ガソリン価格の高騰
ガソリン価格が高騰しています。
原因は原油価格の高騰で、OPECプラスによる増産見送りにより世界的に原油が不足しているからです。
2021年11月4日の会合でも増産は見送られ、今後もこの状況は続くと思われます。
更に、これから人口の集中する北半球は冬になるため、石油の需要が増え原油価格の高騰を招くと予想されます。
ガソリン価格の構成
ガソリン価格は以下で構成されています。
・原油価格
・精製、運搬、粗利
・ガソリン税
・石油税
・消費税
このうちガソリン税は53.8円/L、石油税は2.8円/Lで一律、消費税は原油価格から石油税までまとめた価格に10%掛かります。
ですからガソリン価格の昇降を決めるのは原油価格と精製、運搬、粗利になるのです。
現在のガソリン価格
2021年11月5日現在の全国平均ガソリン価格は165.6円でした。
これの内訳を見てみましょう。
ガソリンの元になる原油は購入してからだいたい3週間から4週間で店頭に並びます。
現在は元売り価格が週決めになったため即座に反映されるはずなのですが、実際に価格を追っていると以前のように遅れがあることが多いです。
ですから、今回は4週間として計算してみました。
4週間前のWTI原油価格は78.93ドル/バレルでした。
そして当日の為替レートは111.465円/ドル。
これから導き出すと当日の買い付け価格は約55.34円/Lと想定されます。
これに各種税金や精製、運搬、粗利の費用を差し込むと以下のような構成になります。

ガソリン価格が半分近く税金であることが分かるグラフですね。
参考までに精製、運搬、小売店の粗利などは全体の25%程度でした。
これは価格が上下してもこのぐらいの比率になります。
小売店の粗利は一定であることが多いですし、精製や運搬にかかる費用は電気代や軽油代など原油価格の影響を受けますからね。
ガソリン小売価格が200円/Lになった場合
先ほどの計算を用いてガソリン価格が200円/Lになる場合をシミュレートしてみましょう。
グラフにするとこんな感じです。

消費税率は10%で変わりませんし、ガソリン税、石油税も定額です。
変わってくるのは精製、運搬、粗利で、これは全体の25%で計算しています。
すると原油価格が約78.59円になるとガソリン小売価格が200円/Lになります。
あくまで計算上ですので多少は上下するでしょうね。
ガソリン小売価格が200円/Lになる条件
では原油価格が約78.59円になる条件とは何でしょうか?
これには2つの要素が絡んできます。
【1】原油価格
【2】為替相場
原油価格の決定はドル決済ですので日本で販売する場合は為替相場も関係してきます。
2021年11月5日の為替相場は113.37円/ドルでした。
1か月前より2円ほど円安が進行していますね。
円安が進行するという事はドル高なので原油の買い付け価格が高くなるという事です。
同様の割合で円安が進むと2か月後には117円/ドルになっているかもしれないですね。
また2021年11月5日のWTI原油価格は約82円でした。
需給のバランスがまだ取れている状態ですので極端な上昇はないですね。
ただこれが崩れたときが怖いです。
計算上では為替相場が117円/ドル、WTI原油価格が107ドル/バレルになると、ガソリン小売価格200円/Lが現実になると思います。
もちろん計算外のことも起こりますので、これより円安や原油高が進まない状態でも200円/Lを超えることは覚悟しておいた方が良いですね。
ガソリン価格200円/Lが現実になりそうな今できる事
ガソリン価格はまだ上昇局面だと判断しています。
理由は3つ。
・OPECプラスが原油増産に転じていない事。
・人口比率の多い北半球が冬に突入し石油を多く消費すること。
・緩やかに円安が進行していること。
上昇局面でできることは限られています。
・早めにガソリンを入れる。
・出かける回数を減らす。
・燃費の良い車に替える。
2008年のような急上昇が起こるなら車の買い替えも一つの選択肢です。
早めにガソリンを入れるのは防災の意味でも推奨できることです。
逆に、2,000円ずつとか3,000円ずつ入れるのは上昇局面では手間がかかるだけで全く効果がありません。
それよりは曜日で値引きするガソリンスタンドを選んで入れたり、カードでポイントがつくようなガソリンスタンドで給油するほうが賢いと思います。
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