2023年度税制改正大綱
2023年度税制改正大綱が発表されました。
予想通り増税が組み込まれた内容となっています。
【主な内容】
・防衛力強化のため1兆円強の財源を確保。
・現行の法人税に4~4.5%を上乗せ(所得2400万円程度以下の企業は対象外)
・防衛付加税として所得税額に1%付加。・復興所得税率を2.1%から1%引き下げたうえで延長。
・たばこ税アップ。
・NISA制度の見直し。
・エコカー減税期間の延長。
・年間所得が30億円を超える超富裕層への課税強化。
・創業間もない未上場新興企業を支援した個人投資家への税制優遇。
マスコミが取り上げているのは概ねこのような内容です。
ニュースサイトでも解説されているので、既にご存じの方も多いかもしれません。

しかし!
個人的に気になったのは暦年贈与に関する改正。
それは、以下のような内容です。
【暦年課税による相続前贈与の加算】
現行、相続開始前3年以内に受けた贈与は相続財産に加算することとなっ ている。
暦年課税においても、資産移転の時期に対する中立性を高めていく 観点から、相続財産に加算する期間を7年に延長する。
その際、過去に受けた贈与の記録・管理に係る事務負担を軽減する観点から、延長した期間(4 年間)に受けた贈与のうち一定額については、相続財産に加算しないことと する。
<税制改正大綱2023より引用>
パッと見は地味ですが、これも立派な増税なのです。
ということで、この内容ついて掘り下げてみましょう。
そもそも相続前贈与とは
相続前贈与とは相続する前に贈与を行う事です。
生前贈与とも呼びますね。
一般的には相続した場合より、贈与した方が税率は高くなります。
但し、贈与税の基礎控除を利用した場合、相続した場合より税率が低くなる場合があります。
贈与税の基礎控除額が110万円ですので、それを少し超えたあたりを贈与するとそうなります。
例えば、年間111万円を贈与し確定申告すると、1万円の10%=1,000円の贈与税となり税率は贈与税率は0.09%となります。
これは相続税で納めるよりずっと少額です。
この仕組みを使用して、親から子などへ財産を移動する事を相続前贈与と呼びます。
相続前贈与と暦年課税(暦年贈与)
贈与税は1月1日から12月31日までの分を合算して算出します。
ですから年単位で税額が決まるということです。
相続前贈与は110万円を少し超えたあたりで行わないと、節税効果がありません。
ですから、単年ではそれほど節税効果がありません。
毎年行うことで節税効果が積み上がっていく仕組みです。
相続前贈与を毎年のように行うことを暦年贈与と呼びます。

贈与開始3年前と7年前
今回の税制改正大綱2023で贈与開始3年前から7年前に変更されました。
暦年贈与を続けていた場合、今までは亡くなる(相続となる)3年以内は相続とされていたものが7年前まで遡って相続として加算されるようになりました。
要は、より税率の高い相続税の対象となる財産が多くなったということです。
4年分多く相続財産としてカウントされますので、毎年110万円ぐらいを暦年贈与していたのなら440万円ぐらいが余分に課税対象となります。
最低でも10%、多い場合はこの55%が相続税として徴収されます。
痛いですね。
最後の一文で救われるか?
「延長した期間(4 年間)に受けた贈与のうち一定額については、相続財産に加算しないこととする」
今回の税制改正大綱にはこのような一文があります。
4年多く相続財産として計算するけど、一定額は加算しないということですね。
この一定額は合計100万円とのことです。
多少は・・・軽減されていますかね。
税制改正大綱2023全体を見ると「税負担を増やしますよ。でも緩和措置もありますよ」といった内容です。
方向性は増税。
実際の始動は2024年1月からです。
税についての知識を少しでも自分のものにしないと、取られっぱなしになります。

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