財形貯蓄
会社員や公務員の方は勤め先に財形貯蓄の制度があると思います。
財形貯蓄は基本的に毎月からの給与から一定額天引きされ、提携している金融機関で指定された商品を買うというものです。
スーパー定期なんて名前が付いているものもありますが、あれも歴とした金融商品ですからね。
先に引かれるので貯金の出来ない人にとっては、いつの間にか貯まるというメリットがあるかもしれません。
しかし、自身でお金の管理ができる人にとっては、あまり良いシステムではありません。
その理由には以下のようなものがあります。
・利率が低い
・資金拘束される
・制度が変わる可能性がある
それぞれ見ていきましょう。
利率が低い
財形貯蓄の多くは元本保証の商品か極力リスクの低い商品に当てられます。
例えば、定期預金や日本国債のようなものですね。
年利で0.01%~0.02%といったところでしょうか。
ですから、20年間財形貯蓄を続けても元本からはほとんど増えません。
その間に、税金や物価が上がればどうなるでしょうか?
貯金しているにもかかわらず、貯めたお金で買えるものは減ることになります。
これなら証券口座を開いて、投資信託を毎月積み立てた方が成績は良いです。
実際に税金や社会保険料、物価は上がっていますからね。
資金拘束される
財形貯蓄の多くは出し入れに手間がかかります。
簡単に出し入れできるのであれば、銀行に預けているのと変わりませんからね。
ですから、大きな買い物をしたいと思い財形貯蓄から出金しようと思っても、手間と時間がかかるのです。
これはあまり良いことではありません。
財形貯蓄はどちらかというと計画性に乏しい人のためのシステムです。
いざ、使いたいと思った時にすぐに出せないのは致命的でしょう。
なにせ計画性が無いのですから、財形貯蓄から費用を捻出しようと考えた時には間に合わないこともあるのです。
制度が変わる可能性がある
財形貯蓄は10年、20年と長期にわたって積み立てていくものです。
その間に会社の制度が変わることは十分あり得ます。
自身の場合100人程度の地元工務店から、東証一部上場の会社に合併され、大株主の完全子会社になり、その後切り離されて他社と合併しました。
情勢は目まぐるしく変わるのです。
今、勤めている会社が3年後も同じ体制を保っているとは限りません。
会社が変わると財形の制度も変わったりします。
財形貯蓄の通帳がいくつにも分かれてしまうことも珍しくないでしょう。
会社に振り回されるというデメリットも理解すべきなのです。
特別な財形貯蓄にも注意
財形貯蓄の中には用途が限られているものがあります。
それらにも注意が必要ですね。
用途が限られている分、一般財形貯蓄より質が悪いです。
例えば財形年金貯蓄。
これはシステム自体は財形貯蓄で、老齢年金として受け取れるものです。
要は個人年金のようなものですね。
しかし、投資商品自体は定期預金か日本国債が多いので利率が悪いです。
非課税分を考慮しても旨味はありません。
あとは財形住宅貯蓄。
住宅資金のための財形貯蓄ですね。
利率が悪いうえに、買うかどうかわからない住宅のために資金を拘束するなんて、愚の骨頂です。
これら2つの財形貯蓄には利子に対する非課税措置がありますが、そもそも投資商品の利率が低いのであまりメリットはありません。
用途の変更も出来ませんし、利用や解約の基準もしっかり決められているので、自由度が低い制度だといえます。
利率が良くすぐに出せるもの
財形貯蓄は長い期間積み立てることにより、資産を築こうという制度です。
ただ、利率が悪いので、その間の税金や物価の上昇についていけません。
そのような制度を利用するぐらいなら、証券会社で投資信託を積み立てる方が、よほど利率が良いです。
多少は、お金の勉強にもなりますしね。
長期間で運用しますので、短期での下落もカバーできますし、資金の移動も容易です。
唯一、財形貯蓄が使えるのはお金の管理が全くできない人ぐらいでしょう。
給料日前になると、財布に1,000円ぐらいしか残っていないような人です。
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