デコトラの撮影
雑誌等の取材を受けた方なら経験があるかもしれません。
「ちょっと、エンジン切ってもらえますか?」
デコトラのオーナーの方で、写真を撮影する際にエンジンを切ることを求められたことはありませんか?
ナイトシーンはバッテリーが上がってしまうので無理ですが、昼間の撮影ならあると思います。
これはカメラマンにもよりますね。
そのまま撮影する人もいれば、方向を変えてその都度エンジンを切ることを求めるカメラマンもいます。
でも、エンジンを切るのにはちゃんとした理由があるのです。
簡単に説明しますね。
エンジンのかかったトラックは振動している
ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて振動しやすいです。
その振動はシャーシを伝わり、キャビンや荷台に伝わります。
更に、デコトラの場合その上に飾りがついています。
バンパーやロケットなど先端になるほど振動の影響は強いでしょう。
ボディなどある程度剛性があるものは別として、飾りの部分は基本的に振動の影響を受けやすいです。
目で見ても明らかに振動が伝わっているデコトラは多いですね。
被写体ブレ
カメラは止まっていても撮影対象(被写体)が動いている状態を被写体ブレといいます。
走っている自動車を撮影すると、自動車がブレるのがまさに被写体ブレの状態ですね。
このような状態で撮影してもなんだかよくわからない写真になります。

先ほど、エンジンのかかったトラックは振動していると言いました。
言い換えればエンジンのかかったトラックは常に動いているため、被写体ブレを起こしているという事になります。
それはごく微細なもので等倍にして初めて分かる程度です。
小さな画面で見ている限り気が付かないでしょう。
しかし、確実に被写体ブレを起こしているのです。
被写体ブレの状況
実際に被写体ブレがどの程度か見てみましょう。
おおもとの写真はこちら。

3000万画素相当のデジタルカメラですので、被写体ブレを確認するために一部だけ切り出します。
写真の中央部分を等倍で表示すると、このようになります。

まあ、普通の写真ですね。
等倍にしてもそれなりに見られます。
では、エンジンをかけるとどうなるか。
微細に振動するのでこのような写真になります。

若干、ソフトな仕上がりですね。
シャープさに欠けます。
実際、被写体ブレか手ブレかの判断は難しいのですが、このように等倍にするとシャープさが失われます。
これも、小さな画面で見るなら問題ないでしょう。
ただ、大きく引き伸ばすと結構目立ちます。
写真を大きく引き伸ばすなら
走行中はもちろん、ナイトシーンの最中もエンジンを切るのは無理です。
出来るとしたら昼間に広い場所に止めて撮影する時ですね。
もちろん用途にもよります。
スマホで撮影してスマホで見るのなら必要ありません。
スマホの画面はそこまで高解像度ではないからです。
高解像度のデジタルカメラで撮影し、写真を大きく引き伸ばすならエンジンを切ることをお勧めします。
雑誌等のカメラマンからエンジンを切ることを求められた場合は、できる限り切ってあげてください。
今まで雑誌のカメラマンに言われてよく分からないまま切っていた方。
目的は被写体ブレの防止にあるのです。
より綺麗な写真を残すために被写体ブレを防ぐことは重要だったりします。
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