好奇心
私に写真の基礎を教えてくれた人は「好奇心」の塊のような人間でした。
口癖は「面白い」。
当時、高校生だった私にはあまり理解できませんでしたが、年齢を重ねるにつれて少しずつ分かってきました。
写真の上達には好奇心が必須だと感じます。
デコトライベントの片隅で写真を広げていると、多くの方が見に来てくれます。
皆、色々な感想を持っているので聞いていても面白いです。
どうやって撮ったか聞かれた時に、私は撮影方法を隠すようなことはしません。
ありのままを教えます。
ほとんどの人は「努力」という言葉でその写真を表現するのですが、私からすれば「好奇心」から生まれたものです。
いつの間にか身に付いた「好奇心」が、「努力」を「努力」と思わせなくなったというのは最近よく感じたりします。
これって、写真だけじゃなくて全てのことに当てはまるんですね。
当然、仕事や生き方にも当てはまったりします。
努力をしてもうまくいかない
私達の親の世代は「努力」をしていい大学に入り、いい会社に就職すれば将来は安泰の時代を過ごしてきました。
そんな親ですので、自分たちの成功御体験を子供に押し付けます。
しかし、時代は変わりました。
人口も増えて経済が右肩上がりの時は「努力」さえしていれば何とかなったのですが、人口減少で経済が縮小しているので「努力」してもうまくいかない事の方が多いです。
時代の変化に気が付かずに、自身の価値観を押し付けると子供は将来苦労するのが目に見えています。
好奇心が努力を超える時代
小学生に将来なりたい仕事のアンケート調査をすると必ず上位に入ってくるのは「ユーチューバー」です。
親の時代からは想像もしなかった職業が上位に来る時代です。
多くの小学生が好奇心を持って「ユーチューバー」になりたいと思っているのですね。
しかし、「ユーチューバー」の枠はすでに埋まっていて、今からやって成功するのは難しいです。
ただ、親が持ってない価値観に子供が「好奇心」を持つことは重要だと考えます。
今の小学生が社会人になる頃には「ユーチューバー」に代わる新しい職業が出来ているかもしれません。
「好奇心」を持っている限り時代の変化についていくことも容易いでしょう。
これは親の世代が持っている「努力」だけではどうしようもない世界なのです。
これからの時代は「好奇心」を持っていないと生き抜いていけないのです。
好きなことで生きていく
「好きなことで生きていく」というフレーズが流行っていますが、最近この言葉が独り歩きしている気がします。
単に面倒くさい勉強や、やりたくもない仕事から逃げる言い訳として「好きなことで生きていく」を使っていて、じゃあその「好きなこと」って本当に好きなの?って思います。
「好きなこと」で重要なのは「好奇心」をもってどこまで極められるかだと思います。
歴史が好きだから歴史を極めて歴史学者になりましたとか、動画が好きだから動画を極めて映像クリエイターになりましたとか、こういったことが本当に「好きなことで生きていく」だと思います。
この時重要なのは「努力」ではなく「好奇心」です。
「好奇心」があれば自然と「努力」をしているものです。
親が出来る事
親の役割は「好奇心」の方向性が合っているか導くぐらいしかないですね。
どう考えても分が悪い勝負をしている子供には、きちんと教えてあげることも大切です。
例えば高卒と大卒で生涯賃金が5,000万円近く違うのも現実です。
何か勝算があってその差を埋められるのなら高卒を選んでも良いでしょう。
こんな時、「松下幸之助は小学校中退で・・・」と偉人の話を引き合いに出す親は頭が悪いです。
また野球が好きだからといってプロ野球選手を目指すのも無謀です。
小学生の野球人口は推定18万人だそうです。
プロ野球の球団は12球団しかなく1軍登録されるのは29人まで。
という事は12(球団)×29(人)÷180,000(人)=0.0019・・・
つまり1,000人に2人ぐらいしかプロ野球選手になれません。
99.99%の人は好きなことで生きていけない人となります。
これが無謀といえる所以です。
「好きなことで生きていく」がすべて間違いとは思いませんが、「好奇心」ではどうしようもない才能や遺伝が必要な分野に、好きという理由だけで邁進するのは間違っていると思います。
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