トラック誌カミオンとは
トラック誌「カミオン」は1984年創刊のトラック専門月刊誌です。
紙面では主に飾りあげられたトラックが掲載され、関連する会社やその仕事風景、イベントや小売店、個人の製作物の紹介なども行われています。
2024年1月時点での主な連載は以下のとおりです。
カミオン トップ・アート アートが絆のライバル・バトル 道連れフォトストーリー 日本縦断!ご当地名車列伝 絵描き道 男の城 我らアートカンパニー ホットイベントReport プラモ・ワールド ハイカラ教授の近代アート研究所 トラック・フォトギャラリー〜道行く名車を激写せよ!〜 アート一発勝負!
80年代以降、数々のトラック雑誌が創刊されてきましたが、当時から現在まで続いているのはカミオンのみとなります。
2024年で40周年を迎え、常に新しい情報を発信している貴重な月刊誌であるといえます。
カミオンに連載を持つとわかること
そんな歴史あるカミオンですが、縁あって連載を持つことになりました。
内容としましては
毎月見開きで”なんらかの”写真を掲載するというものです。
なんて大雑把な・・・。
最初に取り決めした内容、条件は以下のとおりでした。
・見開き2ページで写真を載せる ・今まで載らなかったような"ちょっと変わった"写真 ・お題に添った写真 ・許可が得られるトラック ・写真はデータ入稿 ・提供するのは写真のみで文章は編集部で考える ・原稿料が発生
大まかに決まっていたのはこれだけで、雲を掴むようなもの。
タイトルは『アートの新風景』と決まっていましたが、実際に進めていくなかで編集部とやり取りしながら煮詰めていった部分もあります。
とはいえ編集部へ丸投げは出来ません。
「全く知識がない状態では連載は出来ない…」と感じる事も多々ありました。
実際にカミオンで連載を持って感じる事、分かる事について紹介します。
これを見ている方が、そういった機会に恵まれた際に参考になればと思います。
印刷する際の写真データは300dpi推奨
カミオンの紙面サイズは横210mm×縦258mmです。
このサイズに写真を印刷するわけですから、撮影データはある程度の画素数が必要です。
画素数の低いデータですと画質が荒くなりますから。
では、どのくらいの解像度が必要かというと、編集部から要求されたのは300dpiです。
300dpiとは300Dots per inchのことで
1インチ(2.54cm)あたり300dotあるということ。
ですから、10cmの紙に300dpiで印刷しようとすると、
10cm ÷ 2.54cm × 300dpi=1,181.1…
となり、約1,180dot必要ということです。
では、カミオンの紙面いっぱいに写真を印刷しようとするとどうなるか?
210mm × 2(頁) ÷ 25.4mm × 300dpi = 4,960.6…
となり、約4,960dot必要となります。
例えば、NikonのD7000(1620万画素)はLサイズで記録すると、4,928×3,264dotなのでギリギリといったところ。
もし、見開き一面で印刷しようとすると、最低でも2000万画素クラス以上のデジタルカメラが必要ということです。
こういった理由により、古いデジタルカメラで撮ったものや、35mm判フィルムで残っているものは概ねNGとなります。
入稿はGoogleドライブを使用する
カミオン編集部への入稿はデジタルデータです。
このとき、宅急便で送るとデータの紛失や破損、遅延の原因となります。
ですから、データのやり取りはGoogleドライブを使用します。
アカウントへのリンクは編集部の方から指定がありますので、Googleアカウントを作成し、リンクを登録するだけで準備が完了します。
Googleドライブに関する最低限の知識は付けておきましょう。
もちろん、一定のパソコンスキルは必須となります。
ファイルはeps形式推奨
カミオン編集部への入稿はデジタルデータとなります。
ただ・・・
”デジタルデータだったら何でもいい!”というわけではありません。
連載の際に編集部より指定されたのはepsファイルです。
【epsファイル(拡張子eps)とは・・・】
epsファイルとはAdobe社が開発した画像ファイルフォーマットのひとつ。
epsファイルはAdobeIllustratorなどドロー系のソフトや、AdobePhotoshopなどビットマップ系のソフトで作成、編集できるファイル形式で、高品質の画像データとして取り扱うことができます。
入稿するデータ形式が決められていますので、それを作成するアプリケーションは必須となります。
epsデータを作成するためには、AdobeIllustratorやAdobePhotoshopなどがあった方が良いです。
これらのアプリケーションは現在、サブスク形式ですので短期間しか使わない方は買取タイプを入手した方が良いかもしれません。
但し、買取タイプはバージョンが古いので、メーカーサポートから外れるという欠点があります。
CMYK印刷の知識が必要
カミオンに限らず印刷物を作る際の大きな壁となるのは、RGBとCMYKの違いです。
RGBとCMYKは色を表現する際に使用されます。
一般的にスマホやパソコンの画面はRGBで表現されます。
これに対し、雑誌などの印刷物はCMYKで表現されます。
使っている色や発色方法がそもそも違うので、出力した際に同じ色になるわけがありません。
「印刷したけどパソコン画面と色が違う!」なんてことはよくあります。
出来る限り理想の色に近づけるには、予め癖を理解し色の変化を予測して画像データを作成する必要があります。
正直、こればかりはある程度経験が必要と感じます。
普段からポスターやカレンダーなど印刷物に触れておくと、理想の色に近づけやすいです。
【参考:RGBとCMYKの違い】
RGB | CMYK | |
---|---|---|
使われる色 | 赤(R) 緑(G) 青(B) | C(シアン) M(マゼンダ) Y(イエロー) K(ブラック) |
発色方法 | 加法混色 | 減法混色 |
使われる場所 | 液晶画面など | 印刷物 |
色目は毎回違う
カミオンは紙が非常に薄いです。
薄い紙というのは色の乗りが悪く、裏の色を拾ってしまうという欠点があります。
また、温度や湿度の影響も受けやすいため、同じデータを違う日に印刷すると若干色目が変わることもあります。
「いや~、毎回色目が違うんですね」
という編集部の”軽~い一言”で絶望するかもしれませんが、気を確かに持ってください。
もう一度言います。
同じデータでも、毎回微妙に色目が変わります。
使用できない写真はあんがい多い
紙面に写真を掲載する際には掲載する車両の持ち主から許可を得る必要があります。
こういった掲載許可は撮影者、編集部のどちらかで得ることになります。
イベントによく来る車両や、何度も紙面に掲載されるような車両ですと何ら問題はありません。
ただ、撮影はしたけど掲載できなかった車両は何台かありました。
例えば・・・
・もともと掲載NGの車両
・取引会社からNGが出る
・背景に人が写っている
・背景が撮影禁止の場所
・所有者が行方不明
・撮影時から所有者が変わり新しい所有者からNGが出る
こういった理由でお蔵入りになると急いで別の写真を用意することになります。
「撮影した写真が使えない可能性がある」ということを、頭の隅に入れておきましょう。
代替案は必須です。
記事の内容が決まるのは〆切ギリギリ
カミオンは月刊誌ですので発売日が決まっています。
それから逆算し、印刷、入稿、原稿作成と〆切が決まってきます。
当然、常に取材に出かけることもありますので、原稿の作成はけっこう〆切間近となったりします。
これは『アートの新風景』の連載でも同様でした。
ある程度、連載のネタに関してはこちらから提案するのですが、回答が返ってくるのはかなりギリギリ。
一発OKなら問題ないのですが、写真の変更や修正があると〆切を意識しての作業となります。
この時点で掲載NG車両が発覚するとかなり厳しい!
ということで連載中は編集部でもないのに〆切に追われることになります。
本職が夜遅い方などは厳しいでしょうね。
カミオンの連載・まとめると…
カミオンの連載は貴重な体験でした。
何事も経験してみないと分かりません。
そこには見えない苦労が沢山あります。
少なくとも「スマホで撮ってSNSに載せる」といった具合にはいきません。
具体的に必要なことをおさらいしてみましょう。
・古いデジタルカメラや35mm判フィルムで撮影したものはNG
・Googleドライブの使い方を覚えておく
・epsファイルを作れるようにしておく
・CMYKの感覚を把握するために普段から印刷物に触れておく
・色目が毎回違うのは諦める
・使用できない写真は案外多い
・データ作成は時間との闘い(〆切ギリギリが多い)
ということで、こういった機会があったら読み返してみてください。
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