奇数絞り偶数絞り
レンズの絞りには奇数絞りと偶数絞りがあるのをご存じでしょうか?
これは絞り羽根の枚数が奇数か偶数かということです。
普段の撮影であまり意識することは無いと思いますが、絞り込んだ際の光条(光芒)が変わってきます。
簡単に説明すると偶数絞りは絞り羽根枚数と同じ数だけ光条が現れ、奇数絞りは絞り羽根枚数の2倍数の光条が現れます。
ですから、偶数絞りのレンズの方が光条が目立ちやすいといえます。
絞り羽根枚数は製品によって違う
絞り羽根の枚数は製品によって違います。
ただ、メーカーはレンズコンセプトによる傾向もあります。
偶数絞りは広角レンズに多く、望遠やマクロなどボケ味を生かすレンズにはほとんど見られません。
また、Canonは奇数偶数半々ぐらいですが、Nikon、Sonyはほぼ奇数絞りといったように、メーカーの考え方による違いもあります。
どちらが良いかは一概に言えず、表現方法によっても変わってます。
こういった違いがあるということだけ覚えておきましょう。
Nikonユーザーは偶数絞りの選択肢が少ない
Nikonのカメラを使っていると偶数絞りの選択肢が少ない事に気が付きます。
Zマウントなら変換アダプターで他社の製品を使用することも考えられますが、Fマウントは変換ができません。
もちろんNikonからFマウントシリーズの偶数絞りレンズも発売されていません。
あるとすれば、一部の純正外製品が偶数絞りを採用しているぐらいです。
ということで、数少ないFマウント対応の偶数絞りレンズを調べてみました。
35mm F1.4 Aspherical IF
Fマウント用の偶数絞りレンズは国内メーカー製よりも海外メーカー製の方が多いです。
候補はいくつかあったのですが、以下の内容で絞り込みました。
・フルサイズ用
・広角領域
・単焦点
・中古価格が安価
この条件で見つけたのがSAMYANGの35mm F1.4 Aspherical IFの中古品。
中古のタマ数もあり、お試しするにはちょうどいいです。
早速撮ってみましょう。
夜景を撮ってみる=デコトラのナイトシーン
早速夜景を撮ってみましょう。
とはいえ、やっぱり撮るならデコトラのナイトシーン。
これは趣味なのでご容赦ください。
どう変わるか撮り比べてみましょう。
左が奇数絞りレンズ(AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED)。
焦点距離は35mmに合わせています。
右が偶数絞りレンズ(35mm F1.4 Aspherical IF)。
どちらも絞り値はf8です。
このサイズでも違いが分かるのがスタジアム照明の光条でしょう。
奇数絞りレンズは光条が細かく散っているのに対し、偶数絞りレンズはハッキリ線が出ておりクロスフィルターのような表現となっています。
これが双方の大きな違いといえるでしょう。
ただ、これは表現の違いなので好き嫌いもあるかもしれません。
どのくらいで光条が出るか
光条は絞りの縁に光が回析して発生します。
ですから、絞りを絞り込むほど強く表現されます。
ですからレンズの絞り開放値が小さいほど絞り込む余地が大きく、強い光条が望めます。
こういった理由からもf1.4という大口径レンズを選んでいます。
では絞りの値別に光条が変わる様子を確認してみましょう。
まずは、絞り開放の状態。
f1.4です。
これが基本になるので見ておいてください。
光条は見られませんし、被写界深度が浅すぎて眠たい表現です。
では、少しずつ絞っていきましょう。
このあたりまで絞ると光条が目立ちます。
フォグランプなど強い光の部分に注目して下さい。
開放に比べると画像の眠たさも消え、全体的にシャープな仕上がりです。
さらに絞り込みます。
これが最大絞りです。
このレンズは絞りが8枚なので光条も綺麗に8つ出ています。
クロスフィルターを使ったような表現ですが、レンズの絞り操作だけでここまで出ます。
開放と最大絞りを比較。
光条の差は 一目瞭然です。
絞り過ぎには注意
絞りを絞るほど光条はハッキリ現れます。
しかし、絞りすぎはよくありません。
理由としては、
露出時間が長くなり撮影に時間がかかる。
回析現象により輪郭がぼやける。
こういった事も頭に入れておきましょう。
個人的には絞り込んでもf8~11程度が限界だと考えます。
コメント