レンズの回折現象
回折現象とは、カメラ用レンズ等の絞りによって起こる画像劣化のことです。
レンズの絞りは一般的に絞り込むことで像がシャープに写るのですが、絞り込み過ぎると輪郭がぼやけて不鮮明になります。
ただ、これは製品によって若干の違いがあります。
現在使用している撮影機材の描写能力を把握しておくことは重要であると考えます。
Zマウントレンズにおける回折の発生状況を確認
ニコンのZマウントは比較的新しいレンズマウント規格です。
”比較的新しい”ということで、レンズの性能も良い傾向にあります。
とはいえ開放時の描写や回折の影響についてはレンズ特有の癖があるのは間違いありません。
「新しいから最高の写りをする」という考えも危険です。
ということで、Zマウントレンズの開放時の描写と回折の影響を確認してみましょう。
レビュー画像は、Jpg撮って出し。
中央部分を原寸大で切り出しています。
レンズの焦点距離により大きさがまちまちなのはご了承ください。
NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 SはZマウントの大三元広角ズームレンズです。
Fマウントの同タイプレンズは神レンズとも呼ばれ、その高画質を引き継ぐ1本となっています。
【結果】
焦点距離14mmでの描写です。
開放のf2.8は若干描写が甘いが良好。 f4になると随分良くなる。 f5.6~f11ぐらいが実用的でf16になると回折により画質が甘くなる。 最大絞りのf22は文字の輪郭がぼやけている。
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 SはZマウントの大三元標準ズームレンズです。
Zマウントの標準ズームレンズとしては最も高価で高ランクの製品であるため描写に期待が出来ます。
【結果】
焦点距離50mmでの描写です。
開放のf2.8は描写が甘く色のにじみもある。 f4になると随分良くなる。 f5.6~f11ぐらいが実用的でf16になると回折により画質が甘くなる。 最大絞りのf22は荒れ、色にじみが激しい。
NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
NIKKOR Z 24-120mm f/4 SはZマウントの小三元標準ズームレンズです。
標準ズームレンズとしては一歩長い120mmまでを補完し、使いやすい標準ズームレンズとなっております。
【結果】
焦点距離50mmでの描写です。
開放のf4は描写が甘い。 f5.6になると格段に画質は良くなる。 f5.6~f8ぐらいが実用的でf11になると回折により画質が甘くなる。 最大絞りのf22は荒れ、色にじみが激しい。
NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S
NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR SはZマウントの望遠ズームレンズです。
同社のS-Lineに属し、高度な光学性能を追求したレンズです。
【結果】
焦点距離200mmでの描写です。
開放のf2.8は若干描写が甘い。
f4まで絞ると画質は改善される。
f8が最も良い(焦点距離200mmの場合)。
f4~f11ぐらいが実用的でf16になると回折により画質が甘くなる。
最大絞りのf22は荒れが激しい。
NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S
NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR SはZマウント初の超望遠ズームレンズです。
同社のS-Lineに属し、高度な光学性能を追求したレンズです。
【結果】
焦点距離200mmでの描写です。
開放のf5は描写が非常に甘い。 f5.6になると若干に画質は改善される。 f11が最も良い(焦点距離200mmの場合)。 f8~f16ぐらいが実用的でf22になると回折により画質が甘くなる。 最大絞りのf36は荒れ、色にじみが激しい。 このレンズは可変絞りであるため、焦点距離ごとの回折状況は違う。
NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR
NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VRは普及型超望遠ズームレンズです。
600mmまでの超望遠を補完しながらも低価格を実現した製品となっています。
【結果】
焦点距離300mmでの描写です。
開放のf6は描写が若干甘いが開放としては良く写っている。 f8になると画質は改善される。 f11が最も良い(焦点距離300mmの場合)。 f8~f16ぐらいが実用的でf32になると回折により画質が極端に悪くなる。 最大絞りのf36は荒れ、色にじみが激しい。 このレンズは可変絞りであるため、焦点距離ごとの回折状況は違う。
【オマケ】フォクトレンダー HELIAR-HYPER WIDE 10mm F5.6 Aspherical
フォクトレンダー HELIAR-HYPER WIDE 10mm F5.6 Asphericalはコシナの超広角単焦点レンズです。
Zマウントの製品は無いため、Eマウント用レンズに変換アダプターを介して装着しています。
【結果】
開放のf5.6は描写が甘い。 f8になると画質は改善される。 f8~f11ぐらいが実用的でf16になると回折により画質が劣化し始める。 最大絞りのf22は描写が甘い。
【オマケ】SIGMA 20mm F1.4 DG DN
SIGMA 20mm F1.4 DG DNはSIGMAの広角単焦点レンズです。
大口径と天体写真を意識した造りの1本です。
Zマウントの製品は無いためEマウントレンズに変換アダプターを介して装着しています。
【結果】
開放のf1.4は若干描写が甘い。 f2になると画質は改善され、f2.8になると随分良くなる。 f4~f8ぐらいが実用的でf11になると回折により画質が劣化し始める。 最大絞りのf16は描写が甘いが全体を通して良いレンズ。
回折の発生状況に関するまとめ
各レンズとも傾向は似たようなものです。
開放ではがシャープネスが乏しく甘い。 1段階絞るとシャープネスが改善されることが多い。 f8~f11ぐらいが最も描写が良い。 f22あたりから回折の影響を受けだす。 最大絞りは使えたものではない。
レンズ毎に若干値は違いますが、傾向は似たようなものです。
Zマウントレンズに限らず、自身が所有するレンズでどの焦点距離と絞りの組み合わせで画質の善し悪しが出るのかを掴んでおくことは重要です。
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