スマホで星空を撮影したら真っ暗に!
高いスマホじゃないと星空は撮れないの??
最近のスマホに搭載されているカメラは、高感度の性能が高いので星を写すことが出来ます。
しかし、写ったものはとても暗く「満天の星空」からは程遠いです。
星というか・・・どちらかというと真っ暗?
それは肉眼で見える景色からは程遠かったりします。
どうすれば満天の星空が写るのか?
綺麗に星を写したい!
星空を上手に写すためのちょっとしたコツを解説します。
星空撮影の成功は環境で9割が決まる
星空撮影の成功は環境が9割です。
星を撮影するために重要なのは、
高性能なカメラでもなく、
高価なレンズでもなく、
iPhone16でもなく、
いつ、どこで、どのような状況で撮影するかが重要だという事です。
環境が整っていれば9割成功。
あとの1割は「どのような撮影機材で撮影するか」ということです。
ですから、環境が整っていればスマートフォンでも星は撮影可能であると考えます。
そこで、環境が整っていることを前提に、スマートフォンで星空を撮影するには何が重要か?について掘り下げてみましょう。
最初に撮りたいものを決める
どんな撮影においてもそうですが、撮りたい写真を決めるのは重要です。
最終的にどのような写真にするかという目標ですね。
何も決めなければ、撮影したものが正解(自身が思っていた星空写真)なのかどうか分かりません。
失敗であってもその理由が分からなくなります。
・星だけを写したい ・山を入れたい ・建物を入れたい ・天の川を撮りたい
色々あるかと思います。
こういったことを決めず、適当に撮っていては思っているような写真に仕上がりません。
目標を決めるのはとても重要なのです。
<目標とする写真>
今回はこのような写真を撮影する事を目標にします。
まずは「星空を撮る」。
最も基本的な星空だけの写真です。
使用するのは一般的なスマホ。
この目標に対し、どういった準備が必要で、どういった撮影方法が適しているかを考えます。
星空の撮影に必要な物
星空撮影に際し、必要な物とあったらいい物を以下に記載します。
必要 スマートフォン
あったらいいマニュアル撮影できるアプリ
必要 三脚とスマホホルダー
あったらいい懐中電灯
それぞれ見ていきましょう。
スマートフォン
スマートフォンは現在持っているものでかまいません。
出来れば最新機種の方が有利なのですが、一定の性能を満たしていれば多少古くても問題ありません。
どうか分からない方は、とりあえずこの説明通り撮影してみましょう。
そして性能の限界を感じたり、不具合があるようでしたら、その時に機種変更するなり対策を取ればいいのです。
場合によってはデジタル一眼を買うという選択肢もあるでしょう。
”撮りたいもの”と”能力の限界値”が分かれば、その後の選択肢が絞れるのです。
意味も分からないまま「なんだか星が上手く写らない」という状況だけは避けましょう。
マニュアル撮影できるアプリ
星空はカメラ任せで撮影するのが難しい被写体です。
撮影において最も支障となりやすいのが露出です。
このため、露出をマニュアル操作できるカメラアプリは必須です。
「露出をマニュアル操作できる」とは、シャッター速度とISO感度が手動で操作できるということです。
この条件をクリアするなら、スマートフォンに付属のカメラアプリでもかまいません。
カメラアプリをマニュアルモード(M)に設定しシャッター速度とISO感度が手動設定できるか確認してみましょう。
もし、付属のカメラアプリで上手くいかないなら、ProCam X (Liteバージョン)を使ってみてください。
Android用のみですが、無料で使える範囲で充分性能を満たします。
三脚とスマホホルダー
星空は非常に暗い被写体といえます。
ですから、撮影はスローシャッターが基本です。
スローシャッター撮影で注意する必要があるのが手ブレの発生。
こういった手ブレを防止するためには、三脚が必須となります。
三脚はスマートフォンより重いものを使用してください。
スマホ用の簡易三脚や、自撮り棒と一体になった製品のは使えません。
安いもので結構ですので、デジタル一眼カメラ用の三脚を使用しましょう。
同時に、スマホを三脚に固定する三脚用スマホホルダーも忘れずに。
スマホホルダーは、
スマートフォンをしっかり固定できること。
三脚用のネジ穴が付いていること。
できれば縦横どちらでも構えられること。
これらを基準に選んでください。
性能を満たせば安い物でもかまいません。
懐中電灯
星空は街灯の無い真っ暗な場所で撮影することになります。
星の明かりだけで、ほとんど何も見えないような場所です。
歩くだけでも危険な目に遭うかもしれません。
三脚も手探りで操作することになります。
ですから、懐中電灯は有った方が良いです。
大きなものは不要。
100円ショップで売っているようなLEDライトでかまいません。
ストラップで首からぶら下げておくと便利です。
スマホで天体を撮影する方法
機材が揃ったら、撮影に出かけましょう。
大前提として「撮影の環境が整っている」ことを再確認してください。
撮影しに行ったけど月が邪魔
思ったよりも街灯が明るかった
雲が多くて星が見えなかった
撮影場所にたどり着けない
というのでは撮影以前の問題です。
星空撮影の成功は環境が9割
撮影場所に到着し、環境が整ったら撮影の準備に取り掛かります。
順に説明しましょう。
三脚を設置する
まずは三脚の設置。
三脚は安定した場所に設置しましょう。
どれだけ高性能な機材でも、土台が揺れてしまえば力を発揮できません。
以下のような場所は適しません。
・幹線道路の近く
・線路の近く
・建物の屋上
・バルコニー
・橋の上
・車の上
・船の上
・芝生や草むら、柔らかい土の上
・その他揺れやすい場所
僅かでも揺れる場所は避けましょう。
街の灯りがない場所で撮る
撮影は街の灯りが無い場所で行います。
街灯や建物の近く、車や電車の光など、とにかく人工的な灯りが無い場所を探してください。
スマホのカメラがこういった光の方向に向いていないからといって、楽観視してはいけません。
カメラの背面に街灯があるだけで、星空撮影の障害になります。
スマホとスマホホルダー、三脚の固定はしっかりと
スマートフォンとスマホホルダー、三脚の固定はしっかりと行ってください。
少しでも緩みがあるとブレの原因となります。
また、クイックシューやカメラスライダーなど、グラつきの原因となるものも使用しないでください。
多少揺らしてみてグラグラと揺れなければ問題ありません。
暗がりなのでスマホを落下させないように注意を!
ピントはマニュアルで合わせる
ピントは基本的にマニュアルで合わせます。
現在使用しているカメラアプリで星にピントが合う場合は、そのまま使っても問題ありません。
ただ、ほとんどのカメラアプリはオートフォーカスで星にピントを合わせることが苦手です。
ですから、マニュアルフォーカスでピントを合わせます。
どのように合わせるか?
マニュアルでのピントの操作はカメラアプリを使います。
先ほど紹介したProCam X (Liteバージョン)を例に説明しましょう。
まずはアプリを立ち上げ撮影画面にします。
下部メニューを右へスワイプ。
「F」をタップ。
「M」をタップ。
フォーカスダイヤルを右へスワイプ。 距離が「MF無限」となれば完了。
カメラアプリによって操作は違いますので、マニュアルフォーカスで焦点距離無限大(∞)にする方法をマスターしておきましょう。
くれぐれも現地で慌てないように!
スマートフォン標準のカメラアプリで無限遠に設定できる場合は、そちらで操作しても問題ありません。
ISO感度は1600以上
基本的にスマートフォンに搭載されているカメラは、絞りの値(f値)が変更できません。
ですから露出の調整は、ISO感度とシャッター速度で行います。
まずはISO感度の設定から。
こちらもProCam X (Liteバージョン)を例に説明します。
下部メニューの「ISO」をタップ。
メニュー上部の数字を右側へスワイプ。
該当のISO感度(数字)をタップ。
ISO感度はとりあえず仮で1600に設定します。
この設定で実際に撮影してみて、明るさやノイズの出具合を見て調整します。
シャッター速度は4~8秒程度を基本に
シャッター速度は4~8秒ぐらいに設定してください。
これ以上速いと露出が不足しますし、これ以上遅いとレンズの焦点距離によっては星が流れてしまいます。
覚えておくと良いです。
同じく、設定手順はProCam X (Liteバージョン)を例に説明します。
下部メニューの「S」をタップ。
シャッターダイヤルを右へスワイプ。
シャッター速度を4~8sに設定する。
これで露出の設定は完了です。
シャッター速度とISO感度はスマホによって限界値が違います。
自身が使っているスマホのカメラは、シャッター速度が0.7秒までしか設定できませんでした。
このままでは露出が不足しますので、ISO感度を上げて調整する必要があります。
ここからは、実際に撮影したものを確認しながら調整すると良いでしょう。
ご自身のスマートフォンで確認しながら調整してみて下さい。
露出の考え方
スマートフォンのカメラもデジタル一眼カメラと露出の考え方は一緒です。
例のような写真を撮影する場合、基本的な露出の数値は、
・シャッター速度8秒 ・絞り(f値)2.8 ・ISO感度1600
とします。
このデータで撮影してみて、明るすぎる、暗すぎるを判断する必要があります。
例えば、自身のスマートフォンは絞り(f値)が2でした。
この設定ですとf値2.8より一段階明るいです。
ですからシャッター速度を1段階速い4秒や、ISO感度を一段階低い800に変更しても同じ露出となります。
シャッター速度を速くすると、星が流れるリスク、ブレるリスクが減ります。
ISO感度を低くすると写真のノイズが減らせます。
また、自身のスマホはシャッター速度が0.7秒までしか対応できません。
このままですと、シャッター速度4秒に満たず、確実に露出不足になるため、星はほとんど写りません。
絞りの値は2でシャッター速度は0.7秒までですので、選択肢としてはISO感度を上げるしかありません。
ISO感度の調整ついては1段階ずつ比較すると分かりやすいです。
絞りの値(f値)2.8 → 2
これによりシャッター速度は4秒にできます。
今度はシャッター速度を速くし、ISO感度を高くします。
シャッター速度2秒 → ISO3200
シャッター速度1秒 → ISO6400
シャッター速度0.7秒 → ISO9142ぐらい
ということで、絞り(f値)2、シャッター速度0.7秒の場合、ISO感度は9142ぐらいにすると良いという事です。
あくまで計算上の話なのでご了承ください。
実際に撮影しながら調整することを忘れずに。
撮影はセルフタイマーを使う
星の撮影は振動にシビアです。
地面の揺れ、風、大きな音・・・僅かな振動でも撮影に影響します。
このような条件ですのでシャッターボタンを押すだけでもスマートフォンが僅かに動き、ブレが発生します。
振動を防いでくれるのがセルフタイマー機能。
シャッターボタンを押したら、数秒後に撮影してくれる「記念撮影でお馴染み」の機能です。
ブレ防止のため、星空の撮影にもセルフタイマーを使用しましょう。
少なくとも、指で押した(タップした)際の振動は防いでくれます。
ナイト(夜景)モードが無いから撮影できないは嘘
基本的に条件さえ満たせば、多くのスマートフォンで星空は撮影できます。
実際、写る根拠が分かっている人達は、スマートフォンのカメラを限界まで使って天体写真を撮影しています。
ナイトモードの有無で、星空撮影の可否を判断してしまう人がいますが、非常に勿体ないです。
ちょっとした知識と、ちょっとした道具の追加で星空撮影は可能なのです。
是非ともお試しください。
コメント