Velbon スーパー マグスライダー
小さな被写体や、近づいて撮影する際に、微動装置という撮影機材を使用することがあります。
微動装置は、三脚の上にカメラを設置した際に微細な構図の調整をすることが可能です。

カメラをあと1cm、あと数mm動かしたいときにとても便利。

微動装置は電子部品やガラスを使用していないので、寿命が長い撮影機材といえます。
一度買ってしまうと、ずっと使えるコスパが良い撮影機材。
ただ、メーカーが新しい商品を出すと気になるものです。
現在使っている微動装置はVelbon マクロスライダー。
発売は・・・いつ?というぐらい古い製品です。
で、同社の新製品(と言っても結構古い)は1998年発売のVelbon スーパーマグスライダー。

スーパーがついて何だか凄そう!
ということで
旧製品(Velbon マクロスライダー)
新製品(Velbon スーパーマグスライダー)
2つの製品を比べてみることにします。
Velbon スーパー マグスライダー ここが変わった
結論から申しますと、この2製品は全く別物です。
新製品であるVelbon スーパーマグスライダーが進化しすぎちゃって、驚きポイントも多いです。

「カメラを載せて微動させる」という基本的な使用方法こそ一緒ですが、より精度が高く、より快適に撮影できるポイントがいくつもあります。
使ってみないと分からないその魅力。
特に気になったポイントについて紹介しましょう。
スパイラルマイタギヤの採用で意図しない微動が減った
旧製品で結構困ったのが、チルトさせた際スライダーが滑る(自重落下)現象。

これはスライダー部分の固定をロックツマミを使って強制的に行っているためです。
スライダー用のノブとロックするためのツマミが別なんですね。
ですから、
ノブでスライドさせてロックツマミで固定する際、若干の移動がある
ロックツマミの固定が緩くて、撮影中に動き出す
といった不都合がありました。
特に三脚の雲台をチルトさせた際は要注意となります。
個人的に思う旧製品、最大の欠点はこれかもしれない。

これに対し新製品では、特殊なギヤを使用し安易に移動しないようになりました。
多少、重量のある撮影機材を載せても、その重量により勝手にスライダーが滑ることはありません。
安心感がアップしたといえるでしょう。
「ロックツマミを操作するという手間」、
「ロックツマミの固定忘れで大惨事!」なんてこともなくなります。
カメラネジの溝が前後から左右になった
新旧製品でカメラダイ部分の形状も変わりました。
大きく変更となったのはカメラネジの溝方向。

旧製品はカメラに対してい前後方向だったのですが、新製品は左右方向に変更となりました。
これにより、カメラネジ穴が中心にない製品への対応や、チルト時のカメラずれの防止が望めます。
また、カメラダイの面積も広くなったので、設置時のカメラの安定性も上がりました。
回転角によるスライダーの移動量が変わった
新旧製品でノブの回転角によるスライダーの移動量も変わりました。
具体的に見ますと
旧製品 25 mm / 1回転(前後方向)
新製品 4 mm / 1回転(前後方向)
といった違いがあります。

マクロスライダーがノブを1回転させると25mm前後にスライドするのに対し、スーパーマグスライダーは4mmしかスライドしないんですね。
微細な調整をする場合、1回転の移動量は少ない方がいいのです。
旧製品は微細な動きが苦手なうえ、固定時に滑るという欠点があったのに対し、新製品ではこういった点が大きく改善されています。
ノブの位置が左右逆になった
新旧製品でスライダーを操作するノブの位置が逆になりました。
旧製品 操作時に右側にノブ
新製品 操作時に左側にノブ
この点に関しては、使う人によって賛否が分かれるかもしれません。

左手でスライド操作しながら右手でカメラ操作(設定、レリーズなど)を行うから新製品の方が良い。
左手でピント操作するから右手でスライドさせた方が良い。
三脚で固定しながらしっかり構図を決めるので、どちらでも大差なし。
好みもあると思いますが、個人的にはどちらでもいいと思っています。
軽くなった
マクロスライダーを使用する撮影においては、三脚を用いることが多いと思います。
こういった場合、三脚の雲台に載せる機材はできるだけ軽い方が安定した撮影ができます。
マクロスライダーは雲台とカメラの間に設置しますので、重量や、高さの面からバランスを崩しやすくなります。

ですから、マクロスライダーはできる限り軽い方が良いです。
そんな理由からか、スーパーマグスライダーはマグネシウムを本体に使用しているため、軽く作られています。
【新旧製品の重さ比較】
旧製品 velbon マクロスライダー 679g
新製品 Velbon スーパーマグスライダー 470g
仕様のうえではスマホ1台分の重量差ですが、実際に持ってみると、スーパーマグスライダーは随分軽く感じます。
前後ユニットを分離可能
新旧製品とも本体の下半分が左右のスライド、上半分が前後のスライドをするユニットとなっています。
旧製品については上下の分割ができないのですが、新製品については上下の分割が可能です。

この機構により、スーパーマグスライダーは上半分(前後ユニット)だけを使用することができます。
撮影のうえで前後のスライドしか必要ない場合は出てきます。
こういった場合は、雲台上の機材を少しでも軽くするために、上半分だけを雲台に固定して使用できます。
もちろん、分割しなくてもいいのですが、”あとちょっとの工夫”ができるのがスーパーマグスライダーの良いところでしょう。
マクロスライダーとスーパーマグスライダーは別物
最初にお話ししましたとおり、Velbonのマクロスライダーとスーパーマグスライダーは別物と言っていいほど使い勝手が違います。

マクロスライダーで不満に感じる部分についても、おおむね改善されているといえます。
チルト時の安定性だけをとっても買い替える価値があります。
花や虫、模型など小さな被写体を撮影するときにあると便利な微動装置。
中でもVelbon スーパーマグスライダーはかなり完成度が高いと考えます。
コメント