SAMYANG 35mm F1.4 Aspherical IF
SAMYANG 35mm F1.4 Aspherical IFはフルサイズ用単焦点レンズです。
コスパが高く先に海外で高評価されていた製品ですが、2011年に日本国内でも発売されました。
そんなSAMYANG 35mm F1.4 Aspherical IFについて様々な角度から切り込んでいきたいと思います。
SAMYANGというメーカー
SAMYANGはサムヤンと呼びます。
会社の正式名は三洋オプテクス(サムヤンオプティクス)で1972年に韓国で創業したサードパーティレンズメーカーです。
2010年に新東京物販を代理店とし日本市場に本格参入してきました。
2016年には販売代理店をケンコー・トキナーに引き継ぎ現在は販売、サポートともケンコー・トキナーが行っています。
SAMYANGは三洋オプティクスのブランド名ともなっています。
35mm F1.4 Aspherical IFの基本スペック
35mm F1.4 Aspherical IFは2011年に日本市場で発売されました。
市場参入が2010年ですので、比較的古いレンズです。
マニュアルフォーカスながら大口径で低価格のレンズは、SAMYANG初期の代表的なレンズともいえます。
35mm F1.4 Aspherical IFの基本スペックは以下のとおりです。
項目 | 仕様 |
---|---|
フォーカス | マニュアルフォーカス |
フォーマット | フルサイズ |
焦点距離 | 35mm |
開放F値 | F1.4 |
画角 | 63.1度 |
最短撮影距離 | 0.3m |
絞り羽数 | 8枚 |
フィルター径 | 77mm |
重量 | 690g |
対応マウント | キャノンEF ニコンF ソニーE ペンタックスK |
35mm F1.4 Aspherical IFのココが〇×
では実際に使ってみて、良いところ悪いところを紹介します。
主観も含んでいますので参考程度にしてください。
使用したのはNikonマウント用のレンズです。
電子接点があるのが〇
このレンズには電子接点があります。
電子接点はレンズ~ボディ間で情報を伝達する為のものです。
電子接点があることにより、以下の機能が使えるのです。
・ボディ側で絞り値が確認できる。
・プログラムオート、シャッター速度優先が使える。
・フォーカスエイドが使える。
・EXIFデータに絞り値が記録される。
どれも非常にありがたいです。
シャッター速度優先が使えると手ブレを心配することが減りますし、フォーカスエイドが使えるとピント合わせが楽です。
また、EXIFデータに絞り値が表示されるので、パソコンで露出データを確認しやすいのも良いです。
ピント操作だけ手動であって、あとはAFレンズと同じように使えるイメージです。
なお、オールドレンズなど古いマニュアルフォーカスレンズには、電子接点が無いためこれらの機能が使えません。
絞りロックレバーが無いのが×
NikonFマウントは歴史があるため、絞りリングがあるレンズがあります。
こういったレンズをデジタル一眼カメラに装着する際は、絞りリングを操作して絞りの値を最大にしないとシャッターが切れません。
Nikon純正レンズの場合、絞りの値を最大にした際に回転しないようロック機構があり、不要な回転を防ぐようになっています。
この35mm F1.4 Aspherical IFも絞りリングがあるのですが、ロック機構がありません。
これが、わりと撮影の足を引っ張ることになります。
触っていないつもりでも、何かの拍子に回転してしまう絞りリング。
いつの間にかシャッターが切れなくなるのです。
結構な落とし穴かもしれません。
F1.4の圧倒的なボケ味が〇
このレンズの最大の魅力は開放値F1.4のボケ味です。
特に逆光や強い光を写した際の玉ボケは、暗いレンズでは表現できません。
今まで廉価ズームレンズで撮っていた被写体も、このレンズで撮影すると全く違う表現になります。
背景に物が散乱する室内でもボカしてしまえば解決。
広角領域とボケの美しさが両立したとても良いレンズといえます。
周辺光量落ちが×
広角レンズ特有の周辺光量落ちがこのレンズにもあります。
周辺光量落ちとは、主に開放付近(F値を最も小さくした場合)で写真の四隅が暗くなる現象です。
フードを付けているからというわけでもなく、このレンズの設計の問題かもしれません。
とはいえ、周辺光量落ちは捉える人によっても変わってきます。
あえて周辺光量落ちを狙ってレトロな感じを出すのも良いかもしれません。
重要なのは、そういった性質のあるレンズだということを覚えておくことです。
圧倒的な低価格が〇
単焦点で35mm・F1.4というと、一般的に高価なレンズの部類です。
参考までに比較して見ます。
製品名 | 市場販売価格 |
---|---|
Canon EF35mm F1.4L II USM | 25万円前後 |
SONY FE 35mm F1.4 GM | 18万円前後 |
Nikon AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G | 20万円前後 |
SIGMA 35mm F1.4 DG DN | 9万円前後 |
TAMRON SP 35mm F/1.4 Di USD | 9万円前後 |
SAMYANG 35mm F1.4 Aspherical IF | 5万円前後 |
純正メーカーの1/4程度、国内サードパーティの半分です。
MFレンズとはいえ手軽に試すなら候補に入れてもいいですね。
フィルター枠77mmが×
35mm F1.4 Aspherical IFのフィルター枠は77mmです。
これは同仕様のレンズに比べて大きいです。
参考までに、
製品名 | フィルター枠径 |
---|---|
Canon EF35mm F1.4L II USM | 72mm |
SONY FE 35mm F1.4 GM | 67mm |
Nikon AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G | 67mm |
SIGMA 35mm F1.4 DG DN | 67mm |
TAMRON SP 35mm F/1.4 Di USD | 72mm |
フィルター径が大きいということは、フィルターの価格が高いということです。
72mmから77mmですとワンサイズ、67mmから77mmですとツーサイズ上がることになります。
プロテクトフィルターでもワンサイズ1,000円前後、円偏光ですとその倍ぐらいです。
後からフィルターを追加する場合も、出費は多くなります。
これは頭に入れておきましょう。
偶数絞りの変わったレンズ
このレンズは8枚の偶数絞りを採用しています。
絞り羽根枚数は、光条の表現に大きく影響します。
偶数絞りですので、光条は絞り羽根の枚数分出ます。
絞り羽根の倍数光条が出る奇数絞りと比べると、強調されたイメージになるかもしれません。
このあたりは好き嫌いもあるかと思います。
ただ、NikonやSONYなど奇数絞り中心のメーカーを使用している場合、偶数絞りは表現の選択肢を増やしてくれます。
ですから、一概に「どちらの方が良い」というのではなく、こういった表現も出来るということを頭の片隅にでも入れておくと良いかもしれません。
コスパは高い
35mm F1.4 Aspherical IFのコスパは高いと考えます。
新品価格で5万円前後、中古で2万円前後。
これで、大口径レンズが楽しめると思えば安いものです。
マニュアルフォーカスも慣れてしまえばそれほど苦ではありません。
最初は練習が必要かもしれませんが・・・。
設計は古いとはいえ、それほど特筆するような写りの悪さも感じず、それでこの値段なら安いと感じます。
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