ナイトシーンで空が真っ白になってしまった
スローシャッターでデコトラのナイトシーンを撮影したんだけど空が真っ白になってしまった。
こんな時はどうすればいいの?
ナイトシーンをスローシャッターで撮影すると、デコトラは普通に写っているのに空が真っ白になってしまった経験はありませんか?
デコトラが電飾全開で写っているのに空が真っ白だなんて、昼なのか夜なのかよくわからない写真ですね。
今回はこの「空が真っ白になる」原因と解決方法を解説します。
空が真っ白になる原因
空が真っ白になってしまう原因は簡単で、空が露出オーバーになっているということです。
露出オーバーとは適正露出に比べて撮影した写真の露出が多く、明るくなり過ぎた状態のことをいいます。
露出の三角形で表すとこういう状態ですね。
これは一例ですが適正露出(太枠の三角形)に対して写真の露出(黄色く塗った部分)の面積が大きくなりすぎたということです。
空の露出がこのように大きな黄色い三角形になっているため露出オーバーとなっているのです。
原因としては、
・シャッター速度が遅すぎて露出オーバーになる。
・絞りの値を小さくし過ぎて露出オーバーになる。
・ISO感度を上げ過ぎて露出オーバーになる。
というように3つのパターンが考えられます。
今回の場合は、スローシャッターを使用しているということですので、シャッター速度の遅さが原因である可能性が高いですね。
ただ、あくまでも可能性ですので結果として出すには時期早々です。
露出は水彩絵の具のようなもの
空といえば青空や夕焼けなど青や赤の色が付いていることが多いと思うのですが、なぜ露出オーバーになると白くなってしまうのでしょうか?
露出というものは水彩絵の具のようなものです。
水彩絵の具は塗り重ねれば重ねるほど黒くなっていきますが、露出はその逆で塗り重ねれば重ねるほど白くなります。
空が白くなるのは光の塗り重ねすぎが原因なのです。
空が白くなる原因は露出オーバーによるものです。
このような状態を一般的に白飛びと呼びます。
スローシャッターが原因ならばやめればいい
先ほどシャッターの遅さが原因である可能性の話をしました。
スローシャッターを使用することにより、シャッター速度が遅くなりすぎて露出オーバーになったということです。
それならとスローシャッターを止めたらどうなるかシミュレーションしてみましょう。
写真の状態を再度確認してみます。
最初に書いた通りデコトラ自体は綺麗に写っているのですが、空だけが白飛びを起こしている状態です。
ということでデコトラ自体の露出を三角形の図に表すとこの状態です。
そして空の露出はというとこの状態です。
再度、説明しますが黄色の三角形が写真の露出で、太枠の三角形が適正露出です。
1枚の写真ですので露出は同じ(黄色の三角形は同じ)はずですね。
ところが太枠の三角形を見比べてください。
大きさが違います。
これを見ると適正露出が、デコトラと空で大きく違うことが分かります。
では、ここでスローシャッターを止めるとどうなるでしょうか?
シャッター速度の矢印が短くなりますので、黄色い三角形の面積は小さくなり全体の露出は減ります。
結果どうなるかというと、
まず、全体の露出が減るので空の露出は適正露出に近づき白飛びが解消されます。
ところが、全体の露出が減ることによって今度はデコトラ自体が露出不足で暗くなってしまいます。
これでは何の意味もありません。
スローシャッターを止めることを含め、シャッター速度の変更は問題の解決にはならないのです。
今回の「空が真っ白になる」という問題はシャッター速度とは関係が無いのです。
そもそもデコトラと空の適正露出が違うことが原因なのです。
問題は双方の適正露出の違いということになりますので、たとえISO感度を低く調整しようが、絞りの値を小さく変えようが、結果はさほど変わりません。
問題なのはデコトラに対して空が明るすぎるということです。
根本的な問題は適正露出の差にあって、被写体に対して空が明るすぎるという事です。
スローシャッターを止めても問題解決にはなりません。
スローシャッターの時に空が白飛びしやすいのはなぜ?
問題はデコトラと空、双方の適正露出の差であって、シャッター速度ではないのです。
にもかかわらず、スローシャッターで撮影した場合にこの事象が多くあらわれるのはなぜでしょうか?
その理由はスローシャッターで無意識に空の色を塗り重ねているからなのです。
先ほども言いました通り露出は水彩絵の具のようなものです。
露出を多くすればするほど白に近づいていくのです。
ナイトシーンを撮影する時間帯を想像してください。
人の目には深い青色に写っている夕暮れの空であっても、少ないながらも光はあるのです。
その状態をスローシャッターで撮影したとしましょう。
たとえ少ない光の量でも、スローシャッターでどんどん重ねていくと、深い青色が青色になり、水色になり最終的には白くなるのです。
ですから、スローシャッターで撮影した時に空が白くなりやすいと感じるのは、一瞬の光しか感じていない人間の目と、数秒を塗り重ねるデジタルカメラのイメージセンサーの性質の差にあるのです。
人間の目は一瞬を切り取ります。
スローシャッターの時イメージセンサーは数秒を塗り重ねるので明るさ(露出)の差は歴然です。
結局のところどうするのが正解?
この問題に対して個人的な解決方法ですが、夕方の場合は暗くなるまで待つです。
たったそれだけです。
適正露出の太枠三角形は暗くなればなるほど大きくなります。
夕方の場合どんどん暗くなっていくので、時間を追うごとに空の適正露出を示す三角形は大きくなっていきます。
それに対して自身の発光量が決まっている、デコトラの適正露出は一定のままで、三角形は大きくなりません。
そして、ある瞬間に空とデコトラの適正露出が同じぐらいになります。
デコトラと空の適正露出が同じぐらいになるということは、同じぐらいの明るさに写せるということです。
ですから空の適正露出を表す太枠三角形が、デコトラの適正露出を表す太枠三角形と同じぐらいの大きさになるまで待つと良いのです。
これが「空が真っ白に写ってしまった時にとるべき」簡単で最も効果的な対処方法なのです。
騙されたと思ってやってみてください。
驚くほど簡単に白飛びが解決できますよ。
ナイトシーンの撮影で空が白く写ってしまった場合は暗くなるまで待つ。
それが最も簡単で効果的な解決方法です。
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