レンズの絞りを絞り込んで撮影すると・・・
撮影時に背景までしっかりと写すテクニックとして、レンズの絞りを絞り込む(大きい値にする)というものがあります。
これは絞り機構を持つ、カメラ用の交換レンズに共通していえることです。
絞り込んで撮影すると、背景までしっかり写るので、被写体に近づいた時や風景を撮影する際に良いです。
しかし、多くのカメラ用交換レンズでは絞り過ぎての撮影を避けた方が良いと考えます。
それはいったいどういうことか?
説明しましょう。
光の回折現象(かいせつげんしょう)が起こる
光の回折現象とはレンズに内蔵された絞り羽根の裏側に光が回り込む現象です。
この現象は別名、小絞りボケとも呼ばれ写真の解像度が低下を招きます。
実際に回折現象で解像度が低下する様子を見てみましょう。
左が絞り値f8、右がf22です。
見比べると文字の解像度が明らかに違いますし、白色の滲み具合も違います。
これにより、絞りすぎると画質が悪くなるというのが分かります。
露出不足による画質低下
「絞りを絞る」ということは、光を通る穴が小さくなりますので、イメージセンサーに届く光が減ります。
これにより、撮影環境によっては露出が不足します。
例えば、適正露出が以下の被写体があるとします。
焦点距離 50mm
シャッター速度 1/125秒
絞り f8
ISO 100
この状態で、絞りをf22まで絞り込んだ場合を想像してください。
露出は3段階分不足しますので、シャッター速度を3段階遅くして露出を稼ぐ必要が出てきます。
3段階遅くするということは、シャッター速度が1/15秒になるということです。
レンズの焦点距離は50mmですので、手持ち撮影すると手ブレを起こしてしまいます。
手ブレを防止する方法のひとつとして、シャッター速度はそのままにISO感度を上げることが考えられます。
ISO感度を上げると、多くの場合画質が低下します。
ですから、回折現象を置いておいても、絞り込み過ぎることは画質低下を招きやすいということです。
絞り込みはほどほどに
絞りを絞ると、ある程度までは被写体がシャープになり、背景までしっかり写りやすいです。
しかし、絞り過ぎはよくありません。
一般的なカメラ用レンズですとf8~f11ぐらいを目安にすると良いです。
これは製品によって違いますので、新聞などの細かい文字を撮影してみて、どのあたりが最適かを確認しておくと良いでしょう。
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