ティルトレンズで楽しむ逆ミニチュア写真【銘匠光学・TTArtisan 50mm F1.4の世界】

プラモデル撮影法
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ティルトレンズ

ティルトレンズとは、レンズ筐体を傾けることによってピントの合う範囲を調整できるレンズのことです。

一般的にはレンズのロックを解除することにより、レンズ先端を10°ほど傾けることが出来ます。

また、レンズ自体もマウント近くで回転するように出来ており、これらの機能を使うことにより上下左右へ傾けることが出来ます。

 

<ティルトレンズを傾けた様子:焦点工房公式サイトより引用>

 

現在、一眼カメラ用に販売されている製品以外に、ベローズという製品も同様の機能が備わっています。

いわゆる蛇腹ですね。

<ベローズの例:デジカメwatchより引用>

この蛇腹部分を曲げてティルト撮影をするということです。

こういったベローズ製品が少ないため選択肢がほとんどなく、自作する人もいるようです。

ベローズに関してはアオリマクロにも使えるので、ちょっと特殊な世界を覗こうと思ったら避けては通れないかもしれません。

 

そんなティルト撮影の定番ミニチュア写真のお話です。

 




 

ティルトレンズでミニチュア写真

ティルトレンズで手軽に楽しめるのがミニチュア写真です。

日常風景をティルトさせるとジオラマのような風景が広がります。

 

<ティルト撮影によってミニチュアっぽく風景が写った例>

 

これはティルトレンズによってピントが合う範囲が調整されているためです。

ミニチュアを実物で見るよりも写真で撮った時の方がよりミニチュア感が増すのは、ピントの合う範囲によるところが大きいです。

 

ポイントは、

・実物:大きいので離れて撮る
・ミニチュア:小さいので近づいて撮る

ということです。

 

被写体に近づけば近づくほど被写界深度は浅くなり、ピントを合わせている部分以外はボケやすくなります。

ですから、近づいて撮るミニチュアはピントを合わせている部分以外がボケやすいということです。

<近づいて撮るミニチュアはピントが合っている部分以外がボケやすい>

これがいつの間にか

となっているんですね。

あくまで感覚です。

 

 

 

ティルトレンズで逆ミニチュア写真(?)

ミニチュアがミニチュアっぽく見えるのはピントの合う範囲が原因のひとつでした。

ティルトレンズによって一般的な風景がミニチュアっぽく見えるのもピントの合う範囲によるものといえます。

 

どちらもポイントはピントが合う範囲

そしてティルトレンズはピントが合う範囲を調節できる。

ティルトレンズを用いたミニチュア写真では、ピントをボカす方向へレンズを傾けました。

 

では、ピントを合わせたい方向へレンズを傾けるとどうなるか?

実際にミニチュア(模型)を使って確認してみましょう。

 

 

まずは普通に撮影。

使用したのは銘匠光学TTArtisan 50mm F1.4

AF電子接点もありませんが、お手軽にティルト撮影できるレンズといえます。

レンズの撮影データは抽出されませんので、必要な方はノート等に記録してください。

なんの変哲もない模型写真です。

見て欲しいのはトラックの荷台は被写界深度の関係でボケているということです。

絞り値f8ですので妥当なボケ量かと思います。

 

では、ティルトレンズをティルトさせてみましょう。

ミニチュア写真の場合は上下にレンズを傾けましたが、今回は横軸方向にピントの合う範囲を調整するため左右に傾けます。

角度はこの製品最大の8°

これ以上は曲がりません。

<レンズを曲げる様子>

当然、レンズの先端方向が変わると写る方向も変わりますので、同じ構図で撮るならカメラの方向は変える必要があります。

ご注意を。

 

で、撮れたのがこんな写真。 

荷台部分の写りが明らかに違うと思います。

 

写真が小さいので大きくしてみましょう。

<ティルト無し撮影>
<ティルト機能を使用した撮影>

f値は同じf8です。

随分違いますね。

 

とはいえ、劇的に変わるわけではありません。

あくまでティルト機能の範囲でピントが合う範囲が調節できているということです。

 

 

ティルトレンズの欠点とは

全ての製品がそうとは言いませんが、今回使用した銘匠光学・TTArtisan 50mm F1.4を基準に考えると、ティルトレンズなりの欠点もいくつかあります。

まずは、傾けすぎると写真の隅に筐体の陰が写るという事。

先ほどの写真を確認していただくと右の上下隅に黒いもの写っています。

いわゆる「影」ですね。

 

レンズフードが合っていないと、こういったものが写ることはあるのですが、ティルトレンズはそのまま筐体の影が写ります。

ですから、めいっぱい曲げるならトリミング前提となるでしょう。

 

また、今回は荷台部分にピントが合うように曲げましたが、これにより逆方向がピンボケになります。

<ティルト無し撮影>
<ティルト機能を使用した撮影>

こんな感じですね。

ピントは助手席の角あたりに合わせていますので、運転席側のピントが合わなくなります。

これも案外見落としがち。

 

そしてティルトレンズ最大の欠点と言えばその特殊性

ということで、日常遣いとして持ち歩くにはちょっとハードルが高いといえます。

  




お値段なりで楽しむなら良いかも

ティルトレンズにしてもベローズにしても、初心者にはハードルが高いです。

一般的なティルトレンズは15~30万円程度。

激安レンズといえる銘匠光学・TTArtisan 50mm F1.4でも35,100円(Amazon)もします。

もちろん、普通の単レンズとして使えないことは無いのですが、AFもありませんし、レンズのデータも記録されません、

MFを楽しみたい人なら問題ありませんが、シャッターを押すだけの人には厳しいでしょう。

こういった、ハードルの高いレンズに3.5万円以上出すなら他のものを買うという人も多いのでは?

中古で格安に出ていれば使ってみるのも良いかもしれません。

「模型写真を背景までしっかり写しきる」といった効果までは得られません。

あくまで、一定の範囲内でピントが合う範囲を調節できるということです。

過度な期待は禁物。

あくまでお値段なりで楽しむのが良いでしょう。

 

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