デコトラ・トラックの商用利用
ネットの発達により、最近は簡単にカレンダーや販促物などが作られる時代になりました。
こういったものを自分のために作って楽しむ分には問題になる事はほぼありません。
しかし、ネットに公開したり販売したりするとクレームが入り、公開および販売の停止、場合によっては訴訟ということもあります。
ですから、安易に販売したりネットに公開することは危険です。
痛い目を見ないためにも”デコトラやトラックにまつわる権利”というものを理解しておく方が良いと考えます。
子供だから大丈夫、未成年だから問題ないということはありません。
権利に関して年齢は関係ないのです。
ということで、どういったものに注意するべきかを見ていきましょう。
著作権
著作権は権利の中で最も身近になってきたものです。
著作権は作品を創作した者が有する権利です。
作品の例としては
絵画、版画、彫刻そのほかの美術
音楽
写真、映画
プログラム
建築
小説、脚本、論文、講演等言語化されたもの
舞踊または無言劇
地図または学術的な図面、図表、模型そのほかの図形
というものがあります。
また、これらの二次的著作物も著作権の対象となります。
小説の漫画化したものなどが該当しますね。
このように身の回りのありとあらゆるものが著作権によって保護されているということです。
では、著作権ではどういった行為を禁止しているのでしょうか。
例えば以下のような場合は著作者の了解が必要です。
複製、および複製物の譲渡
貸与
朗読、翻訳
ネットやメディアなどで配信
公衆への上演、演奏、上映
著作者の名前を公表
作品の改変
二次利用
ですから、SNS上にトラックのペイントや文字、飾りをアップロードするだけで引っ掛かる可能性があります。
とはいえ、現行では著作権者から著作権の侵害を訴えられない限り滅多なことはありません。
著作権者によって著作物に関する見解が違うという事もあります。
注意すべきは、映画やTV、アニメや漫画といったメディア化されたものです。
トラック関係でいえば「映画・トラック野郎」に関するものが挙げられますね。
また、ゲームに登場するトラックも取り扱いに注意が必要です。
意匠権
意匠権とは物や画像のデザインに対して与えられる権利です。
身の回りにある物には必ず形がありデザインがありますね。
こういった物のデザインを保護するための権利です。
意匠権は家電製品や車、衣類など分かり易いものから、ネジやバルブなど普段ほとんど気にする機会が無いものまで幅広いです。
こういった物を安易に真似したり複製すると意匠権の侵害となります。
ですから、プラモデルを製造しているメーカーは製品の生産元と意匠権に関する契約(模型の製造・販売に対するライセンス契約)を締結します。
意匠権は特許庁に登録が必要となる権利です。
ですから、そのデザインが特許庁に登録されているかどうかが問題となります。
あくまで、コピー商品や模倣品の排除を目的としていますので全ての物に意匠権が存在しているわけではありません。
ただ、ブランド化されている物(製品)については確実に意匠権の対象となるでしょう。
例えばこんな場合は要注意です。
トラックのプラモデルを作るとしますね。
でも、1/32のビッグサムのキャビンって商品化されていないのですよ。
ですから実物に真似て自作しました。
更に、欲しい人が居たので販売しました。
はい、これアウトのパターンです。
作って自ら楽しむ分なら何とか逃げられると思いますが、販売したら確実に引っ掛かります。
これは何もプラモデルの世界だけではありません。
中国で走っている偽物っぽいデザインの車なんかも本来はアウトです。
あらゆるデザインが意匠権の対象となる可能性を考慮しましょう。
商標権
商標権とは商品やサービスに使用する商標に対する権利です。
商品名やサービス名、会社名、そういった物のロゴやキャッチコピー、キャラクター、音などが保護の対象になります。
これが無いと、評判の商品を名前だけ借りて安物を高く売ったり、粗悪品を流通させて企業の評価を下げたりできてしまうのです。
ブランド品などは長い歴史の中で品質やデザインが認められてきました。
トラック関係でいえばドルフィン、スーパードルフィン(日野自動車)、カミオン(芸文社)、デコトラ(青島文化教材)、トラック野郎(東映)、全国哥麿会(全国哥麿会)など多くの物が商標として登録されています。
カミオンのロゴを使って勝手に商品を作れませんし、デコトラという名前で商品を販売してもいけません。
当たり前のように行っていますが、ふそうのバスマークアンドンに三菱のマークを入れて販売することも本来は商標侵害となるのです。
肖像権
肖像権とは容姿やその画像などに帰属される人権のひとつです。
他人から無断で写真や映像を撮られたり利用されたりしないようにするための考えです。
特に有名人の肖像は商用的価値や財産的価値が大きいです。
新商品の広告に有名人を起用するのはこういった理由がありますね。
ですから、肖像権を侵害することはこういった価値を損なうものとなします。
トラック関係で思いつくのは有名人のペイントです。
ただ、多くの場合は商用的価値を得ているとはいえませんが、肖像のあるペイントの効果により収入が増えたり、イベント等で人を呼び込んだりすると問題になる可能性はあります。
また、そういったペイントの入ったトラックを掲載した書籍や映像なども取り扱いに注意が必要といえます。
所有者の許可だけではどうにもならない事実
何か物を作ろうと思ってもなかなか思った通りのものが出来ません。
所有者の許可を得るだけでは不十分なのです。
著作、意匠、肖像などトラックには多くの権利が存在します。
たとえ自身が所有するトラックであっても、そういった権利は全く別物です。
安易に侵害してはいけません。
とはいえ、これらの権利を侵害すると全て訴訟が起こされるわけでもありません。
権利者が何も思わなければ見て見ぬふりという事も多いです。
注意しなければいけないのが、そういったものは権利者のさじ加減一つである日突然変わるという事です。
いざという時に慌てないようどういった事が権利侵害になるか覚えておきましょう。
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