金融所得課税
金融所得課税とは現在の岸田首相、および高市政調会長が推奨する金融所得に対する増税案です。
現在、証券の譲渡益や配当に掛かる税率は20.315%です。
また、配当に関しては総合課税にすることにより税率を抑えることも可能です。
これを廃止し、一律30%にしてしまおうというのがこの政策の骨子です。
実質10%弱の増税ですね。
ネット上ではこの増税に歓喜しました。
「儲けているやつザマ見ろ」とばかりです。
twitter上は高市信者で溢れました。
果たしてその通りになるのでしょうか?
少し検証してみたいと思います。
金融資産の保有額
日本証券業界が2020年に調査した「個人投資家の証券投資に関する意識調査」によると証券保有者の資産額は以下のようになっています。
金融資産額 | 割合 |
---|---|
~300万円 | 45.1% |
300~500万円 | 24.7% |
500~700万円 | 14.2% |
700~1000万円 | 10.2% |
1000万円以上 | 5.8% |
データを見ると金融資産を300万円も持っていない人が半数近くいることが分かります。
また金融資産1,000万円以上は全体の5.8%しかいないことが分かります。
1,000万円以上ですので、1,000万円かもしれませんし10億円かもしれません。
参考までに内閣府の調査によると現在証券を持っている個人投資家は全国民の9.8%だそうです。
では個人投資家で1,000万円以上の金融資産を持っている人は9.8%×5.8%=0.5684%しかいません。
お金持ちはほんの一握りと考えていただければいいでしょう。
50万円までは増税しないという罠
仮に300万円分の株式を持っていて、4%の高配当株を買っていたとすると12万円の配当が貰えます。
50万円までの金融所得について増税しないというのであれば今まで通りの税率です。
ただ、300万円の株式が15%値上がりしたとしましょう。
優良株なら年間15%なんて余裕で上がったりします。
ここで利益確定してしまえば300万円×15%=45万円の儲けです。
更に配当が12万円入りますと45万円+12万円で57万円。
ハイ50万円超えました、ということで増税になります。
金融所得で50万円というのはわりと低いハードルであるという事をお判りいただけましたでしょうか?
金融所得に対する課税という罠
今回の増税案は金融所得でひとくくりにされています。
という事は株式だけでなく投資信託、国債や社債、普通預金や定期預金、保険まであらゆるものが対象になると予想されます。
「今年、定期預金が満期になるから美味しいものでも・・・」と喜んでいてはいけません。
年間で50万円以上の金融所得になるのなら、それは増税の対象です。
正直なところ定期預金や保険などリスクの低い金融資産に投資している人は、あまりお金の知識がないと考えます。
この法案はそんな人からも徴収するのです。
知らないうちに分からないように徴収するのは昔から変わっていませんね。
お金持ちはお金の移動が簡単であるという事
政府の政策案では1億円の壁というものが盛んに言われてきました。
日本の所得税は累進課税で最高税率は45%、年収が上がるほど税率が上がる仕組みです。
そんな中、年収1億を超えるような人は一般的に株式配当など証券からの所得が多く、逆に税率が下がっていくという事を問題視していました。
ただ、残念ながら億を超えるような収入を得ている人はお金の移動に長けています。
例えば、株式を売却して円にする。
これも株式から円へのお金の移動です。
税率が30%に上がる前に、円や外貨、外国株式に替えてしまうでしょう。
その結果、日本の証券市場は大暴落します。
結局、取り残されるのは庶民です。
細々と証券を買っていた人が巻き込まれ損をし、日本企業の価値は下がり、将来もらえるであろう年金は目減りしていきます。
金持ちを敵に回して栄えた国はありません。

損をしないために出来る事
損をしないために出来ることは、このような考え方を持つ政治家を選挙で当選させないことです。
しかし、ほとんどの人はこの事実に気が付いていないため不可能であると考えます。
そこで個人的にできることといえば、今は証券を持たないことです。
特に株式や〇〇債と言われるリスクの高い物からは逃げた方が良いでしょう。
仮想通貨なんて論外です。
そして円をひたすら持ち続ける。
今後、消費税も上がるでしょうし、物価は年々上がり続けています。
日本企業の価値は下がりますので、給料が上がることは見込めません。
いわゆるジリ貧生活ですね。
それでも株式に投資して資産が半分になるよりマシでしょう。
ワンチャンあるとしたら、政府が金融所得課税の実施を発表し、株価が暴落し、底値になったあたりで拾うという方法ではないでしょうか。
コメント