プラモデルの写真
プラモデルをはじめ模型の写真は、小さなものを近づいて撮ります。
この時、どうしても被写界深度の関係でピントが合っているように見える範囲が狭くなります。
被写界深度を意識せず撮影した写真は、作品の一部がボケているためミニチュア感が否めないものとなります。

「意図してこのように撮る」というのも否定しませんが、できれば全体にしっかりピントを合わせた方が見栄えが良いです。
フィルムカメラ時代はピント面を曲げる特殊なレンズ(ティルトレンズ)を使い、プラモデル全体にピントを合わせるのが主流でした。
しかし、デジタルの時代になり様々な技術が導入されることにより、今までにない表現も可能となっています。
ですから、そういった技術を使い小さな被写体全体にピントを合わせる方法を検討してみます。
離れれば撮れるのですが・・・
被写界深度を深く見せるテクニックとして、離れて撮影するというのを紹介しました。

写真は被写体に近くなればなるほど、被写界深度が浅くなります。
そこで、「離れて撮影するといいですよ!」と紹介したのですが、この撮影方法には欠点があります。
その一つが、焦点距離が望遠側になってしまうという事。
たとえ広角レンズを使おうが、中央を切り取るので望遠レンズと似たような効果となります。
広角レンズ特有パースペクティブ満載の写真を撮影しようと思ったのなら、この方法は使えません。
何とかパースを生かしつつ撮れないものかと考えます。
被写界深度合成をしてみる
被写界深度合成とはデジタル画像特有の技術です。
同じ構図でピントの違う複数の写真を合成し、1枚の被写界深度が深い写真を作り出します。
実際にやってみます。
コチラ先ほどと同じ構図の写真。
焦点距離は24mm相当です。

広角領域なのでパースが強調されていますね。
絞りはf8ですが、カメラとの距離が近いためキャビンあたりにしかピントが合っていません。
絞りの値をf16やf22にしても、大幅に改善することはないです。
ということで被写界深度合成してみます。
使ったのは以前紹介したCombineZP。
フリーソフトでお試しにはちょうどいいです。
CombineZPのインストールはコチラからできます。

ということで、このアプリケーションを使って被写界深度合成したのがコレ。

f8で1枚撮りしたものより、全体的にピントが合っています。
助手席側のミラーステーから箱の文字まで認識可能ですので、非常に被写界深度が深い写真となっています。
広角特有のパースペクティブも失われていませんね。
一般的なレンズを使っての撮影は不可能でしょう。
深度合成は模型写真の表現に有効と考えることが出来ます。
ちょっと失敗したのが、キャビンの真ん中あたりと運転席側のミラーステーがピンボケなところ。
このあたりは、撮影枚数を増やすことで修正できます。
深度合成は模型写真必須の技術
プラモデル写真は被写界深度コントロールが必須です。
どれだけしっかり作っても、ピンボケなら魅力は伝わりません。
もし、プラモデルの写真を本格的に始めるのならティルトレンズを使うことをお薦めします。
気軽にする場合は、被写界深度合成の出番といえます。
PhotoShopの最新版があればできますし、フリーソフトでもできます。
カメラはスマホでもできなくはないのですが、できればマニュアル操作が出来るデジタル一眼カメラの方が良いです。
絶対ではありませんが、良いものを撮影したいならある程度の投資は必要かもしれません。
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