プロソフトンフィルター
プロソフトンフィルターは、ケンコー・トキナが販売しているソフトフィルターです。
光源を残したままソフトな表現が得られるため、通常のソフトフィルター以外に星空写真の撮影にも用いられます。
星空写真に使用すると、明るい星が大きく表現され暗い星は目立たなくなるため、メリハリの効いた星空写真となりす。
表現の好き嫌いはあるかもしれませんが、多くの天体写真愛好家が使用していることは事実としてあります。

出目金レンズ問題
レンズの中には出目金レンズと呼ばれるものがあります。
これはレンズの前玉(最も前にあるレンズ)が筐体から出っ張っているもので、基本的にねじ込み式のフィルターが付きません。
ですから、前玉側にフィルターを取付けようとすると、専用のホルダーを使用する必要があります。

星空撮影用にプロソフトンフィルターを装着したいと思っても、ねじ込み式の49mm~82mmとなっているため取付できません。
ハーフプロソフトンの角型(130×170mm)という設定もありますが、フィルターホルダーのマウントがねじ込み式ですので、基本的に取り付け方法は同じです。
このように出目金レンズに装着できるプロソフトンフィルターは製品化されていません。
ですから、多くの出目金レンズではプロソフトンフィルターが使えないという不都合があります。
参考までに、自宅にある以下のレンズは出目金レンズです。
Nikon AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
Nikon AF NIKKOR 16mm f/2.8 fisheye
Sigma 14mm F1.8 DG HSM
Sigma 20mm F1.4 DG HSM
Sigma 8mm fisheye
広角、超広角レンズについてはほぼ該当してしまいます。
星空の撮影には広角や超広角レンズを使いたいのですが、プロソフトンフィルターが対応していない状況なのです。
出目金レンズにフィルターを取付ける
出目金レンズには、絶対にフィルターの取付が出来ないというわけではありません。
例えば、レンズによっては後玉(最もイメージセンサー側のレンズ)の後ろにリアフィルターホルダーが付いているものがあります。
また、レンズによっては前レンズフードの外側に取り付けるフィルターホルダーも製品化されています。


リアフィルターホルダーがあるレンズはわずかです。
ですからレンズフードの外側に取り付けるフィルターホルダーを活用するのが現実的かと考えます。
このタイプのフィルターホルダーは、角型フィルターをスライドして差し込むような構造になっています。
海外のメーカーが製品化しており、レンズ毎のバリエーションもそれなりにあるのです。
Nisiのフィルターホルダー
今回はNisiというメーカーのフィルターホルダーを使用します。
このメーカーは多くの角型フィルターホルダーを製品化しています。
レンズはSigma20mm F1.4 DG HSM。
メーカー純正だけでなく、こういったサードパーティのレンズにも対応した製品があります。
このフィルターホルダーに合うフィルターサイズは、角型150×150mmで厚みは2mmです。
フィルター枠本体は堅牢な作りで、筐体との接触部分にはクッション材が巻かれており造りは丁寧です。
150mmフィルターの問題
先ほど紹介したとおり、プロソフトンフィルターには150mm幅の品揃えがありません。
角型として品揃えされているのは、ハーフプロソフトンの角型(130×170mm)だけです。
という事で、フィルター自体をなんとかする必要があるのです。
同じくNisi製のStarSoftに150mmの品揃えはありますが、お試しするには高すぎます。
効果の分からないフィルター1枚に出せる金額ではありません。
また、この製品についても全面ソフトフィルターではないので、星景写真併用となります。
枠はあるけどフィルターは無い。
無いといって諦めず、何とか作ってみることにします。
自作ソフトフィルター
特殊フィルターといってもガラスに専用の加工をしたり、フィルムを挟み込んだりているにすぎません。
ですから、構造さえ分かってしまえば、簡易なものは作れてしまうのです。
プロソフトンフィルターと言えどソフトフィルターの延長。
ソフト効果を演出できればいいのです。
用意するのは以下の物
149mm×150mm×2mmの透明なアクリル板
クリアーのスプレー
ソフト効果はアクリル板に施します。
アクリル板の切断面は若干の凹凸がありますので、フィルターホルダーの溝より1mm小さく作ります。
ヤフオクや楽天でアクリル板をオーダーでカットしてくれるところがあるので、そういった所で買うとカットする手間が省けます。
まっすぐ切るのは、難しいですからね。
クリアーのスプレーは、とりあえず100均のもので試してみます。
アクリル板5枚とスプレー1缶で1,000円弱。
ダメもとでやる感じです。
アクリル板の削る
アクリル板の切断面と角は削ってください。

切断面は円滑にしておかないと、フィルターホルダーに引っ掛かり抜けなくなる可能性があります。
また、角を削っておかないと、差し込みがしにくくなります。
ですから、アクリル板の切断面と角は綺麗に削るようにしてください。
クリアーを吹き付ける
アクリル板の表面にクリアーを吹き付けます。

この加減が難しい。
多いとソフトになり過ぎますし、少ないとほとんど効果がありません。
アクリル板とスプレーの距離も重要です。
ある程度離した方が均一に塗布できると思います。
さっそく撮影
クリアーが完全に乾いたら撮影可能です。
とはいえ所詮DIYですので、どの程度効果が出るかは分かりません。
ですから、5枚のアクリル板は少しずつ塗布量を変え、番号をふって管理すると分かりやすいです。
例えば、
1番は1往復塗布した。
2番は1往復半塗布した。
・
・
といった具合です。
フィルターホルダーに装着し1枚1枚確認していきましょう。

まずはフィルター無しとプロソフトンA。
プロソフトンAはねじ込み式ですので、Sigma24mmF1.4を使って撮影しています。


これは、前回比較しましたね。
では、自作のソフトフィルター





どれも似たり寄ったりですね。
基本的に星自体の大きさがほとんど変わっていないので、単にソフトになっただけの写真となりました。
実はこれには理由がありまして・・・。
写真だけ見るとクリアーの吹き付け量が足りないと考えがちですが、吹き付け過ぎるとこうなってしまいます。


左下の星は大きさも輝きも申し分ないです。
しかし、上の星は霞んでしまいました。
このように吹き付け量が多くなればなるほど、塗装ムラが出やすくなります。
100均塗料の限界かもしれません。
塗布方法に改善の余地あり
今回の検証では、クリアーのスプレーでソフト効果が出ることが分かりました。
ただ、塗布し過ぎるとムラが出て星が消えたりします。
やはり、光学専門のメーカーが作っただけあって1,000円で再現するのは無理がありましたね。
問題は塗布方法。
細かい粒子を均一に塗り重ねる技術があれば、何とかなりそうな気はします。
ポイントは分かりましたので、何らかの改善でもう少しマシなものが出来るかもしれません。
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