星空を撮影して現像しても色のメリハリが無くてモノクロ写真みたい。
星って色々な色があると思うんだけど、赤が表現されにくいよね。
星を撮影しても赤色が上手く出ない
天の川を撮影すると気になること・・・
「何でこんなに青っぽいの?」
皆さんが想像する天の川はこんな感じ?
でも実際に撮影したものを確認するとこんな感じ。
はい、違いは一目瞭然ですね。
天の川は形として写っているんですけどね・・・赤色が上手に表現されていないのです。
赤色が出ていないので、星が同じような色で表現され、メリハリのない仕上がりになるんですね。
Hα線
天体写真で赤色が出ないのは、Hα線をイメージセンサーのIRカットフィルターが取り除いてしまうためです。
Hα線とは・・・。
H-alphaは、バルマー系列の特定の深紅の可視スペクトル線であり、波長は空気中で656.28 nm、真空中で656.46nmです。
これは、水素電子が3番目に低いエネルギーレベルから2番目に低いエネルギーレベルに落ちるときに発生します。
Hα線は、可視スペクトル範囲で最も明るい水素線です。
<Wikipwdiaより引用>
IRカットフィルターとは・・・。
太陽光や照明は様々な波長(色)の光を発していますが、人間は可視光といって目で見える光の波長の範囲が限られています。
しかし、デジタル撮影機器では人間の可視光を超える範囲の光の情報も電気信号としてイメージセンサーへ伝えてしまいます。
太陽光や白熱電球の光に含まれる「赤外線」は、人間の目には見えないけれどもデジタルカメラでは写ってしまう波長(色)の光です。
この赤外線をカットせずに映像を出力した場合、人間が見えている色と違う色になってしまいます。
デジタル撮影機器での撮影で人間が見ている色と同じような色で撮影するためには、IRカットフィルターを用いて赤外線をカットし、可視光のみをイメージセンサーへ透過させる必要があるのです。
<システム・ケイカメラHPより一部引用>
はい!難しい用語でワケが分からないですね。
簡単にいうと、一般的なデジタルカメラは星から発生するHα線をカットするフィルターが付いているという事です。
Hα線は赤色を表現していますので、写真から赤色が消えてしまうのは当然のことなのです。
星の赤色を表現するためには
星の赤色を表現するためには、Hα線をイメージセンサーに届くようにしなければいけません。
具体的には、
Hα線透過フィルターを搭載したカメラを買う。
カメラをフィルター改造する。
後付けフィルターを使う。
といった方法が考えられます。
それぞれ説明していきましょう。
Hα線透過フィルターを装着したカメラを買う
カメラ自体にHα線透過フィルターが搭載された製品があります。
Canon EOS Raと、Nikon D810Aが、その代表例。
どちらのカメラも天体撮影用として開発されているため、一般的なデジタル一眼カメラとは機能面で異なったりします。
また、常時Hα線を透過していますので、写真が赤っぽくなる可能性があります。
とはいえ、実際使ってみて、気になるほどのものではありません。
カメラの買い替えが必要ですが、安全確実な方法といえます。
カメラをフィルター改造する
ちょっとした荒業ですが、カメラにHα線透過フィルターを後付けすることもできます。
とはいえ、この方法は対応している機種は限られてきますし、専門店での改造が原則です。
費用も結構しますので、Hα線透過フィルター搭載のカメラに買い替えた方が安い場合があります。
また、故障の際もメーカーがまともに取り合ってくれませんし、リセールも難しいです。
あまりお勧めの方法とはいえません。
後付けフィルターを買う
後付けのHα線透過フィルターを買うという手もあります。
これはフィルター枠に取り付けるものと、天体望遠鏡用のものがあります。
フィルター枠に取り付ける場合ですと、結局イメージセンサー部分で減衰してしまいますので効果は薄いかもしれません。
また、フィルターの性質上、広角レンズに向かないという欠点もあります。
どちらかというと天体望遠鏡用のパーツといえます。
現実的なのはカメラの買い替え
専門的に天体写真を撮っていくなら、このほかにも方法はあります。
ただ、多くの人はそこまで望まないでしょう。
とはいえ、のっぺりした天の川は迫力に欠けます。
現実的なのはカメラの買い替え。
先ほど紹介したCanon EOS Raと、Nikon D810Aはもちろんのこと、Canon EOS 20DaやCanon EOS 60Daなど旧式を中古で入手するのも一つの手です。
画素数は少ないのですが価格も安いので手が出やすいです。
更に一部のデジタル一眼カメラはHα線を透過しやすいと言われています。
よく言われるのが富士フィルムのデジタル一眼カメラです。
また、ペンタックスの一部機種でも赤を表現しやすいと言われます。
このあたりはメーカーの考え方かもしれません。
ただ、メーカーシェアの低いフジやペンタックス(RICOH)に今からシステムチェンジするのはちょっと勇気がいるでしょう。
仕上がりは雲泥の差
このように、星空の赤を表現しようとすると、ある程度の投資が必要です。
対費用効果が個人の満足度に合うようでしたら、買い替えもアリだと思います。
「点で写っていればいい」という人には不要といえます。
ただ、比べると仕上がりは雲泥の差です。
「画像アプリケーションで色を付ければいいじゃないか」という人もいますが、元の色が分からない以上、不自然な仕上がりになるのは目に見えています。
ある程度、実物の色を見て微調整するのが自然な色表現への道です。
画像アプリケーションの性能を否定はしませんが、所詮は人は想像できる範囲しか操作できません。
無理な色付けをして、不自然な写真を作るぐらいなら、Hα線を透過しやすいデジタル一眼カメラを買って撮影した方が綺麗な写真になります。
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