Decotora(デコトラ)
Decotora(デコトラ)は、特殊な電装品や塗装を施した貨物車両の総称です。
語源はDecoration+Truckの造語(略語)で、デコトラという言葉は青島文化教材社が登録商標しています。
別名ArtTruck(アートトラック)とも呼びます。
その特徴は電装とステンレスを主とした外装と、ペイントと呼ばれる塗装(絵)を施しているところにあります。
世界中で貨物車両を装飾する文化はありますが、電飾、ステンレス、絵という特徴を持っているのは日本のデコトラだけです。
こういった点から見て、JapaneseDecotoraは世界に類がない文化であるといえます。
写真使用の話で気付かされること
Decotoraは2000年代前半から欧州で、2010年代前半からアジアで注目され始めました。
ホームページを開設していた時期とも重なり、多い時には月イチペースで雑誌等への写真使用の依頼が届くようになります。
当時はSNSも無く、Decotoraの写真が閲覧できる場所はほとんどありませんでした。
そんな状況ですので、数少ない掲載者として自身のところに依頼が集中することになったのです。
出版社やメディアクリエイターなど海外の担当者とやり取りする中で、彼らがJapaneseDecotoraに求めるモノには共通点があると感じます。
文化発信という面で、知識として頭に入れておくと面白いと思います。
今後、何かの機会に役立つかもしれません。
海外の人がJapaneseDecotoraに求めるもの
海外の人はJapaneseDecotoraを文化または副次文化(サブカルチャー)としてみています。
それは、日本にしかない独創的なものだからです。
JapaneseDecotoraにある独創とはどういったものか。
順に見ていきましょう。
トレーラーより大型トラック
海外のトラックといえば多くがトレーラータイプです。
トレーラーは大規模運送の際に合理的であり国土の広い国に向いています。
これに対し、狭い道が多い日本のトラックはキャブオーバートラック中心で、一定の規格のもと短く小さく作られています。
大型、中型、小型トラックがこれに該当しますね。
ですから、日本の大型、中型、小型トラックは世界的にはマイナーな規格といえます。
こういった理由からも、同じように飾った際、トレーラーより大型、中型、小型トラックの方が珍しく、海外ウケは良いといえます。
ベース車両を考えると、普段何気なく見ている小型トラックのデザインバランスなんかもJapaneseDecotoraの形成に一役買っているといえます。
80s、90sレトロそしてガンダム系
トラックを改造する文化は世界中にあります。
特に多いのは欧州を中心としたユーロスタイルというものです。
この分野では海外の方が盛んであり、寸法規制の厳しい日本では架装にも限界があります。
ですから、ユーロスタイルはどこにでもあり、海外の方が大規模であるため特に目新しいものでもありません。
こういった現実に対し、海外の人が求めるJapaneseDecotoraの終着点が80s~90sレトロです。
これは、現在流行っているレトロではありません。
ガンダム系の起源ともいえるものです。
ペイントは派手な色合いで、ステンレスやウロコのギラギラした大型パーツ、マーカーランプやアンドンが沢山並んでいるといった感じです。
何も知らない人でも一発で認識できる派手さ。
こういった分かりやすさが海外では求められます。
絵や文字、そして漢字は美しい
JapaneseDecotoraの特徴といえば荷台に描かれた派手な絵。
これは必須です。
どれだけ飾っていても荷台がシルバーのままでは、「普通のトラック」になってしまいます。
絵のモチーフとしては能、歌舞伎など伝統芸、富士山、神社仏閣など日本の風景、龍、鳳凰などの幻想動物が好まれます。
逆にラッセン風の絵や芸能人の顔などは著作権や肖像権の面もあり敬遠される傾向にあります。
タッチはエアブラシより筆。
絵と一緒に文字があるとなお良いです。
また、文字の中で「漢字」はそのデザイン性から好まれます。
日常的に使っているので不思議な感じはしますが、海外の人から見ると「クールでデザインが美しい」となります。
更に特殊なフォントや絵と文字が一体になったものは評価が高いです。
特にすずき工芸の文字は、絵にも見えるため人気が高かったと記憶しています。
日本らしい電飾
電飾は日本らしいものが好まれます。
判断が難しいものもあるのですが、写真にした際の写り映えも関係してきます。
フォグランプ等、強烈に明るい電飾が数個あるより、小さなマーカーランプがいくつも並んでいるものが好まれます。
特に箱マーカーが全周にある物や、シートデッキのハチマキマーカー、グリルのV字マーカーがあるとJapaneseDecotoraと認識されやすいです。
色はブルー、グリーンなど落ち着いた色よりオレンジ、イエロー、ピンクなど明るく派手なものの方が良いです。
また、日本らしい文字の入ったアンドンも評価が高いです。
限られた枠の中に漢字や絵がちりばめられているアンドン板は、美しく日本的な工芸品として見られているのかもしれません。
海外の人でなくても部屋に飾りたくなる気持ちは分かります。
独創性がキモ
JapaneseDecotoraが認知されるうえでは独創性が重要です。
これだけネットが発達した時代でも、世界には知らないものが沢山あると思います。
逆の立場で考えると、欧州のトラックが日本のノーマルトラックとほとんど変わらないようなら、欧州のトラックに興味は持たないはずです。
他と違うから興味を持つ。
世界にはJapaneseDecotoraを知らない人が、まだ沢山いるでしょう。
案外、日本人の方がJapaneseDecotoraの魅力に気が付いていないというオチも。
世界にはない日本の魅力を伝えで行きましょう。
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