住宅界の農民、設計になると苦労するといえる理由【死ぬほど働いても幸せは来ない】

サラリーマンの生態

士農工商

士農工商とは近代史における身分制度や上下関係の象徴として使われる言葉です。

 士は武士

 農は農民

 工は職人

 商は商人

この中で武士が最も身分が高く力を持っており、農民、職人、商人はその下といったような意味で使われがちですが、1990年代になって歴史の研究が進み、実際にはそのような制度はなかったともされています。

 

しかし、ある程度の年代が士農工商と聞くと「あっ身分制度のことだな」と思ってしまうでしょう。

歴史学ですので、当然、研究が進めば内容が変わってくるものです。

ただ、言葉の意味は現代でも生きているといえるでしょう。

 

士農工商のイメージ

皆さんは士農工商と聞いてどんなイメージですか?

僕の場合はこんな感じです。

 士(武士)・・・身分が高い、大きな家に住んでいる、切捨て御免。

 農(農民)・・・2番目に身分が高い、村に住んでいる、年貢が大変。

 工(職人)・・・3番目に身分が高い、町に住んでいる。

 商(商人)・・・この中では身分が一番下、町に住んでいる、商売をしているので裕福。

 

まあ、あくまでイメージですので人それぞれあると思います。

テレビでやっている時代劇の影響もあるかもしれませんね。

 



住宅会社での職種

ひとことに住宅会社といってもピンキリです。

大手ハウスメーカーのような上場企業もあれば、少人数の地元ビルダー設計事務所ゼネコンの住宅部門など組織も規模もまちまちです。

 

今回は個人事務所や数人規模の地元ビルダーは省きますね。

ある程度社員数がいて、組織化され、役割分担(職種)が決まっているような規模の会社の話です。

 

こういった規模の一般的な住宅会社の職種は以下のとおりとなります。

 営業職  住宅の受注を担当

 設計職  住宅の設計を担当

 建設職  住宅の施工管理を担当

 アフターサービス  建築後のアフターサービスを担当

 事務職  会社の事務人事経理を担当

 

住宅会社の職種を士農工商に当てはめてみる

住宅会社にも身分制度はあるといえます。

表面上は平等を謳っていますが実際は違うんですね。

では、実際に当てはめてみましょう。

 士・・・営業職

 農・・・設計職

 工・・・建設職、アフターサービス

 商・・・事務職

 

それぞれ説明しますね。

 

士・・・営業職

営業職は住宅会社の中で最も身分が高いので武士に例えられます。

その他の優遇ぶりは職種と比べても跳び抜けています。

また、意見や要望も通りやすいですし、ミスがあっても他の職種ほど責任を取ることはありません。

 

給料は会社によりますが、年間で4棟程度の受注があれば、同期の一級建築士(設計職)より高いです。

もちろん賞与は受注数に上乗せされ、キャンペーンなどの期間に受注すれば特別ボーナスのようなものもあります。

通算受注棟数が一定になるごとに表彰され金一封も出ます。

最高に優遇さているのが営業職といえます。

 

ただ、良いことばかりではありません。

受注ゼロが続けば心を病むぐらい上席者から叱責され、追客のためにはサービス出勤や昼夜逆転することも珍しくありません。

一般的に最も離職率が高いのが営業職といえます。

 

農・・・設計職

設計職は営業職の次に重要視されますが、その割合は営業職ほどではありません。

持ち上げられつつも実質的に営業職の小間使いになるのが設計職で休日だろうが夜だろうが普通に会社から電話があります

また、覚えるべき知識の幅が膨大であることも特筆すべきでしょう。

 

設計職は設計の仕事だけをやっていればいいわけではありません。

例えば、

 検地、現場確認。

 営業職に同行し、お客様へプラン提案する。

 契約済客との打ち合わせインテリアコーディネート。

 建築確認申請手続き、各種補助金手続き。

 構造計算、着完工管理。

 展開図、施工図の作成。

 見積、予算書、追加工事見積の作成。

 祭事参加、現場打合せ。

 

さて、これだけの仕事となると、どれくらいの知識が必要でしょうか?

営業職や建設職の分野にも切り込んでいかなければいけないのが設計職です。

 

更に営業職に必要とされる宅建士(37,579人 合格率17.9%)に比べ、設計職に必要とされる一級建築士(3,765人 合格率9.9%)ははるかに狭き門といえます。

資格試験が難しいという事は、それだけオフの時間を奪われるという事です。

参考までに働いていた会社では、20年間毎年試験に落ち続けている後輩がいました。

彼が資格専門学校に支払った費用は合計で1,000万円を超えます。

 

また、昇進や給与面では営業職以外の職種とたいして差がありません。

沢山仕事をやったからといって、営業職のように業績に合わせた様な賞与もありません。

  

言葉上では優遇されているが、仕事の幅も量も多く時間拘束され、昇進昇級はそれほど見込めないのが設計職です。

ひとことで言うと「やりがい詐欺」

時代劇の中で年貢に苦しむ農民の姿が設計職と重なります。

 

工・・・建設職、アフターサービス

建設職やアフターサービスは職人系の職種といえます。

基本的に自身の仕事に集中でき、分からないことがあれば設計職へ戻します。

近隣問題や、現場の問題も営業職や設計職を巻き込めるため、精神的負担は幾分軽くなります。

 

建設の場合、祭事ごとや工程の関係で休みがとりにくいというのもありますが、それでも設計職と比べると遥かにマシです。

地域性を持って職人と良い関係を結べば、人生も豊かになりますし、金銭的リターンも大きいです。

一昔前の話ですが「現場監督が結婚式を挙げると職人からの祝儀で家が建つ」とまで言われてきたほどです。

 

必要とされる一級施工管理技士(6,708人 合格率52.4%)は、片手間で取れるといわれるほど簡単です。

ですから昇進、昇給は設計職より簡単かもしれません。

 

商・・・事務職

事務職はまさしく商人といえるポジションです。

会社の中では目立ちませんが、重要な情報を握れるという事もあり素早く対処できるという利点があります。

これは、昇給や昇進に大いに役立つでしょう。

問題に対して、誰を抑えればよいか分かるからです。

 

また、BtoC(企業と客)の接点がほとんど無いため、社内での人間関係だけに注意していればよいという気楽さもあります。

深夜に施主から電話がかかってくることもありませんし、近隣の面倒くさい人に絡まれることもありません。

大雨の中現場を養生する必要もありません。

事務所の中でほとんどが完結してしまうのが事務職です。

 

一般事務や経理、総務、人事などが該当しますが、基本的にどの会社でも通用するので、転職時に職種を変えられるというメリットもあります。

業界全体が縮小傾向にあれば、拡大している業種に転職するほうが有利ですからね。

営業職も他業種への転職が可能ですが、商品や法律など覚えることが沢山あり難しいといえます。

ですから、将来的に選択肢が増えるのは事務職でしょう。

特に簿記を持っていると個人事業主や法人を立ち上げたときに役に立ちます。

 

設計職になるな

住宅会社に入ったら設計士になるのだけは止めたほうが良いです。

理由としては、

 他の職種に比べて必要となる資格が難しく費用も膨大。

 実質的に営業の小間使い。

 昇進、昇給が営業職以外と変わらない。

 営業職、建設職の知識が必要。

 他業種への転職が難しい。

 離職率が高い。

 

さて、いかがでしょうか?

これを聞いても住宅会社の設計職になりたいという方は止めません。

ただ、長い社会人生活ですので無理はしないようにしてください。

少なくとも僕の働いていた支社で最も死亡率が高かったのが設計職でした。

 



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