橋の上での夜景撮影
夜景を撮影するための基本は、
低感度で、
絞り込み、
スローシャッターを切るというものです。
低感度によりノイズを減らし、
絞り込みにより像をシャープに見せ、
露出が不足する分をスローシャッターで補うという考えです。
ただ、この撮影方法は三脚を立てて、カメラを安定させることが大前提です。
では、交通量が多い橋の上など、常に揺れているような足場ではどうすればいいのでしょうか?
三脚を立てても、足場が揺れているなら一緒に三脚も揺れますから、ほとんど意味が無いといえます。
そんな時に使えるのが、カメラやレンズに搭載された手振れ補正機能。
今回はその一部について検証してみたいと思います。
橋の上から見える徳島の会場
徳島の吉野川河川敷は、橋の上から綺麗に見える全国でも数少ない撮影会場です。
特筆すべきなのは、
丁度いい橋の上と河川敷の高低差
丁度いい方位
丁度いいトラックの向き
この3つの「丁度いい」が絶妙に絡んでいる会場といえます。
全国でもこのような場所は、ほとんどありません。
橋の上から見えるトラックの大群が、電飾を点灯させると絶景になります。

ただ、チャンスは少ないです。
イベントは年に1回で、その日が晴れになり、関西、中部、四国、中国地方で同様のイベントがないというのが条件です。
イベントの日が晴れでも、トラックの台数が少なければ、写り映えしませんからね。
ですから、数少ないチャンスは確実にものにしたいと考えます。
最初は失敗
最初の撮影は失敗に終わります。
機材の構成は、
ニコン D7000
シグマ 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM
という組み合わせです。
この撮影会場を、橋の上から撮影した際、会場全体を構図に入れようとすると超広角が必要となります。
少なくとも14mm、出来れば12mmが欲しいです。
シグマ 8-16mm F4.5-5.6 DC HSMは、焦点距離だけを見れば間違った選択ではないのですが、橋の上が揺れるという事を考慮していませんでした。
ですから出来上がった写真は、それなりに見えるものの、ある程度大きくするとブレやナガレが目立ちます。


ブレについては、橋が揺れているので出ています。
ナガレについては、こういった超広角レンズの宿命ともいえます。
ただ、製品による違いもありますので、他製品に切り替えることは十分検討の余地があると思います。
ということで、この失敗を次に生かそうと試行錯誤するのです。
製品選び
失敗の原因が分かったことで、対策が打てます。
ブレに関しては、手振れ補正付きレンズの採用を考えました。
橋の上が揺れている以上、どれだけ丈夫な三脚を立てても、動く事には変わりはありません。
ここは考え方を変え、「揺れてもブレないようにはするにはどうすればいいか?」という方向に持って行きました。
2015年の時点で、ニコンのデジタル一眼レフにはボディ内手振れ補正は採用されていませんでした。
ですから、レンズ内手振れ補正が付いているレンズを探したのです。
候補はこの2製品。
ニコン AF-S NIKKOR 16-35mmF4G ED VR
タムロン SP 15-30mm F2.8 Di VC USD
出来れば、ワイド側の焦点距離がもっと短いレンズが良かったのですが、超広角で手振れ補正が付いたレンズはほとんど無かったのです。
ですから、ほぼ2択でした。
タムロン SP 15-30mm F2.8 Di VC USD
会場の状況を考え、1mmでも焦点距離が短いレンズが良かったため、タムロン SP 15-30mm F2.8 Di VC USDを採用しました。
このレンズについては色々調べましたが、手振れ補正についての性能が分かりませんでした。
焦点距離15mmで撮影しますので、1段階なら1/8秒、2段階なら1/4秒でシャッターが切れることになります。
製品の発表が2014年の12月ですので、当時の製品は2~3段階ぐらいが主流でした。
ただ、超広角ズームという特殊なレンズでの手振れ補正効果は未知数。
更にメーカー側もハッキリ明記しないその性能。
気になります。
果たしていったいどのぐらいのものか、実際に手に入れて検証してみました。

実際に検証してみる
検証した場所は吉野川河川敷。
例年通り行われた撮影会で実施しました。
近所の橋でも撮影したのですが、揺れ方の違いもあるのか、あまり手振れ補正効果が実感できませんでした。
ちょっとイヤな予感はしています。
焦点距離を15mmとし、
手振れ補正をON。
シャッター速度を1/15秒から順に落としていき、撮影した写真の一部(特に画像劣化が目立ちやすい端部分)を拡大します。




見比べると1/3秒あたりから怪しいです。
実際に10枚ずつ撮影し、どの程度の割合でヒットするかも検証しました。
結果は、
1/8秒 10/10枚
1/4秒 5/10枚
1/3秒 3/10枚
1/2.5秒 0/10枚
という事で1/3秒までは、数打てば当たるといった感じです。
1/2.5秒以下については、どう頑張っても大きなブレが出てしまいました。
ナガレについては、それほど気にならないかと思います。
焦点距離8mm(12mm相当)と、15mmの違いもありますが、お値段なりの性能はあると考えます。
ワイド側なら2段階ぐらいまで
タムロン SP 15-30mm F2.8 Di VC USDの手振れ補正効果ですが、15mmで撮影した場合は2段階ぐらいまでと考えます。
もちろんボディとのバランスもありますし、揺れる橋の上という特殊な場所であることを考えると、必ずしもこの結果とはなりません。
自身の撮影スタイルによって、採用するかどうかは決めれば良いかと思います。
個人的に、このレンズは徳島で使用することだけを考えて入手しました。
超広角ズームレンズとしての性能は申し分ないのですが、一部物足りなかったのも事実です。
もう少し頑張って欲しい点としては、
できればワイド側は14mm欲しい
手ブレ補正はあと1段階欲しい
といったところです。
とはいえ、ボディ内手振れ補正が無い場合、選択肢の一つとして考えても良いでしょう。
現在は、この製品より性能が向上したSP 15-30mm F/2.8 Di VC USD G2へと置き換わっています。
カタログ上は手ブレ補正機能も向上しているようですので、もし買うならこちらをお勧めします。
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