マニュアル(M)
デジタル一眼カメラには、大きく分けて4つの露出モードがあります。
以前紹介したP、S、A、Mですね。

P(プログラムオート)で撮影しておけば、とりあえず問題ないように考えてしまいますが、M(マニュアル)で撮影した方が良い状況というものも存在します。
マニュアルとは絞りとシャッター速度を手動で設定するというものです。
双方をコントロールすることで、表現の自由度を上げようというものですね。
設定する項目が多くなるため、少し難しくなります。
では、具体的にはどういった状況が適しているのか紹介します。
星空
星空は全てマニュアルで設定しないと、撮影するのが難しい被写体です。
これは使用するレンズによっても変わりますし、星の撮り方によっても変わります。
星空のみを撮影、星空に風景を入れる、天体望遠鏡を使用、赤道儀を付けて撮影など、撮影状況に応じて設定は変わってきます。

例えば、このような星空のみを撮影する場合、シャッター速度は8~15秒、絞りの値(f値)は1.4~2.8、ISO感度は800~3200程度となります。
数値に幅を持たせているのは、焦点距離や天候、周囲の状況によって変わるからです。
もちろん、この設定をP、A、Sの露出モードで導き出すことは困難です。
こういった、極端に露出が偏った被写体はM(マニュアル)での露出設定が確実なのです。
月
星空と同様に、月も自動で露出が出にくい被写体です。
絞り優先にして、スポット測光をするという手もありますが、望遠レンズで月を拡大する場合にしか使えません。

AEロックをすれば、日の丸構図を避けることも出来ますが、そんな手間をかけるならM(マニュアル)の方が手っ取り早いです。
満月を撮影する場合はM(マニュアル)にして、シャッター速度1/250秒、絞りf5.6、ISO感度100で撮影してみましょう。
月が明るすぎる(露出オーバー)ならシャッター速度を速くするか、絞りを絞ってください。
暗すぎる(露出アンダー)ならシャッター速度を遅くするか、絞りを開いてください。
夜景
夜景もM(マニュアル)向けの被写体といえます。
カメラの設定で「夜景モード」というものがありますが、あまり推奨しません。
多くの夜景モードは高感度撮影を行うため、ノイズが出やすくなります。

とりあえず写すだけなら「夜景モード」を使うのもいいかもしれません。
ただ、綺麗な夜景を写そうと思ったら低感度で絞り込んで長時間露出が基本です。
こうなると、露出オートでは撮影できません。
デコトラのナイトシーン
夜景繋がりで、デコトラのナイトシーンもM(マニュアル)撮影必須です。
こちらも「夜景モード」を使うとノイズの多い写真が出来上がります。

暗いところで綺麗に写す時は、低感度で絞り込んで長時間露出をすると覚えておきましょう。
もちろん、三脚は必須です。
花火
花火もM(マニュアル)での撮影を推奨します。
花火は星や夜景と違い「同時進行で撮影する被写体」だからです。
星や夜景の場合、予めシャッター速度を決めて撮影すると思います。
これに対して、花火は「打ちあがった瞬間にシャッターを開き、開ききったら綴じる」という撮影方法になります。
また、同時に数発打ち上がった場合に露出時間を伸ばしたり、煙が溜まってきた場合に予定より早めに露出を打ち切る場合があります。

最初からシャッター速度を決めて撮影するという方法もありますが、花火が写りすぎたり、途中で切れたりします。
ですから、花火の撮影は時間を決めずB(バルブ)撮影を行うのです。
暗い場所で被写界深度を深くしたい場合
M(マニュアル)は暗い場所で被写界深度を深くしたい時にも有効です。
具体的には模型の室内撮りです。

まず、室内はそれほど明るくありません。
そんな場所で撮影しようとすると、絞りは開き、シャッター速度は遅くする必要があります。
とはいえ、模型写真は出来る限り絞り込んだ方が奥までピントが合っているように見えるのですが、そうするとシャッター速度を遅くする必要が出てきます。
この時、三脚を立てられたらいいのですが、立てられない場合が多いです。
こういった、シャッター速度も絞りも制限される場合には、M(マニュアル)が有効です。
具体的には、M(マニュアル)に設定し、シャッター速度は手ブレするギリギリまで落とします。
そのうえで、絞りを絞り込みISO-AUTOを使用します。
こうすることで、ノイズは出ますが、手ブレが無くて被写界深度が深い写真が撮影できます。
M(マニュアル)は尖った露出に有効
例をいくつか挙げましたが、M(マニュアル)は極端に暗かったり、時間の調節が必要だったりと、尖った露出が必要な場合に有効です。
とはいえ、プログラムオートにしろ、シャッター速度優先にしろ、絞り優先にしろ、所詮はカメラ内の露出計とプログラム頼りです。
「暗い時はどうする」「明るい時はどうする」といった露出の基本を肌身で感じるためにM(マニュアル)で撮影するのも面白いかもしれません。
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