FX(外国為替保証金取引)
FX(外国為替保証金取引)は各国の通貨同士を交換する取引です。
「日本円を米ドルに交換する」など、通貨を買ったり売ったりするものです。
各国の通貨は需要と供給のバランスによって常に変動しています。
この変動を上手く利用して利益を狙うというものです。
2022年夏ごろから、FRBによる金融引き締めの影響を受け、の日本では急激な円安が進みました。
これにより輸入品やエネルギーが上昇し、最終的に全体的な物価が急上昇しました。
「物価が上がって生活が大変!」と嘆いている人がいる一方で、こういった情報に敏感な人はFXなどを始め、大きな利益をあげたと思います。
FXの利益には税金がかかる
このFXですが、当然のことながら利益には税金がかかります。
【FXにかかる税金】
所得税 | 15% |
地方税 | 5% |
復興特別所得税 | 0.315% |
合計 | 20.315% |
この税金は源泉徴収(企業等が納税者の代わりに納税)されていませんので、確定申告をして納税する必要があります。
やらないと脱税となります。
では、どういった場合に確定申告が必要なのでしょうか?
確定申告が必要なのはこんな人
FXで利益が出た際に確定申告が必要なのはこんな人です。
・FXで年間20万円以上の所得を得た人
・年収が2000万円を超えている人
・医療費控除や住宅ローン控除の適用を受ける人
・給与を2ヶ所以上から貰っている人
・扶養に入っていてFXによる所得が38万円以上
その他、特殊な収入形態の人は個々に税理士とご相談ください。
なお、確定申告は不要でも住民税の納税義務は発生します。
このあたりは頭に入れておきましょう。
FXの確定申告に必要なもの
FXの確定申告に必要なものは以下のとおり。
・給与所得の源泉徴収票
・FXの年間取引報告書
・その他確定申告に計上するもの
【給与所得の源泉徴収票】
会社員の場合、給与所得の源泉徴収票は勤め先で発行してもらえます。
勤め先の経理や総務等にお問い合わせください。
【FXの年間取引報告書】
FXの年間取引報告書は、FX口座を開設している金融機関等で閲覧できます。
一般的には翌年の1月下旬から2月上旬には閲覧できるようになっていますので、その頃になったら取引のある金融機関でご確認ください。
参考までにSBI FXトレードの場合。
マイページにログイン
→FX取引スタート
→MENU
→照会
→取引情報
→報告書種別[年次](検索)
→年間取引報告書(pdf)
で出力できます。
【その他確定申告に計上するもの】
FXの所得以外に確定申告に計上するものがあれば準備をしておきます。
勤め先で年末調整を行っていても、その後確定申告をすると入力し直しとなりますのでご注意ください。
例えば、
ふるさと納税はワンストップ申請しても確定申告の際に再度申告する必要があります。
生命保険や医療費の控除も同様です。
ですから、こういった所得や控除のうち書類を添付する必要があるものは事前に取り寄せておきましょう。
確定申告の実施方法
確定申告書は【国税庁・確定申告作成コーナー】で作成できます。
まずは[作成開始]
提出方法の選択をします。
マイナンバーカードと読み取り可能なスマートフォンがあるなら[スマートフォンを使用してe-Tax]が良いです。
昨年以前に、このシステムで確定申告をした方はIDとパスワードが発行されていますので、[ID・パスワード方式でe-Tax]が利用できます。
個人情報の入力等が省けるので便利です。
ID・パスワードを忘れてしまった場合は[印刷して提出]でも問題ありません。
今回は誰でもできる[印刷して提出]で説明します。
これは文字通りプリンター等で印刷して税務署等に提出する方法となります。
次のページ[利用規約に同意]をしたら
[令和4年分の申告書等の作成]を選択してください。
FXの収入は所得税で行います。
ですから[所得税]を選択してください。
まずは以下の情報を入力します。
生年月日
給与以外に申告する収入 →[はい]
税務署から青色申告の承認
→受けていなければ「いいえ」
税務署からの予定納税
→受けていなければ「いいえ」
給与所得の入力
所得の入力画面となります。
所得の入力では1年間で得られた所得を入力していきます。
まずは[給与所得]を入力しましょう。
ここで源泉徴収票の出番です。
この時、勤め先等発行のxmlデータの源泉徴収票があると楽です。
ただ、あまり普及していませんので今回は無し[いいえ]を選んで下さい。
基本的にほとんどの方の源泉徴収票は年末調整済だと思います。
ですから[年末調整済みの源泉徴収票の入力]から[入力]してください。
年末調整をしていない方は下で入力します。
[給与所得の入力]で入力するのは以下のとおりです。
①支払金額
②源泉徴収税額
③配偶者控除
④控除対象扶養親族
⑤16歳未満の扶養親族
⑥社会保険料の金額
⑦生命保険料の控除額
⑬地震保険料の控除
⑮住宅借入金等特別控除
⑰所得金額調整控除額
⑱本人が障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生のいずれか
㉑支払者
取り寄せた源泉徴収票を確認しながら全て入力、選択してください。
入れ終わったら[入力内容の確認]で終了します。
特定支出控除を受ける方は[給与所得の入力]で入力します。
※多分、これをやっている人はこんな説明は要らない。
入力が完了しましたら[次に進む]で[収入金額・所得金額の入力]に戻ってください。
FXによる所得の入力
次にFXによる所得を入力します。
FXの所得は分離課税の雑所得です。
具体的には[先物取引に係る雑所得等]となります。
入力はFXの年間取引報告書を確認しながら行って下さい。
所得区分は[雑所得用]です。
種類は[外国為替取引]。
決済の方法は[仕切]と入力。
差金等決済に係る利益又は損失の額は年間取引報告書の決済損益合計を計上してください。
FXの場合スワップポイントが計算されている場合がありますので、この場合は[その他収入]に計上してください。
必要経費については取引に使用したものが計上できます。
具体的な例として、
FX専用に使用する端末機器や月額使用料
FX専用に使用する通信費、レンタルサーバ代
FXの取引手数料(スプレッドは別)
FX専用の取引ソフト
FXの書籍
FXの会議、セミナー参加費
というのがあります。
どれもFXをするために利用することが前提ですのでご注意ください。
パソコンを買ったけどFX専用で使っていない場合は、全額経費として計上できません。
このあたりの判断は税務署によって分かれると思いますので、不明な場合は所轄の税務署で確認してください。
今回は無しで進めます。
入力が終わったら[入力終了(次へ)]で戻ってください。
他の所得も入れる
給与所得とFX所得の入力が終わったら他の所得も入力しましょう。
例えば、
他に副業しているなら[雑所得]や[事業所得]。
不動産を貸している人は[不動産所得]。
財形の解約等でお金が入った場合は[一時所得]。
株式等の損益通算は「株式等の譲渡所得等」。
といった具合です。
確定申告をする以上、他の所得も全て申告しましょう。
所得控除の入力
所得の入力が終わったら、所得控除の入力です。
ここでは各種控除を入力します。
入れ忘れると控除を受けられず、税金が高くなりますのでご注意ください。
忘れやすのがふるさと納税の[寄付金控除]。
ワンストップ特例制度を利用するために「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を自治体に送っていても確定申告の際は再度申告する必要があります。
税額控除・その他の入力
次は税額控除・その他の入力です。
関係する人は少ないかもしれませんが、該当する人は入力しましょう。
計算結果確認
入力に基づいて算出された結果が出力されます。
入れ忘れが無いか確認しましょう。
住民税等入力
住民税等入力では住民税・事業税の取り扱いを選択します。
対象となるのは、
給与・公的年金等に係る所得以外の所得がある方
16歳未満の扶養親族がいる方
退職所得のある配偶者・親族がいる方
別居の配偶者・親族・事業専従者がいる方
配当所得等がある方
株式等譲渡所得割控除税額がある方
事業所得や不動産所得がある方
こういった方は[住民税・事業税に関する事項]より内容を確認しましょう。
住所・氏名等の入力
ここでは納税者の個人情報を入力します。
【受取方法の選択】
これは確定申告で還付が出た際の受取口座です。
基本は「ゆうちょ銀行」ですが他の銀行も可能です。
但し、公金の受取が出来る口座のみです。
対象かどうかは取引のある金融機関にご確認ください。
【住所・氏名等の入力】
住所、氏名等を漏れなく入力して下さい。
税務署名は納税する税務署(1月1日時点で住民用のある住所を管轄する)を選択します。
【マイナンバーの入力】
マイナンバーカードまたは通知カードに記載されたマイナンバーを入力して下さい。
提出時はマイナンバーの確認がありますので、マイナンバーカードまたは通知カードを持参して下さい。
帳票表示・印刷
これでひととおり入力は終了です。
あとは印刷して提出となります。
[帳票表示・印刷]を選択するとpdfファイルの保存画面になります。
とりあえずデスクトップ等に保存してから印刷して下さい。
また、次の画面で入力データを保存しておくと訂正する際に楽です。
必ずデータは保存しておきましょう。
確定申告書は所轄の税務署や確定申告会場で受け付けています。
パソコン等が無い人は当日現地で並んでいると思いますが、自宅で作成印刷済みなのでサッサと税務署の人に渡してしましましょう。
提出が必要なのは、
・申告書B(第一表、第二表)
・告書第三表(分離課税用)
・先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書(FXの年間取引報告書)
となります。
マイナンバーの確認がありますので、マイナンバーカードまたは通知カードを持参してください。
また、FX以外に所得があったり控除を受ける場合はその明細も必要です。
忘れ物のないように。
特に確定申告会場では数時間待つのが当たり前だったりします。
自宅で出来ることは自宅で実施しましょう。
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