縦構図にするとカメラの重量で三脚が不安定になるんだけど・・・
何かいい方法はないの?
天体写真
天体写真は三脚を立てて、スローシャッターで撮影するのが基本です。
ノイズを避けるため、大口径レンズ(f値の小さいレンズ)を使い、出来る限り低感度で撮影したいものです。
地球は自転しているため、通常の三脚撮影であまり長い時間シャッターを開けると、星が線になって写ってしまいます。
星を点で写そうとすると4~8秒程度のシャッター速度でしょう。
これは焦点距離によっても変わりますが、それでも長いことには変わりはありません。
縦構図
天体写真は縦構図で撮影すると、より広がりが出ます。
特に風景を入れる場合、その効果は大きいです。
余程山奥にでも行かない限り、ある程度は光害の影響を受けますので、より高い位置まで撮影できる縦構図が威力を発揮します。
構図に関しては個人の好みもあるかと思いますので、絶対ではありません。
風景や環境によっては、横構図の方が良いこともあります。
ただ、縦構図で撮影する場合、特に注意すべき点が一点あるのです。
危険がいっぱい縦構図
スマホでも天体写真は撮影できますが、できればデジタル一眼カメラと大口径レンズ(f値の小さいレンズ)で撮影したいものです。
デジタル一眼カメラの場合、特に注意すべきは「コケ」と「おじぎ」です。
通常、横構図の場合、カメラはネジで三脚の雲台に固定します。
すると赤矢印の方向に荷重がかかり、三脚の重心とほぼ同じ方向となるためカメラは安定します。
これが縦構図の場合、こうなります。
赤矢印がカメラの重心、水色矢印が三脚の重心です。
これだけ重心がズレると、三脚が安定しなくなり風などの影響を受けやすくなります。
三脚が軽いと、最悪左側にコケたりするかもしれません。
とても危険な状態です。
今度は横から見てみましょう。
赤丸が三脚の雲台とカメラのボディを止めているネジの位置です。
ネジを絞めてもカメラが安定するのは、カメラのボディ底面や、三脚の雲台上面に貼り付けられたコルクやラバーの摩擦によるものです。
摩擦ですので、全く動かないものではありません。
ですから、レンズの重さに耐えきれず、ネジを中心にレンズが下がっていき、写真にブレが発生します。
当然、星を撮影していると流れてしまいます。
カメラがおじぎしているように見えるので、文字通り「おじぎ」と呼ばれる現象です。
このように、縦構図は危険がいっぱいなのです。
縦構図の失敗予防策
これらの予防策として、カメラやレンズを軽いものに換えるという方法があります。
しかし星空撮影の場合、レンズは太く重くなりがちですので、この解決策はほぼ使えません。
そこで役に立つのがL型プレートという製品。
文字通りL型の金属部品で、縦横どちらでも三脚に固定できるものです。
多いのがアルカスイス規格のプレートで、プレートをカメラのボディにねじ止めし、クランプを三脚の雲台に固定します。
構造は至極単純で、クランプとプレートの溝を合わせてスライドさせ、クランプのネジを絞めて固定します。
プレートはL字になっており、両方に溝が付いているので、縦でも横でも固定が可能なのです。
三脚からの脱着もスムーズにできますし、お勧めの製品だと思います。
では実際に固定するとどうなるか見てみましょう。
まずは横構図。
横構図については、通常のネジ固定と変わりません。
クランプとプレートの分だけ高くなっただけです。
で、縦構図はこうなります。
重心の位置が大きく変わりましたね。
直接三脚に固定する場合と比べると、安定性は雲泥の差です。
更にL型プレートには、ストッパーが付いておりカメラの回転を防止してくれます。
プレート側にストッパーがあることにより、「おじぎ」防げるのです。
安くても良いので確実なものを
アルカスイス規格のプレートやクランプは互換品も含めて多くの製品が出ています。
値段が高いからといって、良い製品とは限りません。
最期に購入する場合のポイントを紹介します。
プレート
L字で両方に溝があること。
金属製のストッパーが付いている。
余計なゴムやコルクのシートが付いていないもの。
汎用品よりも機種専用品の方が良い。
レビューを見てフィッティングや使い勝手を確認する。
できればクランプと同じメーカーの物。
クランプ
1/4インチ、3/8インチ両方のネジに対応していること。
雲台のサイズに対して極端に大きなものや小さなものは避ける。
雲台一体型は避ける。
ノブと雲台が干渉しないか。
できればプレートと同じメーカーの物。
この辺りを注意すればよいでしょう。
L型クランプは縦構図を安定して星空を撮影するためには必須と考えます。
一度買えば、カメラを換えない限りずっと使えますのでこの機会にいかがでしょうか。
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