損益通算
損益通算とは「源泉徴収ありの特定口座」で株式などを取引した場合の利益と損失について、証券会社が年間の損益を計算し、税金の計算・源泉徴収・納税まで行ってくれる制度です。
しかし、これは証券口座ごとに行われるため、複数口座の損益通算をするためには確定申告が必要なのです。
ここでは実際の画面を見ながら、その入力方法について説明します。
実際に確定申告してみる
確定申告は 「国税庁 確定申告書等作成コーナー」 からできます。
手元に
源泉徴収票(年末調整済)
と
特定口座年間取引報告書(口座ごとに必要)
をご用意ください。
作成開始
まずは「作成開始」から事前確認画面に入ります。
税務署への提出方法を選択する画面になりますので、一番やりやすい提出方法を選択してください。
・マイナンバーカード方式(2次元バーコード)
・マイナンバーカード方式(ICカードリーダライタ)
・IDパスワード方式
・印刷して提出
2次元バーコード方式は対応したスマホが必要ですし、ICカードリーダライタ方式は専用のリーダが必要です。
IDパスワード方式は以前確定申告をしてIDとパスワードを取得した人向けですね。
ですから今回は誰でもできる「印刷して提出」で説明をします。
提出方法が違うだけですので、入力方法に違いはありません。
推奨環境はWindows8.1以降です。
ですからパソコンで操作することを前提に説明しますのでご了承ください。
問題なければ利用規約を確認し「利用規約に同意して次へ」をクリックしてください。
申告するのは令和3年の分になりますので「令和3年分の申告書作成」を選択してください。
今回は、株式や投資信託の口座間損益通算について説明します。
その他の所得はないものとして説明しますので「所得税」を選択してください。
申告書等の作成
ここからが本番です。
「次へ進む」で次の画面に進んでください。
まずは各種情報の入力からです。
入力は質問形式と選択方式が多いです。
申告される方の生年月日を入力してくだい。
給与以外に申告する収入はありますか?は「はい」
税務署から青色申告の承認を受けていますか?「いいえ」
税務署から予定納税額の通知を受けていますか?「いいえ」
です。
そして「次へ進む」で進んでください。
給与所得の入力
最初に入力するのは給与所得です。
総合課税の中から「給与所得」を選択。
「源泉徴収票」を手元にご用意ください。
給与の支払者から交付された「xmlデータ」(拡張子が[.xml]のもの)を取り込んで自動計算しますか?
これについて勤め先からxmlデータが配布されていたら「はい」ですが、それ以外なら「いいえ」です。
紙やpdfデータの場合は「いいえ」を選んでください。
今回は年末調整済みという事ですので、「書面でされた年末調整済みの源泉徴収票の入力」を行います。
給与所得の入力
「源泉徴収票」の内容は給与所得画面から入力します。
内容は、
①支払金額
②源泉徴収額
③「(源泉)控除対象配偶者の有無等」、「配偶者(特別)控除の額」
④控除対象扶養親族の数の記載
⑤16歳未満扶養親族の数の記載
それぞれ記載、選択してください。
入力が終わったら下にスクロール。
⑥社会保険料等の金額
⑦生命保険料の控除額の記載
⑧~⑩に関しては⑦生命保険料の控除額の記載で、「あり」を選択した人のみ入力します。
⑬地震保険料の控除額の記載
あれば入力してください。
また、その場合⑭旧長期損害保険料の金額も該当すれば入力してください。
⑮住宅借入金等特別控除の額の記載
⑰所得金額調整控除額の記載
該当する場合「源泉徴収票」のとおり入力してください。
本人が障害者、⑲寡婦・ひとり親、
⑳ 勤労学生のいずれかの記載
㉑ 支払者
それぞれ「源泉徴収票」を見ながら、漏れの無いように写してください。
全て入力したら「入力内容の確認」をクリックしてください。
「書面で交付された年末調整済みでない源泉徴収票の入力」は今回対象外とします。
「特定支出控除」についても無いものとします。
「次に進む」をクリックすると「収入金額・所得金額の入力」画面に戻ります。
これで「源泉徴収票」の内容は入力できました。
次からは株式等の譲渡所得の入力に移ります。
株式等の譲渡所得等の入力
特定口座年間取引報告書の内容は「株式等の譲渡所得等」から入力します。
また、今回は配当金があるものとします。
「1 配当所得の課税方法の選択」ですが「総合課税」と「申告分離課税」があります。
課税所得が900万円以下の人は「総合課税」に、それを超える場合は「申告分離課税」お得になるとされています。
これは課税所得によって変わりますので、個々で選択してください。
微妙な場合は税理士に相談することをお勧めします。
今回は「申告分離課税」で説明します。
「2 株式等の売却・配当・利子等の入力」では「特定口座年間取引報告書」の明細を入力します。
今回はデータではなく書面(またはpdf)で交付されたものとして話を進めます。
まずは
「特定口座年間取引報告書」の内容を入力するをクリックしてください。
取引のある証券会社や銀行によっては「年間取引報告書」を「xmlデータ」で送ってくる場合があります。
その場合は、データの取り込みで簡単なのですが、今回は紙(またはpdf)で交付されたものとして進めます。
「書面で交付された特定口座年間取引報告書の入力」をクリック。
すると、入力画面が下に伸びると思います。
その内容を「特定口座年間取引報告書」を見ながら入力していきます。
「口座情報の入力」ですが、源泉徴収は「有」です。
勘定の種類(保管、信用、配当等)は「特定口座年間取引報告書」に書いてあるので同じところをチェックしてください。
「譲渡損益」「配当等」はチェックを入れてください。
「譲渡に係る年間取引損益及び源泉徴収税額等」は「特定口座年間取引報告書」を参照しながら順に入力していってください。
「配当等の額及び源泉徴収税額等」
の入力は「特定口座年間取引報告書」に印字されてある金額を写してください。
「金融商品取引業者等」は金融機関名と支店名を入力、選択してください。
「特定口座年間取引報告書に記載されたもの以外の費用」はあれば記入してください。
会社員で株だけやっているような人なら、まずないと思います。
これで一つ目の証券口座について入力が完了しました。
続けてもう一つの証券口座についても入力します。
「もう一件入力する(書面)」をクリック
先ほどと同様に入力して下さい。
複数の「特定口座年間取引報告書」を入力すると一覧として表示されます。
内容に間違いがなければ「入力終了(次へ)」をクリックしてください。
「申告書等の作成」画面に戻ります。
株式等の「配当等の支払通知書」、「利子等の支払通知書」は今回関係ないので割愛します。
「令和2年分の申告で上場株式等に係る譲渡損失の金額を繰り越した方」ですが、令和2年分の確定申告で譲渡損失を繰り越した方のみ「はい」を選択します。
今回は初回という事で「いいえ」を選択してください。
3 株式等の売却等について は「特定口座」で関係ありませんので無視してください。
一番下の「入力終了<次へ>」をクリックしてください。
金融・証券税制(株式等の譲渡所得等・計算結果確認1)は先ほど入力した内容の確認表です。
入力に間違いがなければ問題ありません。
確認したら「確認終了<次へ>」をクリックしてください。
「収入金額・所得金額入力」画面に戻ってきました。
他に収入が無ければ次へ進みます。
一番下の「入力終了<次へ>」をクリックしてください。
所得控除入力
ここでは所得控除について入力します。
該当するものがあれば入力してください。
雑損控除
医療費控除
社会保険控除
小規模企業共済等掛金控除
生命保険控除
地震保険控除
寄付金控除
寡婦・ひとり親控除
勤労学生控除
障害者控除
配偶者控除
配偶者特別控除
扶養控除
今回は源泉徴収票の内容から変更が無いものとして進めます。
一番下の「入力終了<次へ>」をクリックしてください。
税額控除・その他の項目の入力
ここでは税額控除・その他の項目について入力します。
税額控除
投資税等控除
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除
政党等寄附金等特別控除
住宅耐震改修特別控除
住宅特定改修特別税額控除
認定住宅新築等特別税額控除
災害減免額
外国税額控除等
その他の項目
専従者控除額の合計額
平均課税対象金額
変動・臨時所得金額
本年分で差し引く繰越損失額
該当するものはないかもしれません。
今回は関係していない事とします。
一番下の「入力終了<次へ>」をクリックしてください。
計算結果確認
計算結果確認では還付される金額が上部に表示されます。
収入、所得控除、分離課税の収入金額・所得金額に間違いが無いか確認しましょう。
修正は、それぞれの「修正する」ボタンより行えます。
確認が完了したら「次へ」をクリックしてください。
住民税等入力
以下に該当する方はここで入力が必要です。
1 給与・公的年金等に係る所得以外の所得がある方の住民税の徴収方法の選択
2 16歳未満の扶養親族がいる方の入力項目
3 別居の配偶者・親族・事業専従者がいる方の入力項目
4 配当所得等がある方の入力項目
5 株式等譲渡所得割控除税額がある方の入力項目
6 事業所得や不動産所得がある方の入力項目
今回は対象ではないとし次へ進みます。
一番下の「入力終了<次へ>」をクリックしてください。
ここで注釈が出ます。
要は配当所得や株式譲渡所得について住民税には反映されませんが良いですか?
ということなのですが、これは人それぞれなのです。
配当や譲渡所得によっては住民税に反映させた方が得な場合もあります。
反映させるということは、今回のように損益通算分が戻ってくるのですが、翌年の住民税や社会保険料が高くなります。
どちらにしろ市町村が得をするように出来ているので、「上手く搾取されている」感はぬぐえません。
今回はそのまま進めますので「OK」をクリックしてください。
申告書等の作成
この画面では個人情報の入力を行います。
特に難しいところはありませんので項目に従って入力してください。
まず、受取方法の選択という項目が出てきます。
損益通算を行うと還付が発生します。
還付金の振込口座を入力してください。
基本はゆうちょ銀行口座ですが、それ以外でも可能です。
ただし、公金の振り込みが可能かどうかは、あらかじめ金融機関に確認しておく必要がありますのでご注意ください。
住所・氏名等の入力
納税地情報
住所を入力してください。
マイナンバーカードで本人確認しますのでマイナンバーカードと合わせておくとよいです。
申告書を提出する税務署
税務署は住民票のある税務署になるので個々で調べてください。
整理番号は不要です。
提出年月日は、予定を立てておいて入力すると良いでしょう。
提出時、その場で書いても問題ありません。
氏名等
氏名、電話番号、世帯主の氏名、続柄、職業を書いてください。
屋号は事業者のみですので個人は不要です。
全て入力したら一番下の「次へ進む」をクリックしてください。
マイナンバーの入力
マイナンバーカード、または個人番号通知書を確認のうえ入力してください。
入力したら一番下の「次へ進む」をクリックしてください。
申告書等の送信・印刷
印刷画面です。
提出用と控えが出力されます。
内容が分からないうちは、帳票のチェックは外さない方が良いです。
「帳票表示・印刷」をクリックするとpdfが出力されます。
パソコンのデスクトップ等に保存して印刷しましょう。
これを印刷して期間内(通常2月16日~3月15日)に税務署に提出すれば、損益通算の申告は完了です。
提出時の注意事項はこちらもご確認ください。
印刷が終了したら「次へ進む」から次の画面へ進むと注意事項が出てきます。
こちらもよく読んでおくと良いでしょう。
また「入力データを保存する」からデータを保存しておくと次回に読み込むことが出来ます。
あとで間違いを発見した時など、もう一度ゼロから入力する必要がなくなりますので、データを保存しておくといいでしょう。
ひととおり流れを説明しましたが、個々の事情もあると思いますので、今回割愛した入力についても忘れないようにしてください。
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