トヨタ自動車株式会社
皆さんご存じ、トヨタ自動車株式会社は日本を代表する巨大企業です。
トヨタグループ全体で見ると2019年の販売台数は世界2位、2020年は952万台で1位となっています。
販売台数や利益、そして春闘までもがニュースとなり、2022年5月11日時点の時価総額は33,967,804百万円で、その株価は日本の景気動向を表す指標とする人もいるほどです。
まさに日本を代表する企業。
そんな日本を代表する企業であるトヨタ自動車ですが、本日の決算発表で過去最高益を更新しました。
にもかかわらず、決算発表直後株価は急落。
果たして何が株価を押し下げたのでしょうか?
2022年3月期決算
トヨタ自動車株式会社から2022年5月11日13:25に発表された2022年3月期決算内容は以下のとおりです。
営業収益 31,379,507百万円(前年度比15.3%増)
営業利益 2,995,697百万円(前年度比36.3%増)
親会社の所有者に帰属する当期利益 2,850,110百万円(前年度比26.9%増)
親会社の純利益だけで2.8兆円を超えていますし、利益の増加率も26.9%ありますから、将来的な成長を期待しそうなものです。
ひとことで言うと堅調!
これが、この決算から見えるトヨタ自動車株式会社の2022年度3月期です。
株は買うから上がる
多くの人が勘違いをしているのですが株価を上下させるのは、企業の大きさでも、社長が優秀かという事でも、企業のネームバリューでも、売れそうな商品を販売しているからでも、株価のチャートパターンが買いを示しているからでもありません。
株は買われるから上がる
株は売られるから下がる
至極単純なことです。
欲しいと思う商品が定価でも手に入らず、逆にプレミアが付く事がありますね。
株も欲しい人が多ければ上がります。
逆に、要らない商品ならどんどん値下げしていきますね。
株も同様に、欲しい人が少なければ下がります。
この、基本的な仕組みを理解せず売買をする人が痛い目を見るのですね。
トヨタ自動車の株価が急落
2022年5月11日13:25に発表された2022年3月期決算によりトヨタ自動車の株価は急落しました。

決算発表直前に2,180円付近をウロウロしていた株価は、13:25の決算発表直後、約13分で2,050.5円まで売られます。
時価総額から計算すると、この13分で2.1兆円が吹き飛んだことになりますね。
巨大企業の恐ろしいところです。
では、先ほどの話を思い出してください。
株は売られるから下がる。
なぜ売られるか?
欲しい人が少ない、要らないと思う人が欲しいと思う人より多いからです。
これだけ好成績を残したトヨタ自動車株式会社の株を、多くの人が要らないと判断しました。
では、その判断材料は何だったのでしょうか?
株価は未来を見据えている
株を買う多くの投資家が、将来の値上がり益を期待しています。
今、株価1,000円の企業が将来、成長して株価2,000円になるといったようなことを期待しているんですね。
ですから、株が売られて株価が下がるという事は、投資家がトヨタ自動車の将来に期待していないとも取れます。
では、何をもって投資家はトヨタ自動車の将来に悲観したのでしょうか?
それは決算発表と同時に発表された2023年3月期の連結業績予想にヒントがあります。
一部抜粋しますね。
営業収益 33,300,000百万円(前年度比5.2%増)
営業利益 2,400,000百万円(前年度比19.9%減)
親会社の所有者に帰属する当期利益 2,260,000百万円(前年度比20.7%減)
収益は上がっていていますが、利益が下がっています。
利益が下がる最も大きな要因とされるのが資材の値上がり。
トヨタ自動車では資材高騰による影響で、1兆1500億円利益を押し下げるという見通しを立てています。
とんでもない金額ですね。
特に円安による資材の値上がりは深刻です。
自動車は一度価格を決めてしまうと、コロコロと価格改定するわけにはいきません。
ですから、資材高騰の差額は企業で吸収するしかないのです。
ということで、長期的に見ればトヨタ自動車の営業利益は下がる予想が立っていますので、配当金が下がる可能性もありますし、余剰資金による自社株買いも行われない可能性が高いです。
ここまで言うと、トヨタ自動車の株を長期的に保有しようと考える人が減るのは分かりますね。
損をすると分かっているものに投資し続けるのは賢くありません。
ですから、多くの投資家が今期の決算予想を見てトヨタ自動車の株を売った(=株価が急落した)と考えることが出来るのです。
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