仕事の電話
若い人の多くは「電話を受けるのが苦手」と言われています。
その理由として、現在はコミュニケーションツールが多様化しており、電話という情報伝達手段はその一つにすぎません。
音声通話自体をあまり使わない人も多くなってきているのも事実なのです。
電話しかなかった時代の人から考えると、電話はとても便利なツールです。
離れている場所の人とも意思疎通ができるからです。
しかし、多くのコミュニケーションツールが出てくると、電話の情報伝達ツールとしての能力の低さを痛感します。
実業家のひろゆき氏も「電話は不愉快で不適切・傲慢なコミュニケーション手段」として批判しています。
では実際どういった点が問題なのでしょうか?
ひろゆき氏の言葉をもとに検証します。
掛ける側の都合で割り込む「タイミングの傲慢さ」
「電話が不快」ととられる最大の点は「タイミングの傲慢さ」にあります。
自分の都合だけで、相手に電話を掛けるわけですから、そこに相手の都合は関係ありません。
まあ出なければいいのですが、電話があるという事は基本的に急用だと考えてしまい出てしまいます。
特に仕事をしているとそうでしょう。
掛かってくる電話には出ないわけにはいかないのです。
昔からこの点は変わっていないのですが、Eメールの普及によりこの欠点は大きく目立つようになりました。
Eメールなら数分待っても何ら問題ありませんが、電話はうるさく鳴り続けるのです。
そして、相手が誰かも、取次先が誰かもわからない電話に出ることになるのです。
若者が嫌がる理由が分かりますね。
「所要時間」が不明・不確実
電話は所要時間が不明で不確実です。
掛かってきた電話に出たとして、何分話せば終わるのか掛かってきた時点では判断できません。
電話中も仕事の時間です。
短ければその間に他の仕事ができますが、長ければその時間を電話だけに費やすことになります。
中には電話中に選択肢を出して決めさせるような人間もいます。
即決断できるような内容だと良いのですが、判断に迷う場合は、折り返し電話をすることになります。
折り返したら今度は相手が席を外していて繋がらないとかなるともう泥沼ですね。
特に、電話の相手が上司や顧客、取引先だと、相手の都合に合わせるしかないのです。
自分で時間をコントロールできないというのが痛いですね。
情報伝達が「非効率的」
電話を掛ける人は、自分の要件を順序立てず、片っ端から言います。
そして、受け手はそれをまとめて、整理し、紙などに書き写す必要があります。
これは非効率極まりないです。
中には同じことを何度も言う人も居るでしょう。
Eメールなら1行の文章を数分かけて話すのです。
こういった人は基本的に文章を組み立てる能力に欠けています。
一般的に文章は書く時間より読む時間の方が短いです。
ですから、相手の事を考えると実はEメールやメッセージアプリの方が親切だったりします。
「記録」が残らない
一般的に電話での通話は記録が残りません。
仕事がうまくいっているときは問題ないのですが、何らかの問題が起こった時に「言った、言わない」の問題が発生します。
そしてこういた時に折れざるを得ないのが立場の弱い人です。
上司が言ったといえば、部下は従わざるを得ません。
かなり不条理です。
おまけにたいていの場合、余分な仕事がくっついてきますから効率の悪さは最悪です。
文章でも意味の取り違いによる間違いはあるでしょうが、電話のように全く記録の残らないツールと比べると雲泥の差といえます。
友達同士のどうでもいい会話ならいいのですが、仕事に関しては証拠が残るツールを使う方が良いと考えます。
会話で頭が「リセット」される
最初に書いた通り、電話は自分の都合に関係なく突然掛かってきます。
何らかの仕事をしていたとして電話に出ると、その会話内容で今までしていた仕事のことを忘れてしまいます。
電話の時間が長ければ長いほどそうなるでしょう。
電話が終わって「あれ?この仕事どこまでやったっけ?」ってありますね。
一度頭の中がリセットされると、元の状態まで復元するのに時間を取られます。
それほど難しい仕事でなくても、いったん頭から離れるとすぐには戻らないのです。
ビジネスマナーが変わればいい
現在のビジネスマナーにおいて電話の取り方や、話し方などはマナー化されています。
しかし、それはあくまでも電話を取ることが前提なのです。
電話というものが、相手にとっていかに失礼で非効率なツールであるかという事は考えられていません。
それはEメールとの比較を行わないからです。
一見、失礼そうに見えるEメールですが、
相手のタイミングを指定しない
相手が所要する時間は文章の長さ
相手に情報が伝わりやすい
お互い記録が残る
相手の仕事の邪魔をしない
こういた点では相手の立場に立っていると考えます。
Eメールやメッセージアプリは近年普及した情報伝達ツールです。
一見、一方的に送り付けているから相手に失礼だろうと考えられがちですが、よくよく考えると、相手の時間や仕事を一方的に奪っているのは電話の方なのです。
近い将来、「電話よりメールを優先しましょう」といったようなビジネスマナーが、確立されないかと切に願うのです。
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