NDフィルターとは?
NDフィルターとは写真撮影等の際にレンズから入る光の量を減らすために使うグレー色のフィルターです。
写真の色目を変えることなく、光量を減らすことが出来るのが特徴です。
このNDフィルターは主に明るい時間帯にスローシャッターを切るために使用されます。

デジタル一眼カメラの場合、レンズの絞りを絞り込むことによって、ある程度光量を減らすことが出来ます。
しかし、絞り過ぎることによって回析が発生したり、露光量が最小絞りの限界を超えるような場合には対応しきれないことがあります。
こういった場合は、NDフィルターを使ってレンズ前面から入る光を強制的に減らすことで適正な明るさの写真となります。
NDフィルターは減光量が決まっている?
一般的にNDフィルターは減光量(暗くなる度合い)が決まっています。
例えばND2は元の明るさの1/2に減光しますし、ND8は1/8に減光します。
このようにNDフィルターの減光量は変更が出来ません。

撮影している最中にND2からND8へ変更したい場合は、フィルターを差し替える必要があります。
これがかなり面倒。
多くのフィルターはねじ込み式を採用している為、フィルターをひたすら回転させるという作業になるからです。
減光量が変更できる可変NDフィルター
そんな中、最近多くなっているのが可変NDフィルター(可変式NDフィルター)です。
可変NDフィルターは一定の範囲内で減光量を調整できるのが特徴です。

減光量の変更はフィルター枠に取り付けたままできるものが多く、実際に撮影しながら減光量を確認できるので非常に便利です。
そんな可変NDフィルターについて検証してみます。
今回使用したのはKenko Variable ND Initial。
参考までに。
前枠を回転させることで減光量を変更
可変NDフィルターは前枠と後枠の二重構造になっており、前枠を回転させるとこによって減光量が変わります。
ちょうどPLフィルターのようなイメージです。

写真のように前枠を回転させることによってグレーが少しずつ濃くなっていくのが分かると思います。
Kenko Variable ND Initialの場合、減光量はND3~ND450相当です。
最も明るいND3の場合グレーは薄く、最も暗いND450まで変更するとほぼ真っ暗となります。
NDの値(減光量)は製品によって違いますので、どのくらいの減光量が必要かという基準で選ぶと良いかと思います。
手軽にスローシャッターを楽める
では、可変NDフィルターを使って撮ってみましょう。
ちょっと遠いのですが国道を走る車を撮影してみました。

露出から推測するとNDは128相当です。
ISOは100で固定(ISO-AUTOは切る)し、絞り優先(Aモード)としてください。
絞り値は日中ならf8ぐらいで良いかと思います。
構図を決めたらシャッター速度を確認し、可変NDフィルターで減光量を調整します。
参考写真の場合シャッター速度は1/4秒でした。
車が少しブレていますね。
絞り優先(Aモード)ですので減光量が多くなればシャッター速度は遅くなりますし、少なくなればシャッター速度は速くなります。
更に減光量を上げてみましょう。

減光量はND450相当(最も暗い)となっています。
路上を走るトラックの荷台の跡が、薄く白く残っていますね。
信号機の黄色と赤色が同時に点いているという謎の状況も発生しています。
シャッター速度は3秒ですので3秒の間に起きたことが1枚の写真に納まっています。
スローシャッターで三脚は必須
NDフィルターを使う事によって、明るい場所でもスローシャッター撮影が楽しめます。
ただ、シャッター速度を遅くするので手ブレは発生しやすくなります。

手ブレを起こさない為のシャッター速度は、
シャッター速度 < 1/レンズの焦点距離
※焦点距離は35mm判で換算
ということでした。
焦点距離200mmのレンズを使用した場合、シャッター速度は1/200秒より速くしないと手ブレの危険性があるという事ですね。
シャッター速度は遅くしたいけど手ブレは発生させたくないという場合は三脚の使用が便利です。
ですから、NDフィルターを利用したスローシャッター撮影をする場合は三脚を持参することを忘れないでください。
レンズキャップはひとつ大きなものを用意
今回使用したKenko Variable ND Initialはフィルターの前枠がひとまわり大きいような構造でした。
フィルター枠は77mmですが前枠は82mmとなっています。

ですからレンズに付属するレンズキャップは使えません。
カメラバッグ等に入れる場合はフィルター面に傷がつく恐れがありますので、別途レンズキャップを用意した方が良いです。
また、前枠が大きいので多くのレンズではレンズフードの脱着ができません。
たとえ付いたとしてもフィルター枠の回転が困難となる為、フード改造等の小技が必要になるでしょう。
レンズフードは無しで撮影した方が簡単です。
濃淡は出る(濃度ムラ問題)
多くの可変NDフィルターに共通していることですが、Kenko Variable ND Initialに関しても減光量の濃淡が出ます。
いわゆる濃度ムラですね。

それは写真に帯状の影となって現れることが多いです。
こういった点では固定式NDフィルターの方が良いといえます。
便利ですがデメリットも理解しておきましょう。
メリットとデメリットを理解した機材選びを
可変NDフィルターのメリットとデメリットは以下のとおり。
【メリット】
フィルター交換の手間が少ない
撮影しながら減光量を調節できる
荷物を少なくできる
【デメリット】
濃度ムラが出来る
お値段は高め
こんな感じです。
撮影機材はメリットとデメリットを理解したうえで選ぶようにしましょう。
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