Nikon Z5Ⅱ
Nikon Z5Ⅱは2025年4月25日に発売されたミラーレス一眼カメラです。
上位機種の優れた撮影機能、性能を継承しながら、暗所をはじめとした幅広い撮影シーンへの対応力が向上した製品となっています。

また、上位機種である Z9 や Z8 と同じ画像処理エンジン「EXPEED 7」を採用し、ディープラーニングを活用したAI技術による被写体検出や、旧機種 Z5と比較して約1/3の時間で合焦可能なAF性能で、被写体へのピント合わせも容易にできます。
全体的に大きくアップグレードされたZ5Ⅱ。
今回は、Z5Ⅱをもって夜景(デコトラのイベントでナイトシーン)を撮影してみました。
その実力とは?
デコトラのイベントで撮るナイトシーンとは?
春から秋にかけて、全国でデコトラのチャリティイベントが開催されます。
イベントには多くのデコトラが参加し、日が暮れると一斉に電飾に灯がともされ、それはそれは美しい情景が広がります。

そういった情景を上手く撮影できると、思い出がより鮮明に残るでしょう。
できる限り綺麗に残したい。
綺麗に撮影するために・・・
まずは、デコトライベントにおけるナイトシーン撮影とはどういった状況なのか確認しておきましょう。
【デコトライベントにおけるナイトシーン撮影とは?】
・夕方、日没前からデコトラの電飾が点灯され始める
・電飾の点灯と共に帰り始めるトラックも多い
・イベント会場は広く、ナイトシーン撮影だけで3kmほど歩くことも少なくはない
・電飾はリレー機により点滅しているので、スローシャッター撮影が基本
・見学、撮影している人は多いので、人を避けての撮影となる
・派手な電飾のトラックは人が多すぎで撮影できない

このように、
短時間で
歩きまわりながら
人を避けて
撮影する
という、かなり忙しい撮影環境であることが分かります。
夜景としてはちょっと特殊な部類に入る撮影環境でZ5Ⅱがどう活躍するのか?
見てみましょう。
Nikon Z5Ⅱに期待する性能とは
新しいカメラには、先進の機能が搭載されることが多く、それが既存の上位機種を超えることも珍しくはありません。
Z5Ⅱでデコトライベントでナイトシーンを撮影する際に期待した先進の機能は以下のとおりです。
・手振れ補正中央7.5段・周辺6.0段
・バリアングル液晶の操作性
・暗い場所でのAF検出能力
これらは既出の製品から性能が向上しているとされています。
ちょっとした進歩が、大きく影響することもある写真の世界。
性能や使い勝手が写りにどう影響したか?
上記の点について見ていきましょう。
手振れ補正中央7.5段・周辺6.0段
まず、Z5Ⅱの登場で最も期待したのが手振れ補正の能力。
Z5Ⅱは中央部で7.5段、周辺部で6.0段の手振れ補正効果が期待できます。

現在、主力で活躍しているZ8が6.0段ですので1.5段分性能が上がったことになります。
とはいえ、製品仕様における手振れ補正効果は、装着するレンズや焦点距離によっても変わります。
こういった場合、
「撮影に使用するレンズで、どこまでシャッター速度が落とせるか」というのが重要となってきます。
ということで、使用頻度が高いレンズを使用して、手振れ補正の効果を確認してみました。
【撮影データ】
NIKKOR Z 24-120mm f/4 S(24mm)
Aモード ISO-AUTO
【元の写真】
【シャッター速度:1/2秒】
【シャッター速度:1/1.6秒】
【シャッター速度:1/1.3秒】
【シャッター速度:1秒】
写真は中央部を原寸大で切り取っています。
手持ち撮影は構え方によっても大きく変わってきますが、しっかり構えれば1/1.3秒ぐらいまで実用できると思います。
この違いは大きい。
今まで、リレーの関係で写りきらなかった電飾も、その多くが写せることになります。
バリアングルの操作性
Z5Ⅱではバリアングル液晶を採用しています。

バリアングル液晶は、背面モニターをカメラの左側に開いて上下方向に回転できる構造となっています。
アングルの自由度が高く、自撮りも可能ですが、視線のズレが発生したり、操作が煩雑となったりします。
これらを踏まえたうえで、実際に使ってみた感想を挙げます。
まず、アングルの自由度については、チルト式モニターよりも高く、特に縦構図での撮影に重宝しました。

ただ、ローアングル時、ハイアングル時は、必ずと言っていいほどボディの外側に液晶モニターを開く必要があるため、まあまあな面倒くささを感じます。
特に夜景は暗闇での撮影であるため、液晶モニターを開いた状態での移動は思わぬ事故を引き起こしてしまう可能性があります。
ですから、
液晶モニターを開く
↓
撮影
↓
液晶モニターを閉じる
↓
移動
といった動作を繰り返すこととなったため、まあまあな面倒くささを感じてしまいました。
デコトライベントにおけるナイトシーン撮影で三脚を使用する場合、ウェストレベルでカメラを固定することが多くなるため、どうしても操作、確認は液晶画面頼りになります。
こういった撮影の特殊性を考えるとバリアングル液晶よりもチルト液晶(欲を言えば4軸チルト液晶)の方が便利であると考えます。

視線のズレは気になるか?
視線のズレに関しては、慣れればそれほど気になりません。
動いている被写体を追いかけながら撮影するような場合には、視線のズレが大きく影響しますが、停止している被写体の構図を決める分には大きな支障とはなりません。
デコトライベントでのナイトシーン撮影は後者に当たるため、この点では安心して使用できると思います。

暗い場所でのAF検出能力
デコトラのナイトシーンは点光源でできています。
ですからAFを使用してピントを合わせる際、点光源へフォーカスポイントを設定するのが重要となります。

Z5Ⅱでは、暗い場所でのAF検出能力が向上したとされています。
しかし、これはあくまでも「被写体として認識できるものがフォーカスポイントにある」ことが前提です。
実際、AFが苦手とする平滑な荷台など陰影が少ない部分にフォーカスポイントを持っていくと、ピント合わせで迷子になりました。
暗い場所でのAF検出能力が向上したとはいえ、カメラ任せにするのではなく正しい場所にフォーカスポイントを設定するのが重要となります。
この点ではZ6やZ8と大きな違いは感じませんでした。
ナイトシーン撮影が大きく変わるNikon Z5Ⅱ
NikonZ5Ⅱを使用することによりデコトライベントにおけるナイトシーン撮影は大きく変わります。
最も大きな変化を得られる性能は手振れ補正の進化で、今までシャッター速度1/3秒程度までで撮影していたものが1/1.3秒ぐらいまで実用できるようになりました。
これは数字以上に大きな写りの違いとなります。
電飾の写り込み量が倍以上になりますので華やかさが大きく変わります。


もちろん、シャッター速度においては”大は小を兼ねる”が通用しますので、写り込み量を減らすことも可能。
表現の幅は広がります。
また、今まで電飾の写り込み量を増やすために三脚を使用していたのですが、手振れ補正の進化により三脚を使用しなくても同様の写真が撮影できるようになります。
ですから、三脚の縛りから外れた高い構図、低い構図、狭い場所での撮影も可能となります。
これは大きな進化です。
1/3秒縛りから解放されたNikonZ5Ⅱ。
おまけにお値段23万円前後と、最近のフルサイズ一眼カメラとしては格安。
これからデジタル一眼カメラを買おうとする人にもおススメできる1台です。
コメント