プラモデル撮影
プラモデルは小さな被写体であるため、その撮影は奥が深いです。
自然光で撮ると光が強すぎたり、影が邪魔したりします。
風の影響も受けやすいでしょう。
また、大きさの関係で近寄って撮影する為、最短撮影距離の不足やボケ具合のコントロールに苦労するかもしれません。
簡単にみえて難しいプラモデル撮影。
上手く写すためのできるちょっとした工夫を紹介します。
スマホで撮ると上手く写る?の謎
さて、プラモデルを撮影する際、多くの方が”スマホで撮ると上手く写る”という経験をすると思います。
逆に、高価なデジタルカメラで撮った方がイマイチな仕上がりになることもあります。
この原因として挙げられるのは、ズバリ「被写界深度による見え方の違い」です。
写真を撮る際、レンズのピントは基本的に1平面にしか合いません。
しかし、実際に写った写真はピントが合っている1平面の前後も合っているように見えます。
このピントが合っているように見える範囲を被写界深度と呼びます。
スマホのカメラはイメージセンサーが小さいため被写界深度が深く、ピントが合っているように見える範囲が広くなります。
逆にデジタル一眼カメラはイメージセンサーが大きいため被写界深度が浅く、ピントが合っているように見える範囲が狭くなります。
イメージセンサー | 被写界深度 | ピントが合っているように 見える範囲 | |
---|---|---|---|
スマホのカメラ | 小さい | 深い | 多い(広い) |
デジタル一眼カメラ | 大きい | 浅い | 少ない(狭い) |
被写界深度が浅いとプラモデル全体がハッキリと写らないため写真としての仕上がりも物足りなくなります。
実物と比較した際に、ピンボケの範囲が大きく違うというのもあります。
デジタル一眼カメラは絞りの調節が出来ますが…
デジタル一眼カメラの多くはレンズの交換が可能です。
ほとんどの交換レンズには絞り機構が内蔵されています。
この絞りには2つの役割があり、
【1】レンズを通過する光の量を調節する
【2】被写界深度を調節する
といった調節が可能です。
ですから、デジタル一眼カメラで撮影する場合、絞りを調節することによって光の量だけでなく、被写界深度を変更(深く)することも可能です。
実際にやってみましょう。
上の写真が絞りを絞らない状態、下の写真が3段絞った状態です。
ピントの位置は同じ。
下の写真の方が奥まで写っていることが分かります。
ですから、デジタル一眼カメラでも絞りを絞ることによって、ある程度はプラモデル全体を写すことが可能です。
ただ、イメージセンサーサイズの違いを補完できるほど変わるわけではありません。
案外有利な「離して撮る」
被写界深度はイメージセンサーの大きさと絞りで変わります。
ただ、被写界深度が変わる要素はまだあります。
ひとつはレンズの焦点距離。
そしてもう一つは被写体までの距離です。
焦点距離については、望遠側になるほどボケやすくなります。
飛行機や鳥などの撮影で背景が綺麗にボケているのは望遠レンズを使うからです。
ただ、背景がボケやすい分、本来写したい被写体も完全に写り切らないことが多いです。
当然、プラモデルのような小さな被写体を写そうとすると半分以上ボケてしまいます。
逆に広角レンズを使うと被写界深度は深くなり、背景はボケにくく、被写体もボケにくくなりますが、構図いっぱいに撮影しようとすると被写体に近づく必要があり、一般的に最短撮影距離が足りずに上手く撮れません。
ですから、広角を使った被写界深度対策は有効ではないと考えます。
では、被写体までの距離を調整する案はどうでしょうか。
個人的にはこれは結構使えると思っています。
どういったものか。
実際にやってみましょう。
まずは、離れて撮ります。
焦点距離は先ほどと同じ24mm。
絞り値はf/2.8です。
背景の紙が切れてしまったり、周りに余分なものが入ってしまいますが気にしてはいけません。
この状態で周りをトリミング(余分な部分を切り取る)します。
はい、こんな感じ。
先ほど撮影した写真と比べてみましょう。
同じカメラ、同じ焦点距離、同じf値です。
随分見え方が違うと思います。
当然、トリミングしますので切り取られた後の写真は画素数が少なくなります。
SNSに載せる程度なら問題ありませんが、切り取り後の画素数により印刷は難しいかもしれません。
また、離れることにより見え方は望遠側になります。
広角レンズで撮影しても、遠近感は出ませんのでご注意ください。
被写界深度のコントロールでプラモデル写真は大きく変わる
被写界深度をコントロールするとプラモデル写真の見栄えは大きく変わります。
どれだけ高級な撮影機材を使っても、被写体(プラモデル)が綺麗に写っていなければ台無しです。
被写体を綺麗に表現するための被写界深度コントロール。
ちょっとした知識と工夫で出来てしまいますのでやってみてください。
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