多用するので持参する三脚や雲台も小さくて済みますし、雲台を縦位置にする際も重心が寄らないのでバランスが良いです。
撮影の道具として、軽くてコンパクトになったというのはそれだけで大きな利点となり得ます。
荷物を軽くできる!
軽くなった分、余分に機材を持っていく!
選択肢は広がります。
ただ、Z7Ⅱと比べると約205g重いので、新技術が不要な人はZ7Ⅱという選択肢も無くはないと思います。
実売で18万円ぐらいの差がありますので、その分をレンズ資産に持っていくことも考えられます。
【2】被写体検出機能
Z9は高性能な被写体検出を搭載していました。
これは人物、犬、猫、鳥、車、バイク、自転車、列車、飛行機を検出しAFが動作するというものです。
動体を中心に撮影する人はもちろん、ポートレートやスナップにおいても大きな力を発揮します。
Z8ではZ9の被写体検出項目から飛行機を分離させ、より高精度な被写体検出が可能となっています。
Z9では「乗り物」でひとまとめだったのが、Z8では「飛行機」が分離した形ですね。
検出能力は撮像範囲の長辺の約3%となっていますので、遠くに小さく見える被写体まで検出可能。
更に、夕暮れの薄暗い状況でもAFの食いつきの良さが評価されています。
既にネット上に投稿されている写真からも、その高性能ぶりが分かります。
ナイトシーンでAFが迷う事も少なくなりそうですね。
【3】Real-Live Viewfinder
Z8ではReal-Live Viewfinderを搭載しています。
これは撮影時のEVF(液晶ファインダー)のブラックアウトを防止する機能です。
Z6を使っているとこのあたりは非常に気になったところ。
というかなかなかの”イライラ”ポイント。
シャッターを切る度に液晶ファインダーがブラックアウトして被写体を見失う事も多かったのです。
デジタル一眼レフカメラから移行したので余計に感じたのでしょうね。
ということでReal-Live Viewfinderの搭載は好感が持てます。
【4】センサーシールド
Z8はZ9同様センサーシールドが搭載されました。
センサーシールドとはイメージセンサーを保護するためのシャッターのような機構です。
デジタル一眼カメラの場合はミラーやシャッター幕があったため、比較的イメージセンサーにゴミや埃が付着しにくい構造でした。
しかし、ミラーレス一眼カメラはレンズを取り外すとイメージセンサーが剥き出しとなるため、ゴミや埃が付着しやすい状況となります。
更にミラー機構が不要である分、マウントからイメージセンサーまでの距離も短くレンズ交換の際に指で触ってしまう危険性も上がりました。
こういった不慮の事故の際も被害を低減してくれるのがセンサーシールドです。
道具としてのタフさ。
地味ですが、こういった部分は写りの根幹にかかわりますので、Z8といわず全ての機種に搭載して欲しいですね。
【5】SDカードが使える
今や高級機では当たり前になったダブルスロット。
1台のデジタルカメラに2枚のフラッシュメモリが挿入できるものです。
順次書き込みはもちろん、同時書き込み、コピーなどが出来る為、メモリ破損などのリスク分散に最適です。
Z8においてもダブルスロットが採用されています。
スロット1はCFexpressカード(Type B)/XQDカード、スロット2はSD/SDHC/SDXCメモリーカードとなっており安価で普及しているSDカードが使えるのは有難いです。
いざという時もコンビニに行けば手に入りますからね。
速度はCFexpressカード(Type B)/XQDカードに比べれば遅くなりますが、単発の写真撮影なら問題ありません。
このあたりはZ7Ⅱに近いと感じます。
【6】縦横4軸チルト式画像モニター
Z9に搭載されていた縦横4軸チルト式画像モニター。
正直、メチャクチャ欲しかった。
Z6に搭載されているチルトモニターは横構図なら使えるのですが縦構図にはイマイチ使えず。
縦構図で低いアングルや高いアングルの場合、鏡なんかで代用していたのです。
そんな悩みを解消してくれるのが縦横4軸チルト式画像モニター。
Z8にも搭載されました。
縦構図で低いアングルを撮りたい人向け。
個人的にこれはポイントが高いです。
【7】赤色画面表示
天才写真の撮影はメクラで操作することが多いのですが、それでもちょっとした設定変更の際には液晶画面を確認します。
闇夜に慣れていると液晶画面って眩しいんですよね。
そんな悩みを解決してくれるであろう機能が液晶の赤色画面表示。
液晶が明るさを抑えた赤色で表示されるため液晶特有のギラギラした明るさが軽減されます。
トラックのナイトシーンにおいても完全に日が落ちた後なら活躍しそう。
【8】起動時間、レスポンス
Nikonのデジタル一眼レフカメラからミラーレス一眼カメラに換えて一番感じるのは起動時間やレスポンスの遅さ。
Z6においては起動が1秒ぐらいに感じます。
これがD750に慣れるとメチャクチャ遅く感じる。
これがZ8においては約0.4秒となっていますので、ほぼデジタル一眼レフカメラと同じ感覚で使えそうです。
また、背面液晶における撮影画像の確認もモタモタ感があって何とかして欲しいところ。
Z8における表示の速さも注目しています。
このあたりは道具として重要な部分。
【9】プリキャプチャー機能
撮影していて決定的瞬間を逃した経験がある人。
あともうちょっと早く撮影していれば・・・。
そんな人向けの機能がプリキャプチャー機能。
これは一定条件のもとシャッター全押しから手前に遡って写真を記録する機能です。
Z9ではファームウェアのバージョンアップで可能だったこの機能が、Z8では標準搭載されました。
動きが速いものを撮る時に重宝しそうです。
これは要らん!
コンパクトで非常に高性能なZ8ですが、要らなかったり「何でこうなった?」とツッコミたくなる部分もあります。
順に挙げていきましょう。
パワーバッテリーパック MB-N12
Z8に専用バッテリーパックを取付けると正直大き過ぎます。
コンパクトなZ8なのでこの部分はもう少しコンパクトにまとめて欲しかった。
取り外しできるという利点はありますが、これならZ9買った方が便利なような気がします。
デザインもボディの幅と微妙に合っていなくて不格好。
カメラは写真を撮る道具なのでデザインも重要かなと・・・。
不格好なものを使うとテンション下がりますね。
撮影可能コマ数
高度な機能をコンパクトなボディにギュウギュウ詰めにしたZ8のバッテリーはEN-EL15c。
Z7Ⅱと同じです。
当然、撮影可能枚数はZ7Ⅱより少なく、
モニターモード[ファインダーのみ]時:
[パワーセーブ(静止画モード)]が[ON]の場合:約340コマ
[パワーセーブ(静止画モード)]が[OFF]の場合:約330コマ
となっています。
これはZ9と比べると半分以下。
このあたりは新しいバッテリーを期待していただけに残念なところです。
参考までにZ9のバッテリーが10.8V 3300mA、Z8のバッテリーが7.0V 2280mA。
電圧からして違うので仕方が無いと言えばそうなります。
で、おいくら万円?
最終的に気になるのはお値段ですが、Z9の最安値が62万円前後、Z7Ⅱが36万円前後です。
現在のところ最安値は54万円前後。
安い?高い?
「いくらなら買いたい」というのは、撮影スタイルや現在使っている機材によっても変わってくるでしょう。
高性能といっても使いこなせなければ意味がありません。
ただ高画質のカメラが欲しいだけならZ7Ⅱで十分という考え方もありです。
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