星空撮影の際に使うプロソフトンフィルター。
星の強調に有効です。
しかし、出目金レンズにはねじ込み式フィルターが付かないので、それしか設定がないプロソフトンフィルターは使用できません。
おまけに数少ない選択肢のひとつだった、LEEの角型ソフトフィルターも生産中止の知らせ。
「こうなると自作しか手はないのか」と考え、何とか作る方法を模索するのでした。
プロソフトンフィルター
プロソフトンフィルターは、ケンコー・トキナが販売しているソフトフィルターです。
光源を残したままソフトな表現が得られるため、通常のソフト効果以外に星空写真の撮影にも用いられます。
星空撮影に使用することで、
明るい星が大きく表現
暗い星は目立たなくなる
といった効果があるため、メリハリの効いた星空写真となりす。
多くの天体写真愛好家が使用している製品です。
出目金レンズの問題
レンズの中には出目金レンズと呼ばれるものがあります。
これは、レンズの前玉(最も前にあるレンズ)が筐体から出っ張っているもので、基本的にねじ込み式のフィルターが付きません。
ですから、レンズ前面にフィルターを取付けようとすると、角型ホルダーを利用する必要があります。
星空撮影にプロソフトンフィルターを使用したいと思っても、角型ホルダーに対応した製品はありません。
ですから、出目金レンズではプロソフトンフィルターが使えないという不都合があります。
出目金レンズは、魚眼レンズや広角レンズ、超広角レンズに多いです。
星空の撮影には広角や超広角レンズを使いたいのですが、出目金レンズになるためプロソフトンフィルターが対応していないということです。
出目金レンズにフィルターを取付ける
「出目金レンズには絶対にフィルターの取付が出来ない」
というわけではありません。
例えばこういった物を使う場合
・フィルターホルダー 出目金レンズを覆うように付けるホルダー ・リアフィルターホルダー レンズ後玉の後ろにフィルターを付けるホルダー
リアフィルターホルダーはレンズに元々ついているものですので、後付けは出来ません。
これに対しフィルターホルダーを社外品が多く出ており、後付けできる可能性は高くなるのです。
Nisiのフィルターホルダー
手持ちのレンズにはリアフィルターホルダーが備わった製品がありません。
ということでフィルターホルダーで話を進めます。
撮影に使用するレンズは
Sigma20mm F1.4 DG HSM
このレンズ専用にNisiというメーカーからフィルターホルダーが出ています。
このフィルターホルダーに合うフィルターサイズは以下のとおり。
角型 150×150mm
厚み 2mm
150mmフィルターの問題
Nisiのフィルターホルダーは角型150mm用です。
ここでまた問題が発生します。
まず、プロソフトンフィルターには角型の品揃えがありません。
※ハーフプロソフトンはあり
Nisi製のStarSoftに150mmの品揃えはありますが、お試しするには高すぎます。
効果の分からないフィルター1枚に出せる金額ではありません。
また、この製品についても全面ソフトフィルターではないので、星景写真用となります。
枠はあるけどフィルターは無い。
「無い」と言われても諦めが付かず、何とか作ってみることにします。
ソフトフィルターを自作してみる
特殊フィルターといってもガラスに専用の加工をしたり、フィルムを挟み込んだりしているにすぎません。
ですから、構造さえ分かってしまえば、簡易なものは作れてしまうのです。
プロソフトンフィルターと言えどソフトフィルターの延長。
ソフト効果を演出できればいいのです。
用意するのは以下の物
149mm×150mm×1.5mmの透明なアクリル板
クリアのスプレー
アクリル板にクリアスプレーを吹き付けてソフト効果は得ようということです。
アクリル板の切断面は若干の凹凸がありますので、フィルターホルダーの溝より1mm小さく作ります。
その方が出し入れしやすいですからね。
ヤフオクや楽天でアクリル板をオーダーでカットしてくれるところがあるので、そういった所で買うとカットする手間が省けます。
クリアスプレーは、とりあえず100均のもので試してみます。
アクリル板5枚とスプレー1缶で1,000円弱。
ダメもとでやる感じです。
アクリル板の削る
まず、アクリル板の切断面と角はペーパーで滑らかにしてください。
切断面を円滑にしておかないと、フィルターホルダーに引っ掛かり抜けなくなる可能性があります。
また、角を削っておかないとフィルターホルダーに差し込みにくいです。
ですから、アクリル板の切断面と角は綺麗に削るようにしてください。
クリアーを吹き付ける
アクリル板の表面にクリアを吹き付けます。
この加減が難しい。
多いとソフトになり過ぎますし、少ないとほとんど効果がありません。
アクリル板とスプレーの距離も重要です。
ある程度離した方が均一に塗布できます。
さっそく撮影
クリアが完全に乾いたら撮影してみましょう。
とはいえ所詮DIYですので、どの程度効果が出るかは分かりません。
ですから、5枚のアクリル板は少しずつクリアの塗布量を変え、番号をふって管理すると分かりやすいです。
例えば、
1番は1往復塗布した。
2番は1往復半塗布した。
・
・
といった具合です。
フィルターホルダーに装着し1枚1枚撮影しながら確認していきましょう。
まずはフィルター無しとプロソフトンAの比較。
プロソフトンAはねじ込み式ですので、Sigma24mmF1.4を使って撮影しています。
プロソフトンAはしっかり星が強調されます。
では、自作のソフトフィルター
どれも似たり寄ったりですね。
基本的に星自体の大きさがほとんど変わっていないので、単にソフトになっただけの写真となりました。
実はこれには理由がありまして・・・。
写真だけ見るとクリアーの吹き付け量が足りないと考えがちですが、吹き付け過ぎるとこうなってしまいます。
左下の星は大きさも輝きも申し分ないです。
しかし、上の星は霞んでしまいました。
このように吹き付け量が多くなればなるほど、塗装ムラが出やすくなります。
100均塗料の限界かもしれません。
塗布方法に改善の余地あり
検証では、クリアスプレーでソフト効果が出ることが分かりました。
ただ、塗布し過ぎるとムラが出て星が消えたりします。
やはり、光学専門のメーカーが作っただけあって1,000円で再現するのは無理がありましたね。
問題は塗布方法。
細かい粒子を均一に塗り重ねる技術があれば、何とかなりそうな気はします。
ポイントは分かりましたので、何らかの改善でもう少しマシなものが出来るかもしれません。
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