フルサイズとAPS-C
イメージセンサーは光を電気信号に変換する半導体です。
デジタル一眼カメラを筆頭に、デジタルカメラの性能を左右する最も分かりやすい部品のひとつです。
現在、発売されているデジタル一眼カメラは、イメージセンサーのサイズ別にフルサイズとAPS-Cに分かれます。
フルサイズとAPS-Cは単純に比較するとイメージセンサーのサイズが違います。
名称 | イメージセンサーサイズ | 規格 |
---|---|---|
フルサイズ | 36mm×24mm | 統一規格 |
APS-C | 23.6mm×15.7mm | 製品によって違う |
おおよそですが、フルサイズはAPS-Cの2.3倍の面積があります。
同じ画素数でも1画素当たりの面積が広くなるため、フルサイズの方が高画質といわれています。
では、それ以外に違いはあるのでしょうか。
5つのポイントで比較してみましょう。
画角が変わる
フルサイズとAPS-Cでは画角が変わります。
画角とは、カメラで撮影した際に実際に写る範囲のことです。
広角レンズなら画角が大きいので、より広い範囲が写りますし、望遠レンズなら画角が小さいので、狭い範囲しか写りません。
一般的なAPS-Cのカメラはフルサイズのカメラに比べて、1.5倍の焦点距離(製品によって違う)になります。
例えば、焦点距離24mmのレンズを、APS-Cのカメラに装着すると焦点距離36mmになります。
ちょうどレンズの中心を切り取るようなイメージです。
ですから、APS-Cは広角側に弱く、望遠側に強いことになります。
APS-Cのカメラには、それ専用のレンズが用意されています。
小さいイメージセンサー用に設計されていますので、フルサイズのカメラで使用すると影が出ることがあります。
基本的に使わない方が良いでしょう。
逆の場合はほとんど問題がありません。
ボケの量が変わる
イメージセンサーが大きいほどボケ量が多くなります。
ということでフルサイズの方がボケの量が多いです。
これは、同じ画角で比較した場合です。
APS-Cのカメラはフルサイズのカメラに比べて、焦点距離が1.5倍になるのですから当然のことです。
フルサイズで300mmを使うところ、APS-Cなら200mmで足りるからです。
f値が同じなら、200mmレンズより300mmレンズの方がボケ味が綺麗ですから。
注意したいのは全く同じレンズを使って、同じ距離から撮影した場合は、ボケ量に違いが無いということです。
あくまで、同じ画角で比較した時と覚えておいてください。
暗所での写りが変わる
イメージセンサーが大きい方が暗いところでも綺麗に写ります。
これについてはイメージセンサーの開発時期や、画像エンジンの性能によっても変わってきます。
「こういった傾向がある」という程度に覚えておいてください。
あとはレンズの選択も暗所性能に影響してきます。
APS-Cカメラはどちらかというと普及価格帯の製品が多いため、レンズも高性能な物は少ないです。
あえてフルサイズ用の高性能レンズを使うなら別ですが、画角の面で不利になる場合がありますので、そのあたりを考慮する必要があるでしょう。
階調が変わる
フルサイズとAPS-Cでは階調が変わります。
階調とは、明るいところから暗いところまでの段階のことで、階調が豊かなほど明るいところから暗い所まではっきり写ります。
一般的にAPS-Cよりフルサイズの方が階調が豊かと言われています。
ですから、明暗の差が激しいような状況ではフルサイズの方が有利といえます。
一般的にAPS-Cのカメラが苦手としている被写体です。
カメラの大きさが変わる
イメージセンサーが大きくなるとカメラも大きく重くなります。
ですから、APS-Cよりフルサイズの方が大きくて重いです。
更にフルサイズのカメラはレンズが大きくなりますし、拡張性の面からもボディが大きくなりがちです。
当然、全体的に重たくなりますので、三脚も丈夫なものが必要になります。
コンパクトに持ち歩きたいなら、APS-Cの方が有利といえます。
違いを理解し適切な機材選択を
比較するとフルサイズのカメラは高画質ですが、5つのポイントを理解していれば、必ずしもフルサイズが有利とはいえません。
撮影の際、カメラは持ち歩くことが多いと思います。
長い距離を歩く場合は、ボディもレンズもコンパクトなAPS-Cの方が楽です。
また、望遠側に強いか広角側に強いかというのも機材選択の重要なポイントです。
広角中心の撮影ならフルサイズが有利ですし、望遠側ならAPS-Cの方が有利な場合があります。
その時その時で、使い分けが出来ると一番いいです。
「何を撮りたいか」ということを大事にしましょう。
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