NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sは2022年1月に登場した標準ズームレンズです。
そのコスパの良さは以前解説しました。

写真を撮る際のレンズは被写体によって選ぶ方が良いと考えています。
ではNIKKOR Z 24-120mm f/4 Sで何を撮りたいかというと夜景、ナイトシーンです。
今まで、主に夜景の撮影で使っていたのはAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED。
NikonFマウントの大三元レンズです。
このレンズもゴーストの出にくさなど、ナイトシーン撮影に適していました。

NIKKOR Z 24-120mm f/4 SがAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G EDと同等かそれ以上であれば1本にまとめたいと考えています。
ということで、ナイトシーンの写りはどうなのか以下の点について比較してみました。
・ゴーストの出具合
・光条の出かた
・テレ側の描写
それぞれ見ていきましょう。
ゴーストの出具合
トラックのナイトシーンはゴーストとの戦いでもあります。
最近は超高輝度LEDが多用されているトラックもあり、ゴーストが出やすいレンズは不利となってきました。
ナイトシーンを綺麗に撮影するならゴーストが出にくいことは重要なのです。
そこで試し撮り。
NIKKOR Z 24-120mm f/4 SがAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G EDで同じ被写体を撮影し、ゴーストの出具合を比較します。


左:NIKKOR Z 24-120mm f/4 S、右:AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
ゴーストが写りやすいように、輝度の強いトラックを選びました。
また、ゴーストを見やすくするため画像アプリケーションで+5EVまで露出を増やしています。
どうでしょう?
どちらも優秀ですが右の写真は荷台上部に青紫色のゴーストが表れています。
この1カットだけで判断するのは難しいのですが、NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sの方がゴーストが出にくいようです。
ただ、実際はここまで露出オーバーで撮ることは無いので、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G EDを使ってもゴーストが目立つことは無いかもしれません。
どちらも優秀です。
光条(光芒)の出かた
ナイトシーンの撮影は絞り込むことが基本です。
その際に出来る光条(光芒)は写真のイメージに影響します。
光条の表現は絞り羽根の枚数や形状に影響され、奇数絞りのレンズですと電飾等がソフトに表現されますし、偶数絞りならしっかり写り込みます。
今回の2製品ですが、NIKKOR Z 24-120mm f/4 S、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G EDのどちらも絞り羽根は9枚の奇数絞りです。
カタログの上では同じ9枚ですが、写りはどう違うのでしょうか?
比較してみます。


左:NIKKOR Z 24-120mm f/4 S、右:AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
絞りの値はどちらもf8です。
若干、光条の表現が違うのが分かります。
これぐらいの差となると個人の好き嫌いもあるでしょう。
個人的にはAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G EDの方が柔らかくて好きです。
NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sは少々わざとらしい。
テレ側の描写
テレ側というのはズームレンズの望遠側焦点のことです。
NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sなら120mm、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G EDなら70mmのことです。
なんで、わざわざテレ側を比較するかというと、ブレやすいからです。
これはレンズ単体の問題とは限りません。
三脚との相性やボディとのバランスも影響してくるのです。
昼間の手持ち撮影なら問題なく使えても、スローシャッターにすると使えなくなるレンズは多いです。
そのあたりを比較してみます。


左:NIKKOR Z 24-120mm f/4 S、右:AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
どちらも似たようなものです。
テレ側の焦点距離が違いますので、写る大きさが違います。
ある程度しっかり三脚に固定出来ていれば、双方とも剛性は高くブレは目立たないようです。
NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sになって120mmが使えるということで、ナイトシーン撮影時の表現は広がりそうです。

NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sは大三元レンズを超えるか
「NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sは大三元レンズを超えるか」というと、描写の面では似たり寄ったりです。
ただ、軽さや長さ、120mmが使えることなどを考慮するとNIKKOR Z 24-120mm f/4 Sはお勧めです。
フルサイズのZシリーズを使っているなら、Zシリーズのズームレンズを使った方が良いでしょう。
あとは、ナイトシーン撮影で気になった点を紹介します。
暗い場所でAFが迷うことも
双方のレンズで大きく違う部分のひとつに開放時のf値があります。
レンズの明るさですね。
NIKKOR Z 24-120mm f/4 S=4
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED=2.8
となっていますのでAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G EDの方が1段階明るいです。
一般的に暗い場所では、明るいレンズの方がAF精度が高いです。
実際、NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sで100枚ほど撮影しましたが、3枚ピンボケとなりました。
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G EDではそのようなことはありません。
イベント会場は比較的明るいことが多いのでこの程度で済みますが、星景など光が少ない場面では大きな差となるかもしれません。

ファインダーを使わないクセが付く
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G EDはFマウントレンズなので基本的にデジタル一眼レフカメラで使います。
その場合、構図やピントの確認はファインダーで行うことになります。
ところがNIKKOR Z 24-120mm f/4 Sはミラーレス一眼カメラですので、意図してファインダー優先にしない限り、背面液晶画面で構図やピントを確認するクセが付きます。
これについては良い点と悪い点があります。
【良い点】
ファインダーの外が確認しやすい。
低い構図の場合に屈まなくても画像を確認できる。
姿勢が楽。
操作性が良い。
外部の設定が同時に確認できる。
【悪い点】
ピントをしかり確認しなくなる。
撮っている感が少ない。
撮っていると認知されにくい。
バッテリーの消耗が激しい。

結局使いやすい方が良い
双方を比較すると一長一短です。
ただ、カメラやレンズは道具ですので使い勝手が重要です。
個人的にはNIKKOR Z 24-120mm f/4 Sのほうが使いやすいと感じます。
今買うなら中古価格の落ち着いているAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G EDより、新品のNIKKOR Z 24-120mm f/4 Sをお薦めします。
Fマウントのデジタル一眼レフを使っているなら、この際ミラーレスに換えるのもありです。
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