デコトライベントでのナイトシーン撮影
デコトライベントでは夕方から一斉に電飾に灯りが灯る「ナイトシーン」が始まります。
ナイトシーンは特殊な状況なので撮影が難しいのですが、せっかく撮るなら綺麗に残したいです。

最近はスマートフォンのカメラで写す人も多いと思います。
軽くて簡単でそれなりに写るので便利ですね。
とはいえ、きちんと設定すれば圧倒的にきれいに写るのがデジタル一眼カメラ。
スマートフォンの設計が”小さな画面で見ること前提である”限り、当分この差は埋まらないと考えます。
ナイトシーン撮影は三脚を使った方が綺麗
最近のデジタルカメラは高性能になり、ナイトシーンの撮影も簡単になりました。
特に高感度性能の向上が、暗い場所での撮影に大きな力を発揮します。

また、露出の不足分を補完する手振れ補正機能も、ナイトシーン撮影の自由度に寄与しています。
しかし、現在の高感度性能を考えると、やはり低感度で三脚を立てた方が写真の仕上がりは綺麗です。
本当にきれいに残すなら・・・
・三脚を立てる
・絞りを一定程度絞る
・スローシャッターで撮影する
という夜景撮影の基本を忘れてはいけません。
三脚を使った「ナイトシーン撮影」の条件とは
デコトライベントでのナイトシーン撮影は、少しばかり特殊な状況です。
一般的な三脚を使った夜景撮影とは違う部分がいくつかあります。
知らない人にも分かるように、撮影の環境、条件を見てみましょう。
・撮影が始まるのは日没後
・電飾等による灯りはあるが、基本は暗闇での操作
・未舗装であることが多く、小石が転がっていたり、段差があったりする
・撮影と移動を繰り返す
・トラックの間は狭い場所もある
・トラックが常に動き出す可能性を考慮する
・歩行距離は1kmほどになる
・撮影できるのは1時間程度
・短い時間で沢山撮影する(1時間で100枚程度)

こういった環境、条件のなか、三脚を立てて撮影をするわけですから、いかに”素早く動けるか”が重要となってきます。
具体的には、
暗闇の中、段差やトラックに注意しながら
移動時は雲台からカメラを外し
撮影時は素早く装着する動作を繰り返して
1km歩く
といった動きになります。
かなり忙しいですね。
ですから、三脚はできる限り軽くて操作性が良いものが求められます。
ナイトシーン撮影最強の雲台”Velbon PHD-63Q”
雲台とはカメラと三脚の脚を繋ぐ重要な部品です。
雲台が無ければ、カメラの向きを簡単に変更することはできません。

今まで様々な雲台を使ってきました。
三脚を使った撮影では、雲台の操作性が撮影枚数と仕上がりに大きく影響します。
特にデコトライベントにおけるナイトシーン撮影ではその影響が強く出ます。
大きすぎる雲台は機動性やバランスが悪化しますし、
小さすぎるとカメラブレやコケる危険性があります。
また、3WAY雲台は操作系統が分割されるため素早い構図決めに不利ですし、
ボールヘッドなどは便利そうに見えて上下左右の微妙な調整が苦手だったりします。

様々な製品を試した結果、たどり着いたのがVelbon PHD-63Qという製品。
デコトライベントでのナイトシーン撮影において、これを超える雲台は今のところありません。
どこがどう便利なのか。
見てみましょう。
1ストップ式雲台
Velbon PHD-63Q最大の利点が、1ストップ式雲台であるというところです。
1ストップ式雲台とはワンハンドル操作でティルト(上下)パン(左右)が操作できる雲台です。
この機構により瞬時に構図の変更、調整が可能となります。

これが3WAY雲台ですと
パンハンドルを緩めて上下に動かし、
パンストッパーを緩めて左右を決める
といった2つの動作が必要となってきます。
限られた時間でできる限り沢山撮りたい場合は、「ちょっとした時間がもったいない」です。
デコトライベントのナイトシーン撮影など、まさにそういった場面。
歩きながら大まかな構図を決め、三脚を立てたらサッと上下左右を確定する。
この便利さに慣れたら3WAY雲台には戻れないです。
カメラを脱着せず縦構図撮影が可能
1ストップ式雲台として思い浮かべられるのが、自由雲台やビデオ雲台です。
Velbon PHD-63Qがこの2つと違うのは、独自の設計であるからです。
自由雲台は1つのレバー操作で上下、左右、回転と文字通り自由に動くのですが、
上下だけ動かす
回転だけさせる
といった動作が苦手です。

ちょっと左右に振るだけで回転まで加わったりします。
夜に手探りで操作する場合、思い通りの構図にならなくてまあまあイラつくでしょう。
ビデオ雲台は上下左右を1ハンドルで動かすことができるのですが、動作にトルクがあり、回転操作も基本的にありません。
ですから、あくまで動画撮影用の雲台といえます。

Velbon PHD-63Qが特殊なのは、
1ハンドルで上下と左右が操作出来て、
ティルトハンドルで独立して回転動作が可能であるという点です。
「3WAY雲台の動作を2つのハンドルで操作できる」といった方がイメージしやすいかもしれません。
QRAクイックシューシステム
歩き回りながら三脚を使って撮影する場合、移動する際はカメラを三脚から外した方が安全です。
デコトライベントの会場は狭い場所もありますし、人もたくさんいます。
そんな中、三脚にカメラを取り付けたまま移動すると、人やトラックに当てたり、転倒したりするリスクがあるからです。

三脚(雲台)とカメラはカメラネジで固定するのですが、移動の度に三脚ネジを回していては時間がいくらあっても足りません。
そんな時に便利なのがクイックシュー。
クイックシューはカメラと雲台を素早く脱着できる優れた撮影機材で、様々な製品が商品化されています。
クイックシューと聞いてまず思いつくのは、アルカスイス互換というもの。

アルカスイス互換は、剛性と互換性、そして素人でも作れそうなシンプルな構造により事実上世界基準となっています。
しかし、アルカスイス互換は「溝を合わせたうえで締め付ける」といった固定方法であるため、固定操作に時間が掛かるうえ溝の目視が必要です。
デコトライベントのナイトシーン撮影においては暗闇での脱着となりますので、こういった点からアルカスイス互換は不利といえます。
Velbon PHD-63QではQRAクイックシューシステムというVelbon独自のクイックシューを採用しています。

QRAクイックシューシステムは、片方の溝に合わせたうえで押さえつけるだけで固定できます。
溝さえ合えば手探りでの装着も難しくありません。
取り外し時はレバーを一本操作するだけ。

取り外しも、固定も一瞬でできてしまうため、この点についてはアルカスイス互換より優れているといえます。
欠点はアルカスイス互換より固定力が劣る点ですが、これは構造上仕方がありません。
ただ、同等の固定方法であるクイックシューの中では比較的しっかり絞まると考えます。
積載重量は4kg
三脚の脚や雲台は積載重量が決まっています。
積載荷重とは、上にどれだけの重さの撮影機材をのせられるかという値です。
積載重量は絶対的な数値ではありませんが、雲台の上にのせる撮影機材は積載重量より軽くした方が良いです。

自身が三脚にどういった撮影機材をのせるか考えてみたところ・・・
例えば、
ボディが
Nikon Z5Ⅱなら700gで
Nikon Z8なら910g。
レンズが
NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sなら630gで、
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sなら805g、
大口径単焦点なら1,200g近くになります。
ここにクリップオンストロボをのせると500gぐらい追加されるので、全体で2,500gぐらいにはなる計算です。

ということで、積載荷重は最低でも3kgは欲しいところ。
仕様書の上ではありますが、積載荷重が4kgあるVelbon PHD-63Qはこの要件を満たしているのです。
マグネシウム合金製で本体重量は623g
デコトライベントにおけるナイトシーン撮影では、三脚とカメラを持ったまま歩き回ることになります。
ですから、撮影機材は極力軽い方が良いです。

Velbon PHD-63Qは本体重量が623gと、同等製品のアルミ製雲台より3割ほど軽くなっております。
積載荷重が4kgのVelbon PH-360Nが1,000gありますので、その差は377g。
350mlのペットボトル飲料1本分ぐらい。
たかが377gですが、歩き回る撮影においては大きな差となります。
機動性と操作性を兼ねたオンリーワン雲台
Velbon PHD-63Qの1ストップ方式を中心とした設計思想は少々特殊といえます。
特殊すぎて支持されなかったのか、現在は販売を終了しており後継機が出ていない状況です。
ただ、こういった一部の人に刺さるような尖った製品は貴重で好感が持てる。

手に入れるとしたら中古市場となるのですが状態の良いものは少ないといえます。
比較的クイックシューの部分が破損しやすいので、そこだけしっかりしていれば中古でも買いです。
一度使ってみれば、その便利さの虜になるかもしれません。


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