ズームレンズ
ズームレンズとは一定の範囲内で、焦点距離を変更できるレンズのことです。
カメラ用レンズは焦点距離によって表現が変わります。
焦点距離50mm付近(35mm換算)が人の目に最も近い表現とされ、24mmや28mmとなると遠近感が、105mmや200mmとなると圧縮感が出まます。
そんな中、ズームレンズはいくつもの焦点距離をカバーすることが出来る為、撮影機材の少量化が期待できます。
特に旅行や持ち歩き撮影など、荷物をコンパクトにしたい時に便利です。

そんなズームレンズですが、選ぶ際はどういった点に注目しますか?
多くの人がまず見るのが焦点距離。
〇〇~〇〇mmといった表記ですね。
これは被写体との距離やレンズ効果を測るのに重要な値です。
そして、開放絞り値(開放f値)。
F〇やF〇~F〇といった表記ですね。

それ以外に何がある?
実は焦点距離と同じぐらい重要な3つの性能があるのです。
その重要な3つの性能について解説します。
【1】最短撮影距離
カメラ用交換レンズには最短撮影距離というものがあります。
文字通り「被写体に対してカメラをどこまで近づけてピントが合うか?」という数値です。
この数値より近づけるとピンボケとなってしまい、上手く写りません。

最短撮影距離は標準ズームで30cm前後、望遠ズームで70cm前後となる事が多いようです。
ただ、標準ズームの広角側で撮影しようとすると、最短撮影距離30cmでは思った以上に寄れない事に気が付きます。
その場合、焦点距離をテレ側(望遠側)に変更すると撮影は可能なのですが、広角特有の遠近感を生かした撮影が出来ません。
このように最短撮影距離は表現力を縛ってしまう事があります。
自身が撮影したいものを思い浮かべ、どれだけ寄りたいかを考えたうえで製品選びをした方が失敗は少ないです。
【2】テレ側の開放F値
カメラ用交換レンズには開放F値という数値があります。
開放F値は、絞りを開放した際のレンズの明るさでF〇〇と表現します。
例えば、RF100-400mm F5.6-8 IS USMというレンズの場合、焦点距離100mmの開放F値は5.6で、焦点距離400mmの開放F値は8です。
例のレンズのようにワイド側(焦点距離が短い側)とテレ側(焦点距離が長い側)で開放F値が違うレンズは少なくありません。
また、レンズの構造上、テレ側の開放F値はワイド側と同じかワイド側より大きくなります。

撮影の際に、ワイド側~テレ側まで幅広く使うとすると、最終的には大きい方のF値に落ち着くことになります。
撮影する度にワイド側とテレ側で毎回F値を変更しないですからね。
ですから、テレ側の開放F値が多くの撮影で使用する開放F値となります。
製品を選ぶ際もワイド側ではなくテレ側の開放F値を意識しましょう。
【3】テレ側が使えるか
特に望遠領域が使えるズームレンズを選ぶときに注意したいのがテレ側の性能です。
テレ側の焦点距離と開放F値はよく検討してください。
例えば、150-600mm F5-6.3 DG OS HSMというズームレンズ。
テレ側の性能は焦点距離600mm、開放F値6.3です。
焦点距離600mmということはシャッター速度を1/600秒より速くしないと手ブレが発生します。
望遠ズームのバランスまで考えると、実際のシャッター速度は1/1,000秒や1/1,600秒といったものになるでしょう。
そのうえで開放F値6.3ということは、天候によっては昼間でも露出が不足します。
こう考えると、このレンズはISO感度を上げて撮影することが前提となってきます。
ISO感度を上げすぎるとデジタルノイズが目立つようになるでしょう。

こう考えると焦点距離500mmや600mmでの綺麗な描写は厳しいかもしれません。
写せると使えるは別のものです。
そのレンズが目的の撮影で使えるかといった検討は重要なのです。
あまり目立たないけど重要な3つの性能
これら3つの性能は数字上であまり目立ちませんが、使っていると気になって来ます。
そのレンズの使い道を考えた際に、撮影の支障となるようなら別の製品を検討した方が良いです。

例えばこういった事
プラモデルを撮りたいと思った時に、最短撮影距離が長いレンズを選んではいけません。
撮影の際はテレ側の開放F値がベースになると思ってください。
無用に長い焦点距離の望遠レンズは使い物にならないかもしれません。
撮影しているうちに気が付くことかもしれませんが、購入前に知っていると失敗が少ないです。
この3つの隠れた性能は製品選びに重要です。
ぜひ考慮にしてください。
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