マクロ撮影(接写)
マクロ撮影とは、被写体を現実のものよりも大きく見せる方法です。
大きく見せるには、被写体に近づいて撮影する必要があるため、カメラのレンズも近い位置でピントが合う(接写できる)ものを使用します。
これはスマートフォンでも同じです。
最近のスマートフォンには、マクロ撮影機能が付いたものが多く見られます。
ただ、構造上スマートフォンのカメラに搭載されたマクロ機能には大きな欠点があります。
接写は出来るけど、マクロの魅力が足りないスマートフォンのカメラ。
何が足りていないのか、デジタル一眼カメラと比較してみましょう。
花を撮影してみた
近所で花を撮影しました。
まずは、デジタル一眼から。
そしてスマートフォンのカメラで撮影したものがコチラ。
違い分かりますか?
一番大きいのは背景ボケです。
基本的にスマートフォンのカメラは背景ボケが綺麗ではありません。
これはレンズの焦点距離によるものが大きいです。
更に、背景ボケが綺麗にならないのはスマートフォン特有の事情もあったります。
背景ボケは焦点距離が長いほど綺麗
同じ明るさのレンズで比較すると、背景ボケは焦点距離が長いほど綺麗になります。
ですから、焦点距離24mmF2.8のレンズで撮るより、200mmF2.8のレンズで撮影した方が綺麗になります。
今回の写真を確認すると、
デジタル一眼カメラ 90mm
スマートフォン 24mm
となっておりますので、焦点距離の差が背景ボケの差につながっています。
更に、今回はマクロ撮影という事ですので、背景がボケやすい状況です。
焦点距離の違い+マクロ撮影という条件が、このボケの差を生んでいるという事です。
背景ボケは望遠レンズの方が綺麗なはずなのに、なぜか広角レンズに搭載されたマクロ機能。
これにはスマートフォン特有の理由があります。
スマートフォンのマクロ撮影が広角となる理由
今回使用したスマートフォンは24mmレンズのカメラでマクロ撮影が可能でした。
ほとんどのスマートフォンは、疑似的にズームレンズを再現するだけで、実際はカメラを切り替えています。
マクロレンズはピントの機構が特殊になります。
複数個のカメラを搭載した場合、全てのカメラレンズにマクロ機能を搭載するとコスト高になります。
ですから、スマートフォンにカメラが複数個搭載されていても、マクロ撮影できるのは1個になります。
ユーザーからすると、近づいて撮影出来ればいいので、どれか一つ使えればいいという事です。
では、どのカメラが候補に上がるかというと広角レンズ搭載のカメラです。
マクロ撮影で、綺麗な背景ボケを得ようとすると、望遠レンズの方が有利なのですが、望遠レンズにマクロ機能を付随させると全長が長くなり、スマートフォンの躯体に入りません。
特殊な構造にすれば可能かもしれませんが、ユーザーはマクロ撮影にそこまでの能力を求めません。
「望遠でマクロ撮影できるから1割価格アップします」ってなると誰も買いませんからね。
スマートフォンのマクロはオマケ
こういった理由から、スマートフォンのマクロ機能は、背景ボケを切り捨てているといえます。
ユーザーが求めるのは「近づいて撮りたい」という事なので、それ以上の性能は不要とされています。
更に、一部のスマートフォンは「背景ボケはアプリで修正」という仕様になっているようですが、正直アプリのボケは微妙です。
所詮ソフトウェアが判断することですので、自然なボケとは程遠いと感じます。
ただ、携帯性の優位と、オマケと割り切って撮影するなら、それほど悪いものではないかもしれません。
コメント