岸田ショック
2021年9月29日、岸田首相が自民党総裁=第100代内閣総理大臣に決まって日本株は8営業日連続で下落しました。
これは12年ぶりのことで連続下落でいえばコロナショックをも上回ります。
あの時、日本株は30%近く下落しました。
今回の下落。
巷では「岸田ショック」という言葉も出だしています。
幸い10月8日の日本株はいったん戻しましたが、今後も下落する可能性はあります。
理由その1、よく見えない経済政策
2012年から始まったアベノミクスで、「上がったのは株価だけで市民の肌感覚的には景気が良くなったなんて思えない」という意見を聞きます。
実際2012年のサラリーマンの平均給与は408万円、2020年で433万円です。
たった25万円の増加。
これは日本の経済自体が成長していないことを表します。
日経平均株価は政府の政策で3倍以上になったのに、給与は6%しか上がっていないのです。
これではそう感じるのも仕方がないですね。
そこで岸田首相が打ち出している経済スローガンは「成長と分配の好循環」です。
具体的には、
(1)感染拡大防止
(2)ウィズコロナ下の社会・経済活動再開と危機管理の徹底
(3)ポストコロナを見据えた成長戦略
(4)国民の安全・安心の確保―
はい!具体性がなく全く経済の成長が見えてこないですね。
これでは株主はおろか、日本国民も期待しません。
株価が下がるのは当たり前のことですね。
理由その2、金融所得課税
現在の株式や債券の譲渡益に対する税率は20.315%です。
配当所得に関しても同様なのですが、総合課税として確定申告をした場合、給与所得が低い人にとっては減税となります。
こういったシステムを廃止し一律30%にするというのが金所得課税の骨子です。
先進国がそうだからと同様にしようという考えですね。
これによって3,000億円の財源が得られると踏んだようですが、事態は首相の思わぬ方向に進みます。
海外投資家の脱離。
日本株の30%程度は海外投資家が保有しています。
彼らの多くは世界中の株式市場で株を売買しています。
では、ここで質問です。
経済成長しないけど株式譲渡益に対する税率が20.315%の日本と、経済成長するけど株式譲渡益に対する税率が30%のフランス、どちらに投資しますか?
さらに、経済成長しない日本と経済成長するフランス、株式譲渡益に対する税率がどちらも30%ならどちらの国に投資しますか?
答えは簡単です。
経済成長するフランスに海外投資家はお金を預けます。
ですから、先進国の中で唯一経済成長していない日本が、株式譲渡益に対する税率を他の先進国と同じにすれば、株が売られるのは当たり前のことなのです。
こうして日本の株式市場からはお金が引き上げられ、経済成長の見通しが明るい国の株式市場にお金が流通するのです。
金持ちはより金持ちに、貧乏人はより貧乏に、ピケティさんも「21世紀の資本」で書いています。

金融所得課税、当面見直さず
2021年10月10日のTV番組で岸田首相は「金所得課税について当面は見直さない」という発言をしました。
当面ですので、いつかはするととらえるのが良いのか、何かの指標で実施するのか全く見えてきませんが、すぐに行うという事ではないようです。
この発言に対しては10月11日以降、海外投資家がどう動くかで、日本株式市場の動向が決まりますね。
今回の岸田ショックの要因は2つあると言いました。
そのうち金融所得課税の心配が減ることにより、日経平均株価が再び3万円を超えるようであれば、今回の暴落要因は金融所得課税にあり、経済政策はあまり関係ないという事なのかもしれません。
明日以降、しばらく日本株を重視する必要がありますね。
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