ハイエース200系
ハイエースはトヨタ自動車のキャブオーバー型(エンジンの上に運転席がある)商用車及び乗用車です。
4ナンバーサイズの標準ボディから、1ナンバーサイズのスーパーロングまで、複数のボディサイズがあり用途によって選べるのも人気のポイントです。
そんなハイエース200系ですが、多くのジャンルで人気となっています。
ただ、人気であるからといって、全ての面において良いというわけではありません。
乗る前に必ず知っておくべき不利点もあるのです。
買ってから後悔したのでは遅い!
車はとても高価です。
買った後に「こんなはずじゃなかった」があってもすぐに買い替えが難しいです。
マイナスポイントは買う前に抑えておきたいところ。
ということで、カタログスペックに出てこない乗って苦労する点を10個挙げてみました。
風の影響を受けやすい
ハイエースは1BOXカーという部類になります。
横から見ると箱型をしておりエンジンは座席の下になります。
同じ長さでもセダンやミニバンと比べると、横の面積は広く風の影響は受けやすいといえます。
特にスーパーロングやロングのハイルーフは全高が高い為、より影響を受けやすいです。
信号待ちで止まっていても横風を感じますし、対向車がすり抜けると微妙に揺れます。
特に気を付けたいのが高速道路での走行です。
橋の上など風が強くなりがちな場所はもちろん、トラックやバスに追い越される場合も気を抜けません。
バスが後ろから迫ってくるときは、その風圧で反対側へ押され、抜けていくときは空気に巻き込まれ吸い寄せられます。
追い越されるたびにその繰り返しですから、長時間運転するなら腕が筋肉痛になる覚悟も必要です。
風の強い日は、できる限りゆっくり走る方が安全なのです。
同価格のミニバンと比べると装備が貧祖
ハイエースは商用車です。
ですから乗用車のような快適装備は基本的に付いていません。
最上級のスーパーGLでもアルミホイルはオプションですし、LEDヘッドライト、パワースライドドアなども標準で付いていません。
「これで車体価格375万円?」と思ってしまうほどです。
その他、内装のトリムも樹脂の部分が多く安っぽいです。
足元も配線丸出しで安っぽさを助長。
ただ、空間は多めなので配線を触るのは楽でいいかもしれません。
ドアも薄く、吸音材がほとんど入っていないので、閉める音が安っぽいです。
デッドニングをすると全く音が変わりますので、このあたりはお勧めしたいです。
2列目以降のシートもスーパーGL以外は安っぽく、グレードによってはトリムすらなく鉄板丸出しです。
ミニバンと同じ感覚で買うと割高に感じてしまうでしょう。
運転席が狭い
セダンやミニバンと比べると運転席は狭く感じます。
これはシートポジションの問題で、高い位置から見下ろすような姿勢となる為、自然とダッシュボードが近く感じます。
シートもセダンやミニバンと比べると30~50mmほど狭いので、これも狭さを感じる要因となります。
加えてエンジンがセンターコンソールの真下にある為、その部分が盛り上がっています。
エンジンルームに押されるように座席はドア側に寄っているため、空間はある程度あるのに車内では端に寄っているように運転せざるを得ないのです。
微妙な差ですが、初めて運転するとフロントピラーが思った以上に視野に入るでしょう。
上部の視界が悪い
ハイエース200系は上部の視界が悪いです。
ひとつ前のモデルである、100系と比べても差があるように感じます。
交差点で一番前に止まると、ルーフが邪魔をして信号が見えない場合があります。
自然と頭を寝かせたり、センターコンソールによりかかる癖がつくでしょうね。
上部の視界が悪いという事は案内標識を見落とすことにもなります。
デザインやガラスの面積、運転ポジションを考えると、どうしてもそこが犠牲になっているようです。
デザインで改善できると良いのですが、それにより前面の確認が難しくなっては意味がありません。
今後、フルモデルチェンジでどう変わるのか楽しみなところでもあります。
独特の突き上げ感
何度も言いますが、ハイエースはベースが商用車です。
足回りは1tぐらいの荷物を積むように設計されています。
つまり、丈夫ということですね。
丈夫なのは良い事ですが、その分空荷で走ると跳ねます。
ノーマルタイヤは15インチなのですが、ロードインデックスや空気圧も高く、走ると道路の凹凸を全て拾っているようなゴツゴツ感があります。
また、フロントサスペンションはトーションバーで、リアはリーフスプリングです。
どちらも耐久性はありますが、コイルスプリングのようにショックを吸収してくれません。
フロントタイヤが運転席の真下にあるというのも、突き上げ感の原因です。
ボンネットがある車はタイヤへのショックがシーソーのように伝わりますが、運転席がタイヤの上にある為ショックがそのまま伝わるからです。
凹凸のある道を勢いよく走ると、ショックでドライブレコーダーが事故判定することがあるので覚悟が必要です。
ロードノイズがうるさい
セダンやミニバンなどはタイヤから運転席まである程度距離があります。
その間に吸音材を沢山入れることも可能でしょう。
しかし、ハイエースを含め1BOXカーは、運転席の下にタイヤがあります。
ですから、どう頑張ってもわずかな吸音材しか入りません。
例外なくハイエースも、ほぼ吸音となるものが無い為ロードノイズがうるさいです。
2列目に座った人と会話するためには、少し大きな声で喋った方が良いでしょう。
エンジンの音も重なって、会話はより大声になりがちです。
ロードノイズに関しては、こういったものと諦めてください。
レグノなど吸音性のあるタイヤを使用するという方法もありますが、ロードインデックスの問題がありますので、車検に対応しているか注意が必要です。
通れない道が多くなる
ハイルーフの場合特にそうですが、通れない道や入れない場所が多くなります。
まず、立体駐車場はほぼダメになり、青空駐車場でもゲートを潜れないことがあります。
また、都会に行くと異常に狭い駐車場がありますが、まず止められません。
スーパーロングのハイルーフの場合、幅もそうですが、駐車スペースの白線より50cm以上飛び出すことも日常茶飯事です。
どこかへ出かける時は駐車場から探す必要があるのです。
あと、注意すべきは高架です。
低いところですとミニバンでも通れませんので、ハイルーフはおろかロールーフでも通れません。
全高は常に頭に入れておき、通れる道と通れない道を把握しておくことが重要です。
怖いのは、道路境界ギリギリに立っている家。
高さ標識がありませんから注意の使用がありません。
側溝も、縁石のような目印が無ければ屋根に当ててしまう可能性もあるのです。
基本的に走行性能は悪い
もう聞き飽きましたね・・・。
ハイエースは荷物を運ぶ為の車です。
ですから走りを楽しむ車ではありません。
荷物を満載していたなら、上り坂などで軽自動車に追い抜かれることもあるでしょう。
エンジンは基本的に非力です。
特にガソリンエンジンはトルクが小さいので注意が必要です。
急な上り坂でいったん止まるとトルク不足によりバックしてしまいます。
オートマなのに坂道発進が必要という不条理に見舞われます。
また、足回りは丈夫なのですが、重心が高い為コケやすいというのがあります。
セダンなら余裕で曲がれるカーブでも、ハイエースならコケてしまう可能性があります。
曲がるときはセダンより減速が必要ですね。
雪道の走行性能は悲惨そのものです。
スタッドレスを履いていても走り出し時に横滑りしますし、その重たさ故ブレーキをかけても制動距離が長いです。
4WDであっても基本的に雪道には向かない車両と考えてください。
一度、雪道で亀になると、その自重により大人5人がかりで押しても動きません。
大回りする癖がつく
ハイエースに限らず1BOXのようなキャブオーバー車に乗ると、交差点等で曲がるときに大回りする癖がつきます。
これは、セダンのようなハンドル操作をすると、巻き込みで接触するからです。
セダンやミニバンに乗り慣れた方ですと、最初は右左折の感覚に戸惑うでしょう。
一呼吸おいてからハンドルを切るような操作になるからです。
慣れれば何でもない事ですが、慣れるまでは注意が必要です。
逆にキャブオーバーに慣れすぎると、セダンに乗った時に大回りしてしまうかもしれません。
バックする時に初めて気が付く長さ
道路を直進しているときはあまり気にならないものですが、バックする時に初めて車体の長さに気づかされます。
一番短いロングボディは5ナンバーサイズと同じ長さなのですが、運転する位置がかなり前にある為、バックする際1m以上車体が長く感じます。
たかだか1mと考えますが、実際にそれだけの長さの車体を操作するには慣れが必要です。
軽乗用車のボンネット長さが、レクサスLSぐらいになったと想像してください。
それぐらい差があります。
買い物などに行き、バックで駐車場に入れるというのが最初の難関でしょう。
これがスーパーロングになると長さで1.5m、幅で20cm弱大きくなるので、更に駐車スペースが狭く感じます。
慣れるまでは、空いている端の方に止めるのが無難でしょう。
ハイエースを買ったら、まずバック駐車の練習が必要ですね。
総合評価
ハイエース200系は決してコスパの良い乗り物ではありません。
快適性も、装備も同価格のミニバンに劣り、走る際も独特のコツがいります。
しかしハイエース200系にはこの車にしかない魅力があるのです。
全てを満足させられるような車ありません。
それぞれ用途があり、それに従って設計されているのです。
そういた意味ではハイエースという車はちょっと特殊かもしれません。
特殊であるが故の欠点。
これをどう見るかは人それぞれ違うと思います。
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