超広角レンズは被写界深度が深い
超広角レンズは、一般的に被写界深度が深いです。
同じF値で撮影しても、奥までしっかり写ることが多いため、背景を誤魔化すことが出来ません。
ただ、写真表現のうえでどうしても背景をボカしたいことがあると思います。
そんな時は、開放F値の小さな超広角レンズを使用すると綺麗にボケます。
ただ、製品のバリエーションは少なく、安価ではありません。
今回は、ちょっと特殊な大口径の超広角レンズについて試写してみました。
SIGMA 14mm F1.8 DG HSM
14mm F1.8 DG HSMはシグマのartシリーズレンズのひとつです。
artシリーズは「あらゆる設計要素を最高の光学性能と豊かな表現力に集中して開発」された高性能レンズです。
その描写性能は一部では純正を超えており、信頼性も良いです。
artシリーズの中で超広角単レンズの部類になる14mm F1.8 DG HSM。
14mmの超広角と開放F値1.8という明るさを両立したレンズです。
他メーカーにはあまりない仕様ですので、ボケ味を生かした独特の写真が楽しめます。
F1.8の実力
このレンズで気になるのは、なんといってもF1.8の描写です。
これがF2.8になると、単焦点、ズーム問わず多くのメーカーから製品が出ておりますので変わり映えしません。
ということで、実際に撮影したF1.8の描写がコチラです。
ポン撮りで編集はしていません。
水平が取れていないのはご愛敬で・・・。
植物の葉にピントを合わせ、接近して撮影しています。
このサイズでも背景ボケが綺麗なのが分かります。
更に、葉のあたりを拡大してみましょう。
原寸ぐらいに拡大すると、ボケの綺麗さがよく分かります。
葉の描写もしっかりしており、レンズの性能の良さが伺えます。
超広角レンズとは思えないボケ味といえます。
また、開放での撮影時でも周辺光量の不足は目立ちません。
これは状況や周囲の明るさにもよりますが、晴天順光でこの描写なら十分使えます。
ボケ味の比較
どのくらいボケ味が綺麗なのか、絞ったものと比較してみます。
上下の写真で大きく違うことが分かるかと思います。
F1.8のボケは嫌みがなく、コントラストが強いところはしっかり玉ボケとなっています。
夜景を背景にすると、綺麗な玉が写りそうです。
あと、超広角特有の流れも気になりませんでした。
フレームの四隅までしっかりボケて、しっかり描写する。
そんなイメージのレンズです。
逆光の描写
超広角レンズは強い光に弱いことが多いです。
逆光はもちろんのこと、側光の場合にもゴーストやフレアを発生しやすいです。
これは夜景撮りにとっては致命的です。
ですから、逆光性能は非常に気になるところです。
という事で、思いっ切り逆光で撮影してみました。
少し雲がありましたので、太陽は写っていませんが、この角度なら大抵の広角レンズでゴーストが発生します。
ちょうど白トビしている左上あたりに太陽がありますので、右下あたりにギラギラと余計な光が写り込むはずですが、全くその兆候はありません。
このカットだけでなく、角度や方向を変えて何枚も撮影したのですが、今回はゴーストが写り込むことはありませんでした。
このあたりは、さすがartシリーズといったところですが、もう少し強い光でテストした方が良いかもしれません。
問題は重さと思う事
超広角レンズとして、このレンズはかなり高性能といえます。
ただ、最大の欠点は重たいこと。
例えば、
AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G EDが970gで、14mm F1.8 DG HSMが1150g前後です。
一方はズームレンズでF2.8、こちらは単レンズでF1.8ですので、持って出ることを考えると前者を取ります。
性能から考えると仕方がない事なのですが、スナップなど歩き回って撮影するのには向きません。
ですから、用途として考えられるのは、
天体写真
夜景
室内撮り
ぐらいかと思います。
ただ、これは人それぞれ撮りたいものが違いますので、超広角+大口径という、他にはない価値を持つレンズであることは間違いないでしょう。
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