Zマウントレンズ(NIKKOR Z)
2018年、NikonよりフルサイズミラーレスZシリーズ(Z6、Z7)が発売されました。
Zシリーズには、それまでNikonが採用してきたFマウントよりマウント径が大きく、フランジバックが小さいZマウントが採用されます。
この2つの特徴によりZマウントに対応したレンズは、今までより自由度の高い設計ができるものとなりました。
【フランジバックって…】
Nikonより発売されているNIKKOR ZはZマウント用に設計されたレンズで、2018年の登場以来バリエーションを増やしています。
Fマウントレンズとの大きな違いはマウント径とフランジバックなのですが、それ以外にも新しい技術が採用されており進化を感じる製品も多くなっています。
Fマウントレンズ(NIKKOR)を長年使った私がNIKKOR Zに思う不満
設計上有利であり、新しい技術を多数採用しているNIKKOR Zですが、不満に思う点もいくつかあります。
慣れの部分もあるかもしれませんが、共感を得られる点もあるかと思います。
Fマウントレンズ(NIKKOR)を長年使った私がNIKKOR Zに思う不満。
「そうそう、これは改善して欲しい!」
というものから
「考えすぎ!」というものまで。
順に見ていきましょう。
ゴミの溜まるズームリングとピントリング
NIKKOR(Fマウントレンズ)とNIKKOR Z(Zマウントレンズ)の操作部で大きく違うのが、ズームリングやピントリングに施された滑り止めのパターンです。
NIKKORはブロック状のパターンですが、NIKKOR Zはレンズ面に直角なストライプパターンです。
パターン自体にはそれほど違和感が無いのですが、問題は溝の間隔で、非常にゴミが溜まりやすい間隔となっています。
ズームリングやピントリングの表面はラバーで出来ていることが多く、これがゴミの溜まりやすさを助長しているようにも思えます。
特に白いゴミはよく目立ちます。
付着しやすく、除去しにくい。
ゴミの溜まりやすい形状のピントリングやズームリングは気になる人にとってイライラポイントかもしれません。
全体的にズームリングが重い
これは個体差なのか、設計上の仕様なのか、自身が使用したNIKKOR Zは全てズームリングが重いです。
例えば
Fマウント製品 | どっちが 重い? | Zマウント製品 |
---|---|---|
AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED | < | NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S |
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED | < | NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S |
AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR | < | NIKKOR Z 24-120mm f/4 S |
AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR | < | NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3VR |
比較対象は同等製品ですので、若干の仕様違いはあるかと思います。
NIKKOR Zは全体的にズームリングの回転角度が小さい製品が多いので仕方が、これが影響しているかもしれません。
とはいえ、もう少し軽快に回らないものかと思うのです。
レンズキャップ(後キャップ)が硬い
NIKKORとNIKKOR Zで大きく変わったのがレンズキャップ(後キャップ)。
デザインの変更と共に、直径は13mmほど大きくなり、高さは5mmほど低くなりました。
これにより、狭い部分を持って大きな力をかける必要が出てきます。
今までは、レンズ筐体を持ち小指の力でレンズキャップが外すことができたのですが、それが難しくなりました。
更にボディキャップとレンズキャップをかみ合わせると強力に合体することがあります。
これがけっこう外れにくい。
キャップの高さが低くなったため、接する面が少なく力が入りにくいということもあるでしょう。
レンズを収納する際には有利になりましたが、たまに予想以上に固く締まって戸惑うこともあります。
小さすぎる三脚座
Zマウントはマウント径が大きくなったのですが、NIKKOR Zはコンパクトで軽い製品が多いです。
新しい素材を積極的に使い、小さく、軽くすることで取り回しの良さを実現していると感じます。
技術の進化といえるでしょう。
ただ、その影響は三脚座にも及んでいます。
NIKKOR(Fマウントレンズ)では比較的大きかった三脚座も極力小さく作られています。
軽くするためには仕方が無い事ですが、製品によっては持ちにくいサイズとなっています。
三脚座の付くような重量があるレンズは、カメラ側を持つことを推奨しません。
マウント部分が傷みますから。
レンズ側を支持することが機材を長持ちさせるコツです。
レンズ側の支持で大きな役割を果たすのが三脚座。
移動時に三脚座を持って歩く人にとって、NIKKOR Zの三脚座は小さすぎるかもしれません。
三脚座の交換やプレートの設置が前提となる大きさ。
製品によって多少の違いはありますが、もう少し持ちやすくできないものかと思います。
なんだか白っぽい汚れが目立つ筐体表面
NIKKOR Zから筐体表面の仕上げが変わりました。
以前から光沢を抑えたマット調なのですが、そのパターンがより細かくなったせいか、表面に白い汚れが目立つようになりました。
これが非常に気になる。
NIKKOR(Fマウントレンズ)ですと、これぐらいの白くなると確実に跡が残る(傷になる)のですが、NIKKOR Zではただの汚れだったりします。
もちろん汚れですからクリーニングクロス等で簡単に落ちます。
非常に紛らわしいです。
汚れだと思って放っておくと本当の傷だったりします。
傷だか汚れだか分からない跡が付く表面仕上げは、もうちょっと何とかならないかと思います。
レンズストラップ穴が小さい
NIKKOR Zよりレンズストラップ穴が小さくなりました。
この変更により、使用できるレンズストラップも細くなっています。
Nikon純正品ですと幅20mmから幅15mmへと5mm細くなりました。
わずか、5mmですが非常に細く感じます。
また、NIKKORで使用していた20mmのレンズストラップは基本的に使えません。
無理をすればストラップ穴を通せるという話も聞きますが、無理をすればストラップの劣化につながるためお勧めできません。
劣化してレンズを落下させれば目も当てられない惨事に。
レンズストラップを使うようなレンズは高価なものが多いです。
メーカー公式での強度比較は出ていませんが、見た目が貧弱で心配なのと、細くなってなんとなくねじれやすくなった気もするので、この点は変えなくてよかったと感じます。
NIKKORと比較すると割高感がある
新技術の採用や資材価格の高騰を考慮してもやっぱりNIKKOR Zは高いです。
NIKKORシリーズと比べると割高に感じます。
同等製品で比べてみましょう。
【NIKKORとNIKKOR Z価格比較】
製品名 | 市場価格 |
---|---|
AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED | 18万円 |
NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S | 30万円 |
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR | 21万円 |
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED | 18万円 |
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S | 28万円 |
AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR | 25万円 |
AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II | 20万円 |
NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S | 31万円 |
あくまで価格が落ち着ている頃の市場最安値で比較しています。
多少の前後はありますのでご了承ください。
2~4割ぐらい高いのが分かります。
この価格差が性能に反映されているかは正直微妙です。
写りや操作性、携帯性など含めての判断となってきますが、現在NIKKORシリーズで満足しているなら、無理にマウント変更する必要はないと感じます。
良くなった点も多いけど不満点も考慮が必要
NIKKOR ZはNIKKORより良くなった点が多いです。
写りは良いものが多いですし、携帯性(軽さ)は随分進化しました。
このあたりはメーカーの苦労が伺えます。
ただ、設計の概念が変わった部分もあり、その一部で不満に思うこともあります。
「新しくなったから全てが良くなった」と考えるのではなく、そういった不満点も理解しておく必要があります。
とはいえ、不満点については個人差もあるので、”こういった事を考える人がいる”という程度で良いと思います。
感じ方は人それぞれなのでこのほかにも不満点はあるかも知れません。
ただ、全体的に見れば確実に進化していますので、Fマウントからのマウント変更はお勧めできると思っています。
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