被写界深度合成
被写界深度合成とはアプリケーション上でピントを合成し、被写界深度の深い写真を作成する事です。
プラモデルの写真がイマイチ本物っぽく見えない理由の一つとして、被写界深度が浅いために、被写体(プラモデル)の一部がボケるというものがあります。
プラモデルが途中でボケていると、何を撮りたいのかよく分かりません。
より本物っぽく見せるためには、被写体の奥までしっかりピントを合わせることが必須です。
奥までしっかりピントを合わせる技術として、被写界深度合成というものがあります。
被写界深度合成は撮影時にフォーカスシフト機能を利用してピント位置の違う複数の写真を作成し、専用のアプリケーションで合成します。
最近のカメラにはフォーカスシフト機能が付いていたりするのですが、古いカメラには付いていません。
ただ、フォーカスシフト機能自体はカメラが自動でピントをずらすだけだったりします。
なんとなく、手動でもできそうです。
ということで、手動での被写界深度合成をやってみることにします。
なんちゃってフォーカスシフト
フォーカスシフト機能の仕組み自体は、それほど複雑なものではありません。
最初にピントを合わせた場所から、遠方に向かってピントを動かしながら複数枚撮影するだけです。
ですから、手動でも撮影できそうです。
ポイントとしては、
1枚目はAFで被写体の最も手前にピントを合わせる
2枚目以降はMFとし、1枚撮る毎にピントを少しずつ∞側へ動かす
三脚を立てて撮影する
露出はマニュアルで固定し絞りはf8程度とする
といった感じになります。
それぞれ説明しましょう。
1枚目はAFで被写体の最も手前にピントを合わせる
被写界深度合成をする際、ファイル名はピント順になっていないと失敗します。
ですから1枚目はピントを最も手前としてください。
例の場合ですと、模型の角あたりです。
撮影1枚目はピントを動かすことがありません。
AF、MFどちらでピントを合わせても問題ありませんが、AFの方が楽かもしれません。
ピントが合ったら、1枚撮影します。
2枚目以降はMFとし、1枚撮る毎にピントを少しずつ∞側へ動かす
撮影2枚目以降はMF(マニュアルフォーカス)に切り替えてください。
MFとしたうえで、1枚撮る毎にピントを∞側へ少しずつ動かします。
この作業がキモです。
ピントを動かす量はレンズによって変わってきますが、なるべく小さくした方が良いでしょう。
もし、被写界深度合成する写真の枚数が多すぎても、後で枚数を減らすことは可能。
たくさん撮っておいて選抜すればいいのです。
三脚を立てて撮影する
被写界深度合成は、同じ構図の写真を合成します。
ですから、構図が変わらないように三脚を立てての撮影となります。
この点については、フォーカスシフト機能を使った場合と変わりません。
ズームレンズを使用する場合は、撮影中にズーム機構が動かないように養生テープ等で固定しておくと良いでしょう。
少しでも動けばズレてしまい、うまく被写界深度合成が出来ません。
露出はマニュアルで固定し絞りはf8程度とする
被写界深度合成をする際、それぞれの写真の露出が違うと明るさや色目がおかしくなることがあります。
ですから、露出はマニュアルとしてください。
マニュアル露出の設定が分からない場合は、1枚だけAEを使って撮影してみて、その値でマニュアル露出すると良いです。
被写界深度合成する際に少しでも負担を減らすため、絞りはある程度絞っておいた方が良いです。
あまり絞りすぎると回析減少で画質劣化しますので、f8程度で収めておくと良いです。
CombineZPで被写界深度合成
全ての写真を撮影したら、パソコンに取り込んで被写界深度合成を行います。
被写界深度合成は「CombineZP」を使いました。
主な操作は、以前の記事にて。
被写界深度合成した結果
結論から言うと、マニュアルでピントを合わせた写真を使っても、被写界深度合成は可能です。
何カットか試してみましたが、フォーカスシフト機能を使用した場合とほとんど差はありません。
フォーカスシフト機能がないカメラでも、「MFでピントを少しずつずらす」という方法で、被写界深度合成した写真が出来上がります。
フォーカスシフト機能は自動的にピントを動かしているだけなので、同じ操作を手動でやれば結果は似たようなものになります。
「カメラが古いから」と諦めるのは早い。
コツが分かれば、スマートフォンのカメラでも出来ます。
手動でピント位置を設定する場合の注意点
この撮影方法の注意点は、カメラを動かさないことです。
三脚にしっかり固定して撮影しましょう。
また、MFでピントを動かす際にあまり大きく動かすと、前後にピントが合ったおかしな写真が出来上がります。
これを防止する策としては、多めに撮影しておいて必要に応じて被写界深度合成する枚数を減らすといった作戦が、有効なのかもしれません。
ある程度、経験も必要となってきます。
さくさん撮影して、たくさん合成することが、良い写真への近道だと思います。
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