ダブルレンズキット
デジタル一眼カメラが欲しいけど何を買ったら良いか分からない・・・。
そんな人の目に飛び込んでくるダブルレンズキットという言葉。
ダブルレンズキットとはカメラメーカーがカメラのボディとレンズ2本をワンパッケージ化して販売しているものです。
多いのは、カメラボディに標準ズームレンズと望遠ズームレンズといった組み合わせた商品です。
レンズキットがレンズ1本をセットにしているのに対し、2本セットだからダブルレンズということですね。
このセットを買うと標準領域から望遠領域まで撮影が可能です。
ワンパッケージでちょっとした広角から標準、そして望遠まで使えるので、このセットで何でも撮影できそうです。
では、このダブルレンズキットが「お得か?」と聞かれると「お得ではない」が答えです。
その理由について解説します。
付属レンズの相性は良い
現在、サードバーティ(社外品)も含め、レンズの選択肢は多いです。
ただ全ての製品が、そのボディに合うとは限りません。
中には、マウント形状は同じであっても、製品の仕様や相性によっては性能値を十分引き出せないものもあります。
こういった不具合はダブルレンズキットの場合ほとんどありません。
カメラメーカーがパッケージングしているので、しっかり検討されているものが多いです。
このあたりはレンズキットと同じといえるでしょう。
初心者がデジタル一眼カメラを始める時にダブルレンズキットは相応しいと考えます。
付属レンズは普及帯
現在発売されている主なダブルレンズキットの内容を確認してみましょう。
Nikon Z 50 ダブルズームキット
「付属レンズ」
・NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
・NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
SONY α6100 ILCE-6100Y ダブルズームレンズキット
「付属レンズ」
・E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS SELP1650
・E 55-210mm F4.5-6.3 OSS SEL55210 (B) [ブラック]
Canon EOS Kiss M2 ダブルズームキット
「付属レンズ」
・EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM
・EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM
これらの製品に共通していえるのは、
【1】APS-Cフォーマットであるということ
【2】F3.5程度からの暗いレンズが多い
ということです。
この2つから導き出せるのは初心者用レンズ(普及帯レンズ)を組み合わせているということです。
ということで、ダブルレンズキットは未経験者をデジタル一眼カメラの世界に導入することが目的といえます。
高性能なレンズは付属しないと覚えておきましょう。
撮りたいものがハッキリしていると逆に高くつく
ダブルレンズキットは初心者にも使いやすいように、2本のレンズがパッケージ化されています。
ただ、最初から撮りたいものがハッキリしている人には高くつきます。
例えば「花を近づいて撮影したい」という人なら、レンズキットの望遠レンズよりマクロレンズの方が適しています。
星景写真を撮りたいなら大口径の広角レンズが必要になりますし、スポーツ写真なら明るい望遠レンズです。
このように被写体によっては、ダブルレンズキットのレンズでは能力が足りなくなります。
足りない場合どうするかというと、別の交換レンズを買い足すか現状で納得してしまうかのどちらかです。
ダブルズームレンズキットのままでは、どれだけ撮影しても撮りたい写真にはなりません。
「目的の写真を撮りたいから」と別の交換レンズを買い足すと、レンズキットのレンズはあまり使わなくなります。
いわゆる防湿庫のコヤシですね。
これは、非常に勿体ないです。
最初から撮りたいものがハッキリしている人ならダブルレンズキットではなく、個々に必要なレンズを選びましょう。
ダブルレンズキットで満足する?
ダブルレンズキットの多くは、日常での撮影をカバーするような交換レンズが付属します。
では、ダブルズームキットの交換レンズに満足しますか?
はい、これで満足してしまう人は写真が上手くなりません。
先ほど紹介したように、ダブルレンズキットに付属する交換レンズは暗いズームレンズが多いです。
これにより起こる弊害として、
・室内など暗い場所での撮影に限界がある。
・星景など光源が暗い写真はまともに写せない。
・航空機やスポーツ写真など速い動きのものに対応しきれない。
・被写体に近づいて撮影出来ないものが多い。
といったものが挙げられます。
まとめると「かなり制限のある中で写真を撮影することになる」ということです。
これでは撮影技術も直ぐに頭打ちになりやすいです。
カメラ以外でも「良い道具は良い結果を得られる」と言われます。
ダブルレンズキットで満足することは、良い結果への道が非常に狭いといえます。
バラ売りすると著しく価値が落ちる
ダブルレンズキットを買った後のことを考えてください。
多くの人はキットのレンズで満足してしまうのですが、一部の人が描写や操作性に満足できず同じ焦点域のレンズを買い足します。
例えば「ダブルレンズキットに入っていたE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSを使っていたけど、明るいレンズが欲しくなってE 16-55mm F2.8 G SELを買い増しした」といった場合ですね。
この場合、ダブルレンズキットに入っていたレンズはほとんど使わなくなります。
使わない撮影機材は下取りに出したいところ。
しかし、ダブルレンズキットの多くがワンパッケージ化をしていますので、下取りに出す際はレンズを裸で出すことになります。
いわゆるセット品のバラ売り状態ですね。
バラ売りですから箱はありません。
中古カメラ店にしろヤフオクにしろ、下取り価格アップに箱や説明書は必須。
ということで、思っている以上に安く買いたたかれます。
更にボディを手放す際もダブルレンズキットのレンズが揃っている場合と、レンズが抜けている場合では買取価格に差が出ます。
歯抜けの商品が欲しい人は少ないということですね。
ダブルで買いたたかれるので、将来的にシステムアップの可能性があればお得とはいえません。
これはレンズキットの場合でもいえます。
個人的には「お得感は薄い」と考える
ここまで書くと、ほぼ答えは出ているのですが「ダブルレンズキットはお得ではない」と考えます。
撮りたいものがハッキリしているなら、ボディとレンズは別々に買う方が良いですし、綺麗な写真を撮影したい場合もダブルレンズキットにはない単焦点や高性能レンズを使った方が良いです。
スナップやSNS目的なら、もはやスマホでも十分です。
「デジタル一眼カメラ=綺麗な写真」というのは昔の話。
綺麗な写真を撮るなら、写りの良いレンズを使う。
手軽に撮るならスマホのカメラ。
わざわざデジタル一眼カメラを使う目的は?
存在意義としては初心者の導入にあると考えます。
ただ、長い目で見ると、買い足しや下取り、撮影技術の停滞などお得感は薄いと考えます。
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